JIDnews 285

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

interior TREND

オランダ「ダッチデザイン」に見るモダニズム建築と
インテリア

西日本エリア長 安藤眞代

毎年訪れる10月のロンドンデザインウィークの後、今年はオランダの建築を見る為、アムステルダム、ロッテルダム、アイントホーフェンを訪れました。10月でも、もうかなり寒さが厳しくなっていたオランダでしたが、アムステルダムに住む知人の車で沢山の場所に訪れる事が出来ました。

早朝アムスを出発。日本でも話題になったフェルメールの「真珠の耳飾の少女」を収蔵するデン・ハーグのマウリッツハイス王立美術館をサクッと観て(もの凄い数の収蔵ですが〜)、デルフト焼きで有名な伝統的な古都の雰囲気が今に残るデルフトも鑑賞し、世界中で活躍する建築家集団MVRDVの建築が沢山あるロッテルダムに行きました。

近代都市ロッテルダムには「ダッチデザイン」に富んだ様々な建物があり、国際的な建築都市です。町中が普通の四角い建物は見当たらないくらい大胆で、面白い建築ばかりです。戦後の復興で様変わりしたロッテルダムは、市街地の建物のほとんどが1950年以降に建てられている新都市です。

中心地で一番目につく黄色い連続した小さな幾何学構造の建物「キュービックハウス」と、アーチ状の建物が目をひく「マルクトハル」(MVRDV設計)。
アーチ状の建物部分が集合住宅となっており、その真下(アーチの中)が全てマーケットとなっています。斬新すぎるデザインに本当にビックリしました。


アーチ状の建物が目をひく「マルクトハル」(MVRDV設計)


存在感が強烈なキュービックハウスは3階建ての住居になっていて、見た目も然る事ながら、敷地全体が歩道橋になっていて、真下は交通量の多い道路です。外観同様、家の中の壁ももちろん傾いているのですが、1984年に完成後、今でも人気があり入居待ちの状態とのことでした。


中心地で一番目につく黄色い連続した小さな幾何学構造の建物「キュービック」


また別の日に訪れた、ずっと行きたかったEindhoven(アイントホーフェン)は、今ではオランダ最大のデザインイベントDDWの開催都市となり、街中にはアートや建築の見所があるダッチデザインシティーの1つです。
ここでは世界で有名なピート・ハイン・イーク(PIET HEIN EEK)の工場を視察しました。デザインオフィス、ショールーム、ショップ、レストランも併設されていて、元フィリップスの工事跡を利用しています。スクラップ材木や工場廃棄物などの素材を利用して、リサイクルやサスティナブルなど環境を意識した手作り家具達には、大量生産品には生み出せない表情の豊かさを感じました。デザインオフィスも、ガラス張りで中の作業が丸見え!日本ではありえない〜ランチ時間はさらにドアまで開けっぱなし。おおらかさを感じました。


Eindhoven(アイントホーフェン)にあるPIET HEIN EEK(ピート ハイン イーク)の玄関脇にあるモニュメントの小屋。
(右は工場)

丸見えのDesign Room      トイレのサインがお洒落・・・


スクラップ材木や工場廃棄物などの素材を利用して、リサイクルやサスティナブルなど
環境を意識した手作り家具達 (左はショップのカウンター)

最後にアムス郊外にある、MVRDVが一躍有名となった高齢者集合住宅「オクラホマ」。トラムを乗り継いで頑張って向かいました。
カラフルでバラバラな配置のバルコニーがユニークで、立体的なファサードを作り出しています。最大で11mも飛び出したキャンティレバー(片持ち構造)が特徴的なデザインでした。


「オクラホマ」最大で11mも飛び出したキャンティレバー(片持ち構造)が特徴的なデザイン


今回は知人の車での移動も多く、とても恵まれたアムステルダム滞在となり、2回目のアムスも多くのダッチデザインを視察出来ました。
特にMVRDVの建築は驚きの連続!アムスの社会問題に一つの解決案を提案し、またダッチデザインを継承しつつも現代的で、合理性の高い建築を作り続けるMVRDVの活躍は今後も大変楽しみです。