JIDnews 288

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。




JID/KIPA/JCD/JIDAデザイン4団体共催
オンライン関西デザイン学生シンポジウム&作品展&作品展2020
「持続可能なデザイン」

 

広報委員長 魚田 純

 秋のJID西日本エリアイベントとして、10月10日オンライン・デザイン・シンポジューム「デザイン新常態2nd」及び「デザイン新常態3rd」に引き続いて、関西デザイン学生シンポジウム&作品展2020をテーマ「持続可能なデザイン」で、デザイン団体JID、KIPA、JCD、JIDAの協力により開催いたしました。

参加は関西の芸術系8校、30名の学生が14:00~17:00オンライン形式で行いました。
参加者:会場、視聴者約200名
サスティナビリティをテーマにしたものやコロナ禍を考えた発想も多く見受けられ、熱のこもった発表が展開されました。



1) 中央工学校OSAKA インテリア学科チーム
発表者:尾田夏□、神西結子、坂ノ下真理、谷村友紀奈、土手亜末花、(以下敬称略)
テーマ:持続可能なデザインなインテリア家具
 ショップのディスプレイや自宅の収納家具、食品や生花の廃棄軽減や古いものを受け継ぎ大切にしようと言う提案。 また、古いものから受ける良いエネルギーを取り入れていくなど学生らしい、柔軟な発想が盛り込まれた提案でした。   



2) 摂南大学 理工学部住環境デザイン学科
発表者:川畑隆一、斉藤綾介、竹上響生、竹田曹太郎、溝畠ひより、三田村創真、山田鈴
テーマ:マンション1階の一室をカフェに改装
人々が楽しめる音楽を取り入れたカフェや海やキャンプなど、地産地消を考えたカフェ。見えない壁として人との距離を取るなど動線を考えたコロナ禍ならではのアイデアもあれば日本の文化「侘び寂び」を意識したデザインもあり幅広い提案がありました。



3) 国士舘大学 理工学部建築学系 位田ゼミナール
発表者:近藤美月、武田夏音、宮野和花菜
テーマ:火山灰を用いた呼吸する内装材の開発 ―持続可能な建材の流れをデザインする―
 アンチSDGsを切口に始まったプレゼン。SDGsの真意が理解出来ておらず目標を達成する事がゴールになっていたり、一部の特権階級の人たちのビジネスツール化し、お金儲けの道具になっているのではないかなど今の課題を定義し、今あるものとして火山灰を使った循環型資源の建材、呼吸する内装建材の開発の提案をして頂きました。  



4) 神戸女子大学 家政学部家政学科 きまち研究室
発言者:東 成美、中島穂香、中西唯華、伏木美穂、村田優月、吉田安理、吉永知佳
テーマ1:ニューノーマルな働き方
 コンテナをオフィスワークに活用した提案で、都市部から離れた場所にオフィスワークを持つ事で感染予防になり、働き方の見直しになる。環境に優しく費用も少ない提案でした。
テーマ2:ストローとマスクの提案
 飲み口にはシリコンを、専用ブラシを付ける事で衛生的、またコンパクトでキーホルダーやネックレスとしても使えるチタン製のストロー(myストロー)の提案とバイオマスプラスチックを使用したフェイスシールド型マスクです。マスクは眼鏡に取り付けが出来て、印刷も自由で商品化が期待される提案でした。



5) 大手前短期大学 ライフデザイン総合学科
発言者:井上愛実
テーマ:新しい場所、商店街に於ける持続可能な構成の再構築
 空き店舗が多い商店街、過疎化による治安の悪さを防ぎ、街を持続させていく商店街の活性化を考えた提案。
  屋上にオープンスクリーンを設けて商店街の魅力を引き出して、街のコミュニケーション機能を高めた提案。



6) 大阪モード学園 S.I.L.A.B
発言者:李建禹、石川千尋、王文トウ、河本優、寇文馨、佐田百香、白井花奈、宋昕蓉、
    辻恭平、中谷大輝、南陸人
テーマ:Domestic Luxury Space ニューノーマルを社会で模索する、個人と社会の繋がり
 リモートワークが推奨され何処でも仕事が出来る様になった今、Uber farmersの様な働き方に合わせた移動可能な地方分散型のCommunityをつくる提案。
 景観を壊さない様にと配慮しコンテナを使った提案で都会から地方に移動し、美しい景観を楽しむ地方と都市との両立を考え、多くのパースによるわかりやすく大変魅力的な提案でした。



7) 大阪芸術大学 デザイン学科 プロダクトデザインコース
発言者:藤田海大、櫻井健登
テーマ:ビニール傘を再考する
 昔の和傘、障子、金継ぎ、扇子などは手を加えて繰り返して使う、手を加える事でモノに新しい価値を与える日本のモノに着目。再利用が出来ない年間8000万本も廃棄されているビニール傘をリデザインする提案。
 骨や持ち手の形や色を選んだり出来るPARALLEL、水に強い樹脂素材のポリプロピレンを使って作成。この事でサスティナビリティへの関心を高め世界の人々が環境意識を持つ切っ掛けになれば良い、昔のエコ文化を現代化してリデザインする事で持続可能なモノへと繋がるのではないかと言う提案でした。



8) フランス国立農業・食糧・環境教育機関 Agrocampus Ouest
発言者:飯田梨乃 (フランスより、リモート参加)
テーマ:持続可能な社会のための異なる経済主体間の協働デザイン
 温暖化を考えた環境サービスの取り組みについてフランスから参加。
ある論文によるとコロナの経済的影響はCSRに積極的に参加する企業は経済的ダメージが比較的小さいとされているとの事で、環境への取り組みをする事が経済的メリットになると言う事でした。
 実際には中々環境問題に取り組めている事は多くなく企業の経営者層や農業側が協働出来るデザインをしていく必要がある。
 環境的なデザインを取り入れた広義なデザイン提案はとても大変興味深く聞かせて頂きました。



■コメンテーター
 ・KIPA:小梶吉隆、・JCD:中村裕輔、・JIDA:櫻井裕太、・JID:井ノ阪智恵 (敬称略)



■司会進行
 ・JID:酒井コウジ、金沢ちかこ