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10月にRenewal Openした
「竹中大工道具館」を見て来ました。
西日本エリア 八十 常充
1984年に竹中工務店の企業博物館として神戸・中山手に誕生した「竹中大工道具館」は今年開館30年の節目に、新神戸駅から直ぐ近くの緑豊かな一角に「和」の装いで周りの風景にとけ込んだ姿で新設されました。
大邸宅をイメージした玄関門をくぐり、緑に囲まれたゆるやかなスロープを上ると、
ロビー入口の名栗仕上げの両開きのドアに導かれる。
先ず目を引くのが巨大な舟底天井。
大きな屋根を支える柱が見当たらず、庭に面するのはガラスとサッシがあるだけで天井が浮いた開放的な空間に驚く。
伝統の職人技と現代の建築技術が結集した大空間を実現。
他にも、建物の周囲を覆う壁は、京都の聚楽土を混ぜた漆喰仕上げや内側はパラリ仕上げ、風化した版築壁をイメージした土壁削出しなど。また屋根は淡路のいぶし瓦といたるところに伝統の職人技を見ることができるように工夫されている。
1階ロビーは企画展を行うスペースとなっているが、地元の木工作家たちがつくった木の椅子を並べ、気に入った椅子は作家と直接購入交渉が出来るシステムで、作家の援助を考えておられるそうです。
ロビーで行われるセミナーなどで使う椅子は木へのこだわりと収納性を配慮し、フィンランドのカリ・ヴィルタネン氏デザインの
「NIKARI KVT-2」200脚を京都・永野製作所でつくり納入されたそうです。
モダンな舟底天井にまったく違和感なくとけ込んでいます。
2008年夏のJID50thツアーと2010年に、カリさん宅でBBQを囲み国際交流を行いました。
道具館としての展示場は地下1階から2階へと続く空間に展示されています。
「五感にひびく展示」をコンセプトに、収集された約30,500点の中から約1,000点の鋸、鑿、鉋、墨掛け道具などが展示されている。
様々な大工道具を各種模型と組み合わせ、
「木の香りボックス」「木組みパズル」「砥石を顕微鏡でのぞいてみよう」「木の重さを比べてみよう」など、見るだけでなく、嗅ぐ、聴く、触れるなど五感に触れることの出来る手法は、こども達にも分かりやすい展示でした。
大工道具は職人たちの心と技と知恵によって守り、伝えられて来ましたが電動工具の普及で「道具」は消滅の運命にある中、「竹中大工道具館」の収集、保存に力を注ぎ後世に伝える意味を改めて強く感じました。