JIDnews 270

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。


「JID AWARD 2015 フォーラム in NAGOYA」

中日本エリア 東端雄一










ここ中部地区でJID AWARD 2015インテリアスペース部門賞を受賞された、株式会社 間宮晨一千デザインスタジオ様。
受賞作品であります「柱の杜」は同社のオフィスであり、その場をお借りしてセミナーを開催いただきました。
11月21日セミナー当日はJID中日本エリア会員を中心に、関係者様、学生賞受賞者様など多く集まり、座席はほぼ満員となりました。
そんな中、同社の皆様は通常どおりの業務をされており、その空間で過ごす"日常の一部"を皆で体感しながら、間宮晨一千氏より作品についてご説明いただきました。

この「柱の杜」という建築は合計30本の柱がバランス良く配置され、耐力壁を持たない構造となっているのが大きな特長です。
そしてその柱に対して床のレベルが自由な高さに設定されており、とても不思議で面白い空間となっていました。
今回セミナーを開いていただいた場所は、その無数の柱の中央にある大勢が集まれる広間。普段はミーティングを行ったり、共に食事をとったりと、社員さんの共用スペースになっているそうです。
様々な床レベルの各空間、非常に天井高の高い場所もあれば、反対にとても低い場所もありました。これには実験的な要素もある様で、天井高による居心地の良さや圧迫感など身をもって体感することが出来るのだとか。
これは全くの素人であるクライアントにとっても、または設計時の確認においても、直感的に理解出来る親切な仕組みだと感じました。
因みに、ここで働く社員の皆様それぞれが好きな場所を選んで持ち場とし、作業にあたっているそうです。

尚、本セミナーでは「柱の杜」についてのみならず、過去の実例や普段のお仕事について、また現在に至るまでの経緯についても、多く語っていただけました。
たくさんの話題が有り、ここにはとても書き切れませんが、特に印象深かったことがあります。この建築が出来上がるまでには、日々建物が出来ていく楽しみよりも、苦労の方が多かったそうです。
そんな問題点を解決していく為に、社員の誰かが常に現場に通い、そうして皆さんで解決していったとのこと。
社員さんと間宮氏ご自身が常に同じ目線に立ち、互いにリスペクトし合っているからこそ成し得た事、と伺い知ることが出来ました。
スタジオ内の床のレベルは違えど、見ている先は同じ、なんて言いたくもなります。
まさにスタジオ皆様のエネルギーが1本1本の柱のごとく、一つの大屋根を支えている様な、同社を象徴する様な「柱の杜」。
素晴らしいセミナーでした。 株式会社 間宮晨一千デザインスタジオ 社員御一同様、貴重なお時間を賜り心より御礼申し上げますと共に、更なるご活躍をご期待申し上げます。