JIDnews 274

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

メンバーズSALON

「京都デザインシンポジウム開催のご報告」

西日本エリア長 安藤 眞代

英国メンバーのディスカッション


ダニエル氏の物件写真での、
ダイナミックなプレゼンテーション


350人満席の、京都精華大学内アゴラホール


登壇者での熱いディスカッション


京都精華大学内のカフェでの、懇親会


東京パレスホテルでの懇親会


インテリアライフスタイル展での、
現BIID会長スージーのプレゼン


満席のジャパンテックスセミナー

10月後半より、JIDと国際連盟IFI に共に加入する、英国インテリアデザイン協会(BIID)メンバー5人が来日いたしました。
現会長スージー・ロムフォルド、前会長ダニエル・ホープウッド、元会長スティーブン・ライアン、RIBA(建築士協会)&BIIDメンバーのグレゴリー・フィリップス、そしてBIID日本代表でロンドン在住の澤山乃莉子という、そうそうたるメンバーです。今回ロンドンオリンピックレガシーを日本に伝えるべく、英国大使館主催の英国インテリアセミナー(東京パレスホテル)に合わせて、ジャパンテックス トークイベント登壇から始まり、東北支援イベント、Houssセミナー、京都の美大でのシンポジウム、IFFTトークショー登壇など、前後に10か所にわたる日本でのミッションに参加、日本中を駆け抜けました。  

中でも11月5日(土)「豊かな京都伝統文化と、英国トップデザイナーの競演」として京都精華大学でのシンポジウムは、唯一英国インテリアデザイン協会、日本人メンバーの会が主催したイベントで、私を含む日本人メンバー30人全員が総力戦で臨みました。  大学内の350人収容の大きなアゴラホールに、学生、大学、京都伝統工芸関係者、そしてインテリアに関わる人たちでホールがほぼ満席に。
前半は各英国デザイナー各人のプレゼンテーション、後半は特別ゲストとして招かれていたHouss代表、工芸や建築を教える大学教授、JID元理事の安藤眞吾教授にも登壇いただきました。そして日本の工芸品や商材を扱う企業のプレゼンテーション、そして締めにはプレゼン者全員でのディスカッションという、京都の伝統文化とインテリアデザインを熱く語り合う、5時間に渡る大シンポジウムでした。  

今回来日したメンバー全てのデザイナーが商業系も住宅系も分け隔てなく手掛けられる英国トップデザイナーで、ロンドンではそれが当たり前です。そんな彼らのダイナミックな物件写真でのプレゼンは本当に素晴らしく、感動的でした。
英国のTVインテリア番組でも活躍するダニエルは、ロンドンでは「いい家、いいインテリア」に住んでいることが人々にとって最も重要で、格好良い事なんだと話していました。そのような人々の価値観が、英国のインテリアデザインを押し上げ、素晴らしいものにしています。ですから、彼ら英国インテリアデザイナーは医者・弁護士と同じくらいの地位と報酬を得て、自信を持って素晴らしい仕事をこなしています。

まだまだ日本のインテリアデザインは成熟途中で、デザインに対する価値観が低く、日本と英国では圧倒的な違いを感じます。しかし今回京都という場所でシンポジウムを開催した理由の一つに、日本の伝統工芸文化をディスカッションするに最適な場所だった事です。素晴らしい建築が残る京都、そして沢山の素晴らしい伝統工芸を保有する日本は、インテリアに伸びしろがまだまだあります。オリンピックを4年後に控える日本にいる私たちインテリアデザイナーは、もう一度アイデンティティを探り合い、唯一無二の日本のインテリアデザインを再認識することがとても重要です。  

インテリアデザイナー職の向上のために、長い時間をかけて建築家との協業体制を協会(BIID)として取り組み、それを実現化した彼ら英国デザイナー。今回シンポジウムに参加いただいた皆さま、そのダイナミックで素晴らしい仕事のプレゼンを聞き、目の当たりにすることで、改めて私たち日本のインテリアデザイナーの立ち位置を考える、よい機会になったのではないかと思います。5時間があっという間で、シンポジウム最後の登壇者全員での白熱したパネルディスカッションも大変興味深く、もっと長く聞きたかったとの意見も頂け、大盛況で終えることが出来たシンポジウムになりました。