JIDnews 283

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

デザインセミナー「カイ・フランクの魅力を語る」
大阪(ATC)会場/大阪芸術大学会場

 

西日本エリア  八十 常充

○セミナーの開催に際して

 昨年の夏、JID60th記念ツアー(西日本エリア)でフィンランドを訪れ、ポルヴォーのタウノさんにお会いした際カイ・フランクに師事し共に仕事をされ、カイ作品を3000点所有されておられることを知り来日講演をお願いしました。

5月末のWIW期間にセミナーの開催が決まり、東京、名古屋(名古屋学芸大学)、博多(九州産業大学)、大阪(ATC)、(大阪芸術大学)の5会場に多くの方々が参加され、カイ・フランクの作品やデザインの意義を知る機会になった事と思います。

 

◯大阪(ATC)会場
5月30日(木)17:30~20:00
会場:ATC輸入住宅促進センター(IHDC)。参加人数75名 第1部では、一緒に行った安藤エリア長と金澤さんの2人から アアルト建築や同スタジオ/自邸。芸術村フィスカルスの様子や タウノ邸訪問について映像を見ながらトークを行いました。


JID60th記念のパッピで登壇のタウノさん

第2部では、タウノさんJID60th記念のハッピを着て登場・・・
カイ・フランクとの出会いや作品について、多くの映像で説明 。週末カイが来られた時は、まず退屈する子供達に絵を描いてく れていたエピソードや持参した作品を惜しげもなく手に触れる 事が出来たなど、今までのセミナーにないタウノさんの心使い に感動する声も聞かれました。


大阪IHPC会場

○大阪芸術大学会場
会場は大阪アベノ駅から近鉄電車で25分、喜志駅から車で10数分。広大な敷地に多くの学舎の他に芸術劇場や映画館も見られる。中でも目を引くのは妹島和代氏設計のアートサイエンス棟、内部では喜多俊之展NEW TENDENCY「未来への潮流」が開催されていてしばし見学。
ロビー背景のスクリーンは、チーム・ラボの動画です。

セミナーには、デザイン学科の学生約80名が参加。
戦後の住宅難や生活が苦しい時代に、量産により安価で使い勝手のよいテーブルウエアーKILTAシリーズの誕生が暮らしにおけるデザインへの評価が高まった事や美しいガラス器の製作過程などの話に大変興味深く聞き入っていました。
セミナー後も実物を手に取り、タウノさんと親しく話し合うなど和やかなセミナーでした。


大阪芸大アートサイエンス棟

大阪芸大ロビーでタウノさん、喜多元理事長ほか

カイ作品を手に取って質問する学生達

○タウノさんと関西での3泊4日
 28日、博多から新大阪駅20:48分着のタウノさんをお迎えに到着ホーム4号車前で待機していたが、姿がない。同行はしないと聞いていた通訳森川さんを発見して一安心。
森川さんとお別れし、タウノさんと二人で宿泊先の千里山B&B TSUKAGUCHIへ・・・

翌朝の朝食にタウノさん・・・すばらしい!の表情

 翌29日は、セミナー続きの日程から一休み・・・の日
日本の民芸品好きの情報を得て、京都国立近代美術館で開催中の「陶工・河井寛次郎展」へ・・・
時間を掛けて熱心に観ておられ、ミュージアムショップでは河井寛次郎の書籍を購入されて自宅の蔵書に。
昼食は、烏丸御池に古くからある御蕎麦司尾張屋で・・・
午後は、パナソニックデザインラボを訪問。
最先端のデザイン施設の説明を聞いた後はスタッフの現場や未来思考の提案の数々を見せていただきました。


B&Bの朝食に・・・オイシイ!

B&B近くの垂水神社を散策

京都老舗の蕎麦屋「尾張屋」で

翌朝の散歩はB&B近くの鎮守の森、垂水神社へ・・・
境内の壁に立て掛けてある掃除用の竹箒や熊手を熱心に見るタウノさん。フィンランドには竹が無く、素材感や竹特有のフォルムが珍しい・・・らしい!
プレゼントのハッピ(JID 60thロゴ入り)を着て手には漢字の「多宇乃・太留名」を持ってツーショット。
 その後、新幹線新神戸駅近くの竹中大工道具館へ
和式建築を支える伝統的な大工道具の数々や木組みの実物展示を観て日本の伝統文化の一端を感じて頂きました。


パッピを着て手には「多宇乃・太留名」

 ATCでのセミナーの後は、うつぼ公園近くのワインレストランでの歓迎パーティーにJIDメンバー他13名が参加してタウノさんとの再会を喜び話が弾みました。


JIDメンバーとウエルカムディナー

 大阪芸大でのセミナーが終わり、通訳を担って頂いた牧尾理事と森川さんと4人であまみ温泉の南天苑へ。
山間部にある南海高野線天見駅を降りて目の前の旅館。
南天苑は、東京駅や日本銀行本店などの西洋建築を手がけた建築家・辰野金吾氏による侘び寂びの意匠。
温泉に浸かった後の食事時には日も沈み、蛙の鳴き声をBGMに料理を頂き、日本情緒を堪能しながら23日からの9日間を締めくくりました。


最終日、あまみ温泉「南天苑」で日本料理