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JIDnews 280

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

JID60thフィンランド・デザインツアー報告

 

西日本エリア 八十 常充

10年前の「JID50thフィンランド・デザインツアー」を再企画、今回は関西メンバー他8名で台風直撃の7月29日に出国し、いつもの様にヴァンター空港でsonny nakai氏の出迎えからツアーが始まりました。

・1日目(7/29):ヤルヴェンパのツゥスラ湖の周りに点在する元画家のアトリエやアールトの友人で音楽家のヨーナス・コッコネンのヴィラを訪れ、静かな湖や樹木を背景にした環境が人々の暮らしに影響し、自然素材を活かしたデザインの原点を体験。

・2日目(7/30):首都ヘルシンキから西へ約85kmにあるフィスカルス・アートビレッジへ、今夏の展示テーマは‘フィスカルス125%’。ビレッジ在住のアーティストによる、超リアルな人物像やアニマルの顔、器などの発想や技法、色使い等との出会いは感動的で多いに刺激を受けました。
 夕方からは、木工家カリ・ヴェルタネン&坂田ルツ子さんのお宅に伺ってBBQ。 持ち込み食材の準備を終えてサウナ小屋へ、全身汗のまま湖へドボン・・・の爽快感。 カリ氏ファミリーと一緒に白夜で時間の経つのを忘れて楽しい夜を過しました。

・3日目(7/31):カリ氏の会社NIKARIを訪問。自然素材を活かした素朴でユニークなNIKARIデザインの数々に感動。 サマー休暇中の工場に一部の人が出て、製作過程を見せていただきました。 工場電力は横の小川に設置した発電のエコシステム。製品に通じる精神性を感じます。

 見学後パイミオへ。結核療養所として患者の為にデザインされた曲面成型の斬新なスタイルのアームチェアーが発表されアルヴァ・アールトを一躍有名にした。
アールトはこの病院設計に、色彩・採光・照明・暖房・動線と周到に計画をした。
 受付ロビーから廊下、階段などに使われているカナリアン・イエローは長く続く暗い冬でも、患者が太陽の暖か味を感じさせる様に選ばれたと聞く。

・4日目(8/1):今回の目玉、ポルヴォーにお住まいのタウノ・タルナ氏を訪問
ポルヴォーはフィンランドで2番目に古い約800年の歴史のある街。
タウノ邸は築200年を越える朽ちた家屋を少しずつ5年をかけて改装された家
カイ・フランクのアートガラスを3000点の他に李朝の陶工や河井寛次郎など日本の陶芸家作品など多数のコレクションをされています。(8/2は自由行動日)

・6日目(8/3):アルヴァ・アールト事務所と自邸とオタニエミのアールト大学。
 現在のアールト事務所と自邸の見学は、時間設定でガイド付きの人気観光地?
以前の様に見たいところを自由に見ることが出来ない状況でした。
 それでもアールトデザインの開放的な窓やトップライトの形、当時使われたT定規や三角定規、烏口など机の上にさりげなく置かれた展示が懐かしい。