JIDnews303号(10月・11月・12月)

(発行日:2025.01.10)

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

編集

発  行  人:丹羽浩之
担 当 理 事:冨田恵子
編  集  長:八十常充
委  員  長:櫻井良樹
北・東日本エリア:小林秀徳
中日本エリア:兼子春彦
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:杉 佳亮

「 JID AWARD 2024 表彰式」 

JID AWARD 運営委員 副理事長 池田和修

日時: 1130日(土) 1400分~1630

 *会場:リビングデザインセンターOZONE  5階セミナールーム 

「JID AWARD 2024」は、予定されていた審査プロセスを終え、JID賞 各賞が決定し、表彰式が執り行われました。

<受賞者決定までの概要>

応募期間は3月11日~6月30日

今回の応募総数223点、予備審査を通過した審査対象作品の総数は184点。その内訳は、インテリアスペース部門139点、インテリアプロダクト部門25点、NEXTAGE部門21点、以上の184点です。

これらの作品は、第1次審査(Web審査)より絞り込まれました。

7月20日に開催された審査会で、

インテリアスペース部門139点中31点

インテリアプロダクト部門25点中13点 

NEXTAGE部門については 21点中21点  

以上2次審査に進む作品65点が決まりました

インテリアスペース部門は、2次審査(現地審査)が 8月19日~9月21日の期間に行われました。選考委員が手分けして 北海道から九州、全国にわたる31作品の現地審査を行いました。

インテリアプロダクト部門の2次審査(現物審査)・NEXTAGE部門の2次審査は、10月5日、リビングデザインセンターOZONEセミナールームにおいて、並びに 同日 JID AWARD 2024 最終審査会が実施されました。

同 審査会には、JID選考委員8名(米谷ひろし、近藤康夫 清水忠男 小宮容一 木辺智子 酒井浩司 海老沢宏 安藤眞代)に、昨年、JID AWARD大賞を受賞された 株式会社IKAWAYA建築設計 代表取締役  井川充司 氏 が、ゲスト審査委員として、そしてJIDの丹羽理事長が加わり、長時間にわたる審議を行い、JID賞 各賞が決定いたしました。

NEXTAGE部門から 13点 

インテリアプロダクト部門から 4

インテリアスペース部門から14点

合計 31点が入賞し、入賞作品の中から3部門それぞれに 金賞 銀賞 銅賞 が、ネクストエイジ部門には 奨励賞 が加わり、そして全部門の中から ゲスト審査員賞(井川賞)と 最も優秀な作品に贈られる大賞が決まりました。

JID賞 大賞 

竹中育英会学生寮

/垣谷伸彦 佐田野剛 眞鍋展仁 熊谷雄(株式会社竹中工務店)

JID賞 NEXTAGE部門

NEXTAGE部門 奨励賞 3作品

NEXTAGE部門 銅賞 5作品

NEXTAGE部門 銀賞 4作品

NEXTAGE部門 金賞 1作品

インテリアプロダクト部門

インテリアプロダクト部門 銅賞 2作品

インテリアプロダクト部門 銀賞 1作品

インテリアプロダクト部門 金賞 1作品

インテリアスペース部門

インテリアスペース部門 銅賞 5作品

インテリアスペース部門 銀賞 4作品

インテリアスペース部門 金賞 3作品

ゲスト審査員賞 井川賞    1作品

 

各部門受賞作品・審査講評は下記webサイトに公開されています

 

受賞作品展は、リビングデザインセンターOZONE6階ロードサイドスクエアにて、11月28(木)~12月10日(火)まで開催されました。

ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」東京ミッドタウンで開催報告

1950年代以降の日本のデザインの各領域のアーカイブから
未来の生活社会のルーツとなるデザインを見出す企画展
2024年9月20日(金)から10月25日(金)

JID共催事業 担当理事
DOO – ジャパンデザインミュージアム設立研究委員会委員
井出昭子

東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区/構成機関:公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイ ン協会、多摩美術大学 TUB)は、日本デザイン団体協議会(DOO)との共催で、東京ミッドタウン・デザインハブ第110回企画展 「ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」を2024年9月20日(金)から10月25日(金)まで実施しました。

DOO – ジャパンデザインミュージアム設立研究委員会の委員である池田和修JID副理事長と私、井出昭子が、開催実行委員として携わりました、ご来場まことにありとうございました。

【ジャパンデザインの系譜】は、1950 年代から現在までの各時代の 8 つのデザイン領域(空間、グラフィック、クラフト、インテリア、インダストリアル、ジュエリー、パッケー ジ、サイン)にわたる代表的なデザインを精選し、その時代背景と共にグラフィックで年代順に展示します。日本のデザインをストックし、 アーカイブ化することを目指す DOO ジャパン デザイン ミュージアム設立研究委員会の活動の現時点での研究成果の展示です。

戦後から70年間のジャパンデザインの事例が圧巻のビジュアルで展示され、アンケートからも読み取れるように来場者を魅了し、多くの方から讃称の声をいただきました。

また会期中に様々な関連イベント企画を行い、10月20日「ROOTSOFFUTUREQ×セッション」には、丹羽浩之 JID理事長がトークイベントに登壇いたしました。

関連イベントの報告は、レポートをご覧ください。

 ■会期:2024920()- 1025()11:00-19:00(会期中無休・入場無料

 ■来場者数:7,291 (1 日平均 202

 ●企画概要 

日本デザイン団体協議会(DOO)は、日本の7領域のデザイン団体(空間・グラフィック・インテリア・インダストリアル・ジュエリー・パ ッケージ・サイン。2021年までクラフトを含む8団体)による協議会です。本展は、DOOのジャパン デザイン ミュージアム設立研究 委員会がこれまで取り組んできた日本のデザインのアーカイブ事業を基に、1950年代から2020年代までの日本のデザインをグラ フィックで振り返る「クロニクル」パートと、複数のテーマに基づいてピックアップした時代や領域を横断する約90点の日本のデザイ ンに未来へのルーツを見つける「発見」パートで構成されます。 日本のデザインを多様な視点で探ることで、さまざまな時代のデザインの魅力を改めて発見し、これからの生活や社会とデザインを 考える機会となることを期待します。 

●開催概要 

名称:東京ミッドタウン・デザインハブ第110回企画展 

       「ROOTS OF FUTURE 過去を探って、未来を見つける」 

会期:2024年9月20日(金)- 10月25日(金)11:00-19:00(会期中無休・入場無料) 

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F) 

主催:東京ミッドタウン・デザインハブ https://www.designhub.jp/ 

共催:日本デザイン団体協議会(DOO)  http://www.d-eight.jp 

  (DOO -ジャパンデザインミュージアム設立研究委員会)
・ディレクター:土田貴宏 クリエイティブディレクター

・グラフィックデザイン:廣村正彰  空間デザイン:原田圭 

IDMシンポジウム2024「ここから」・今年は建築会館ホールで開催

北・東日本エリア 冨田 恵子

JIDが参画しているIDM(Interior Design Meeting)が毎年開催しているシンポジウム及び交流会(the NIGHT)は、例年五反田の東京デザインセンターを会場としていましたが、今年は趣向を変えて日本建築学会が所有する港区の建築会館ホールを利用して11月27日に行われました。

建築会館ホールでのシンポジウム。交流会も同会場で開催されました。 写真提供・霜野 隆氏(JIPA)

第1部のシンポジウムはIDM参加団体の会員のうち8名が3つのグループに分かれて登壇し、共通テーマである「リモデリング」に沿ったそれぞれの活動や事例について発表しました。JIDからは冨田恵子が登壇し、代表を務めるIDMの研究会「エシカルなインテリア研究会」の活動と、エシカルという視座で共有できるリモデリングの考え方について述べました。

JID及びIDMエシカルなインテリア研究会代表・冨田恵子の発表

第1部の最後に登壇者とモデレータの飯島 直樹氏(一般社団法人日本商環境デザイン協会・JCD監事)、そしてこのシンポジウム全体のファシリテーターである菊池クリス氏(一般社団法人国際建材・設備産業協会・IBMF事務局長)によるパネルディスカッションが行われ、海外事例と比較した国内のリモデリングにおける問題点や今後の展開について興味深い議論が交わされました。

第1部パネルディスカッションの様子 写真提供・霜野 隆氏(JIPA)

当協会はIDMの設立準備から参画し、現在の組織運営に携わるコアメンバーという立場にあります。(JID担当・池田副理事長)

IDMとはインテリアの関連団体が横につながりゆるく連携していく手法で業界の活性化をはかろうとする組織体であり、JAPAN SHOPはじめ今後も様々なイベントが企画されています。JID会員のみなさまにも積極的にご参加いただけますようお願いいたします。

丹羽理事長がVMARK VIETNAM DESIGN WEEK 2024 DESIGN SUMMITに登壇しました。

国際委員会担当理事 酒井浩司

VDAS Design Association(ベトナム ホーチミン)は、VMARK VIETNAM DESIGN WEEK 2024をTHISKYHALL Sala於いて開催しました。
VDASは、JID(丹羽理事長)がデザインアワードの審査協力などによるデザイン交流を深めている海外のデザインの団体の一つです。
開催当日には、企業家やスタートアップ事業者、才能豊かなデザイナーなど500名を超えるゲストが集まりました。

オープニングセレモニーの様子
開会の様子(左President Ho Tan Duong氏、右Vice President& VMARK Award 創設者Ngoc Danh Tran氏)

インターナショナルデザインサミットでは、Design Thinking.Design Tomorrowをテーマに、イノベーションやデザインにおけるテクノロジーの応用、ビジネスにおけるデザインの役割といった主要なトピックについて、世界各地から集まったインターナショナルなデザイナーや建築家、企業家による講演が行われました。

デザインサミットで、講演する丹羽理事長


日本からは丹羽浩之理事長が登壇し、「空間デザインプロセス」をテーマに、日本特有の美意識や間の文化における曖昧さについて、具体的な事例を通じて日本流のデザイン手法を紹介しました。また、平面、立体、時間軸といった多様な要素を組み合わせた「空間」の創造が最も総合的な芸術であることを強調し、デザイン思考の影響力と重要性について熱く語りました。会場はその情熱に包まれ、一層盛り上がりを見せました。

デザインサミット 酒井理事も参加したラウンドディスカッションの様子

当日の夜には、今年最も優れたデザインプロジェクトを称えるVMARK AWARD 2024ガラナイトが盛大に開催され、ベトナムのデザイン、インテリア建築業界にとって最高の瞬間となりました。

ガラパーティ&アワードセレモニーの様子
アワードセレモニー INTERNATIONAL WINNERには、日本から応募のSTAR 佐竹 永太郎氏も受賞
左:GOLDEN WINNERS受賞者の皆様、右:ベトナムで活躍中の建築家丹羽隆志氏は、今年も受賞)

VMARK AWARDは、海外からのエントリーも可能です。インターナショナルなアワードに興味ある方は、ぜひ、VMARK AWARD 2025に挑戦してみてはいかがでしょうか?
VMARK AWARDの様子は、YouTubeにてご覧いただけます。
https://youtu.be/1mIBvaCD024?si=dnxtTI_PBb3PjpqW

VIETNAM DESIGN WEEK 2024 | CEREMONY GALA PARTY
ガラパーティ VMARK AWARD WINNERS(受賞者の皆様と審査員)

VDAS VMARK AWARD2025にご興味のある方は、詳細内容については、以下のURLから、ご覧いただけます。
https://www.vietnamdesignweek.org/

第26回デザイン職人「四方山話」京町家杉本家 見学・セミナー

デザイン職人四方山話委員会 委員長 藤本文明

先にご案内しました 京町家杉本家の見学とセミナー は、昨年につづいて理事会で四エリア合同の企画と承認を受け、準備も順調に進んでいます。

参加を検討中の皆さまは、お早めに申し込みをお願いします。

見学先 京町家 杉本家(重要文化財)
住 所 京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116番地

見学に先立ちセミナー を開催します。

セミナー 講師 京都工芸繊維大学教授 清水重敦氏

  • 日時 2025年3月22日(土)受付PM 12:30 現地集合
  • 募集人数 30名 先着順受付
  • 参加費 6000円/人 見学先入館料・セミナー 参加費を含む
  • 懇親会 計画中です (費用別途当日支払)

詳細・お申込みは information をご覧下さい。

JID企業とデザイナーの大交流忘年会

中日本エリア長 兼子春彦

毎年年末の恒例行事として、去る12月9日に家具工房と店舗併設のユニークな24ピラースという場所を昨年同様の会場とし開催いたしました。

今回の参加者合計は47名で企業様23名、JIDメンバー及びデザイナー陣24名とテーマに沿った参加者の配分となりました。非常に良いバランスで会が行えたと思いました。まずは協賛企業様方々の企業PRの時間を30分ほど行い、乾杯の音頭で会が開始されました。

参加者の方々で積極的に名刺交換や会話が弾みコミュニケーションが十分図られたと感じました。中締めには大阪から酒井理事も駆けつけていただき国際関係との現況を熱く語っていただきました。

最後は株式会社ワーロン 渡辺社長の一本締めで散会となりました。

また次回も皆さま宜しくお願いします。

JID デザインカンファレンストーク  伝統から革新へのデザインへ

西日本エリア 広報委員長 魚田 純

2024年11月15日(金)にJID デザインカンファレンストークを開催致しましたのでご報告を致します。

会場は株式会社スミノエ様のショールムをお借りし開催いたしました。

このカンファレンスでは未来のデザインやこれからの素敵な暮らしの実現の手掛かりを探すため今回は伝統の知恵と革新の技術が融合する場所をテーマに5人のゲストがそれぞれの視点から,これからのデザインについて語っていただきました。

歴史的背景を持つ技法や手法,最先端のデザインアプローチがどのように共存し,新しいデザインを生み出すのかその手がかりを探る大変興味深い内容となりました。

会場はスミノエインテリアプラザ/大阪ショールーム沢山の方にご参加頂きました。

Panelists①

和紙ソムリエ 杉原 吉直 様 / 和紙屋 杉原商店 社長  

テーマ:和紙再発見、和紙で彩る未来の空間

 150年前までは和紙を生活に取り入れていた日本では和紙は書写用から印刷、紙幣、建築内装、装飾と多岐に渡って使用されていたが、海外では和紙のことは「画用紙」というイメージだったそうですが今は海外ブランドのディスプレイやホテル、レストラン、ミラノ・デザイン・ウィークやメゾン・エ・オブジェでも和紙を使ったデザインが増え、様々な作品を手掛けられたそうです。

 日本では「紙は神に通じる」と言われ、紙を祀る風習があるそうです。戦国時代武将が書状に使っていた越前和紙の歴史など大変興味深いお話を聞かせていただきました。

杉原商店が手掛けた作品についてのご紹介

詳しくは杉原様の寄稿文をお読みください。

Panelists②

建築家 奥和田 健 様 / okuwada 代表、Teradacho Void / long coffee counter 店主

テーマ:地域社会に侵食するデザインと運営の実践

事務所でカフェ(屋台)を営み、コーヒー焼酎を作ったり、フェスを開催され、建築と住宅そして店舗のデザインを主軸としながら、住民と街をつなぐコミュニティづくりや住宅、店舗デザインを行っているお話しを事例をまじえてお話し頂きました。

人気のコーヒ焼酎
事務所の一階、こちらでカフェを運営されています

Panelists③

建築 & インテリアデザイナー  丹羽 浩之 様 / 有限会社ヴォイド 代表、公益社団法人日本インテリアデザイナー協会理事長   

テーマ:豊かな暮らしの実現に向けたデザイン

JIDの発足当時のお話しから始まり、デザインとは何か、空間をデザインするとは何かなど、日本文化の「間の文化(あいまいさ)」もとに丹羽さんの考えを聞かせて頂きました。手掛けられたデザインの事例を企画の段階から解説して頂き、デザインへのこだわりを共有して頂きました。

JIDの沿革
インテリアデザインについて語って頂きました

Panelists④

インテリアデザイナー 安藤 眞代 様 / studioMa代表、JID理事、日本インテリア学会会員、英国インテリア協会BIID正会員

テーマ:最新ロンドンデザインとデザインアワードの動向から

DECOREX2024ロンドンの視察から、展示会で使われていた色や素材、デザインのポイント、展示会の見どころまでお話ししていただきました。海外のデザインには日本の伝統芸術や風習がデザインに取り入れられており、今、日本が海外から注目されていると言う興味深い話も聞かせて頂きました。

安藤さんはJIDが加盟するIFI(世界インテリアアーキテクト/デザイナー団体連合)のコンペティション、ヘルス部門でブロンズ賞を受賞され、そのデザインについてのお話しもしていただきました。

今年、選考委員をされていたこともありJID AWARD 2024の受賞者の話についても触れて頂きました。

JIDが加盟するIFIについて

第20回 学生インテリアデザインコンテスト

南日本エリア 広報 杉 佳亮

 2025年2月22日から記念すべき第20回となる学生インテリアデザインコンテストが開催されます。

同時にJID AWARD 2024受賞作品展示会と、特別講演会、ワークショップも開催されます。

コンテストの概要や応募要項、特別講演会の詳細は添付応募チラシをご参照ください。

応募締切は2025年2月3日まで。学生や個人の皆様の個性溢れる作品応募をお待ちしております。

インテリア素材としての「和紙」

西日本エリア 八十常充

 11月15日、西日本エリアが開催したデザインカンファレンストーク「伝統から革新のデザイン」に、ゲストパネリストとしてお越し頂いた(株)杉原商店杉原社長のお話から、改めて日本に古くから伝わる「和紙」を新しいインテリア素材として見直す価値を強く感じましたのでご紹介致します。

 そもそも紙は、2200年前に中国で発祥し古代中国の文化が生んだ発明品です。

日本には約1500年前に高句麗から製紙法が伝わったとされています。 

当時は仏教で日本を治めようとされていた時代、仏教の伝来と同時に製紙法が伝わり、情報手段として紙が使用されて全国に広まりました。

 和紙は、日本で独自に研究や改良がされて、この技術から楮(コウゾ)、雁皮(ガンピ)、三椏(ミツマタ)などさまざまな植物の靭皮繊維から紙を漉くことが可能になりました。

 12月7日NHKで放映された美の壺のテーマは「和紙」でした。

日本画家の千住博は雲肌和紙独特の風合いを活かして「ザ・ウオール」を制作しました。

横山大観も晩年は越前和紙にしか作品を残しておりません。

 インテリアの素材として「和紙」が注目されています。

和紙が持つ柔らかな風合いや、他の材料にはない和紙独特の色や雰囲気の他に、機能面でも通気性の良さや熱伝導率の低さから断熱効果など自然素材が見直されています。

 国内外での展示施工例として、ミラノサローネでのレクサスブース(1)、メゾンオブジェの石井幹子&明理ブース(2)や店舗事例のグランフロント大阪 キッチンハウス(3)、ホテルや旅館(4)、照明器具などご覧ください。

㈱杉原商店は令和元年に国土交通大臣認定の不燃認定番号を取得しています。

*資料提供:株式会社杉原商店社長 和紙ソムリエ 杉原吉直様 

ミラノサローネでのレクサスブース-1
ミラノサローネでのレクサスブース-2
メゾンオブジェの石井幹子&明理ブース
メゾンオブジェの石井幹子&明理ブース-2

2024,秋ロンドンインテリア視察―コンバージョン建築編

西日本エリア 担当理事 安藤眞代

毎年9月、10月にロンドンで開催されるデザインイベントをロンドンデザインウィークと呼び、各地で多数の展示会(exhibition)が開催されます。2024年10月、2年振りにロンドンで行われる様々プレゼンスの高いインテリア展示会と、ロンドンで今とても熱い、コンバージョン建築を様々視察して来ました。

イギリスは歴史的建物がとても多いので、特別な建築的価値や歴史的意義を持つ建物は特別な保護がされています。その中でグレード1 の指定建造物の例としては、城や教会、大きなカントリーハウス、古い銀行などがあります。今回メイフェア地区にある1974年に聖別された、グレード1指定のセントマークス教会をコンバージョンした”Mercato Mayfair”(メルカート・メイフェア)に行ってきました。驚くのは、教会によくある幻想的なステンドグラスや、礼拝堂など、ほとんどの教会建築を残したまま、中が丸々フードコートになっているのです。イエス様の前で、ビールを継いでもらうのは、なかなか不思議な光景です。

また、ロンドンのインテリアの視察で一番よく使う、スローンスクエア駅すぐの高級タウンハウスの一角、19世紀の元邸宅の「At Sloane 」は、5つ星で30室の隠れ家的ホテルです。立派なタウンハウスが続くロードの中で、ホテル名も表には何処にも明記がなく、ホテルのドアマンが立っている事で、やっと気が付く感じのホテルです。ただ一歩中に入ると、非常に豪華な雰囲気が漂うインテリアで、スローニー(イギリスの上流階級が好む伝統的で上品なスタイル)であると同時に、客室やレストランはパリらしさも感じられるインテリアです。宿泊者だけのための隠れ家感があり、バーもレストランも非常にゆったりと寛げました。

ロンドンのピムリコロードは、世界のトップクラスのアートギャラリーやハイエンドのインテリアショールーム、アンティークショップなどが数多く立ち並ぶインテリアロードです。昨年出来た”Newson’s Yard”(ニューソンズヤード)は、ロンドン最古の木材置き場をコンバージョンした、新しい一流のデザインスポットです。インテリアはニューソンズ ヤードの元々のビクトリア朝時代のレンガ造りや、構造用鋼の梁は露出したままにしながら、空間の歴史を強調しています。今ここには、日本でも人気のインテリアデザイナーの”ニナ キャンベル”の大きなデザインスタジオ、そして北欧デザインギャラリーの”モダニティ”など、多くのインテリアショップが入っています。

最後に回ったコンバージョンで一番驚いたのは、ビクトリア時代の公衆トイレがワインバーになっていたのです。19世紀に過密になったロンドンで、地下にたくさんの公衆トイレが建設されましたが、人目につきにくい地下は治安が悪く、その後長く閉鎖されていたのです。それを近年、その立地の良さと独特の雰囲気で、バーやカフェに生まれ変わっているのです。

今回の視察で、英国は豊な時代の素晴らしい歴史的な建物が本当に多く残っていると、改めて感じました。今イギリスは、復元と近代化の微妙なバランスをとって、古いものと新しいものがシームレスに融合した、とてもユニークなコンバージョン建築を沢山生み出しています。

インテリアで世界をリードする英国の今後にも、注目していきたいと思います。

グレード1指定のセントマークス教会をコンバージョンした ”Mercato Mayfair” ステンドグラスや礼拝堂などの前で、飲んだり食べたりするのはなかなかの光景です
ドアマンがいるので、やっとホテルと気が付く
元邸宅の「At Sloane 」の、さりげない感じが素敵なフロントデスク

一歩足を踏み入れると、歴史と重厚感のあるインテリア」が広がります

元々のビクトリア朝時代のレンガ造りや、構造用鋼の梁は露出したままのNewson’s Yard吹き抜け

元トイレのコンバージョン、古いタイルが残り、雰囲気のある店内

2025.01.10

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