初めてのミラノ訪問＆ミラノサローネ2013レポート

吉原 哲也

今回、TuTuMu Exhibition参加、及び、ミラノサローネ視察のため、初めてミラノを訪れました。ミラノの街を観て、まず最初に街の景観に統一感があることに驚かされました。個々の建物のデザインや色合いは少しずつ異なるのですが、建物の高さは抑えられ不自然な看板などはなく、全体として景観が調和していました。

約１０日間の滞在のうち、ミラノ在住の日本人アーティストの方の自宅に３泊させていただいたので、短期間でありながら現地の生活ぶりを感じることができました。

芸術・デザインの都市ミラノを本や話では聞いていましたが、今回実際に訪問し、我が家のリビングや街中のレストランで家族や友人たちとおいしい食事を楽しんだり、保存された古い建物をうまく活用し、部屋のインテリアを工夫して生活を楽しむという暮らしの中から、身の回りのモノを長く大事に使っていく文化が育まれ、優れたデザインが生まれるのだなと改めて思いました。

　

　

今年のミラノサローネ（国際見本市会場）では、例年の家具、インテリア小物に加え、隔年に開催されている照明、オフィス家具の展示がありました。そのなかでも特に目を引いたのが、オフィス家具展示会場で広いスペースを独占していたフランス人建築家ジャン・ヌーベル氏のプロジェクトです。「Office for Living」というコンセプトのもと、働く場と生活の場との融合を考えた未来の新しいワークスタイルを提案していました。

　

　

会場はあまりに広いので、気になるエリアのみの駆け足での視察でしたが、他の展示会場も魅力的なデザインの家具や照明や展示ブースが盛りだくさんで勉強になることばかりでした。

展示会場内に若手デザイナー専用に設けられたスペースであるサテリテでは、今年は１８組（全体の約１５％）が日本から出展されていました。例年に比べると全体的に勢いがないという意見も聞かれましたが、世界中から集まったデザイナー達の情熱を彼らの作品から十分に感じることができました。

また、シティー会場（フォーリサローネ）であるトルトーナ地区、ブレラ地区、ランブラーテ地区なども時間の許す限り観て回りました。

　

　

今回、初めてのミラノ訪問でしたが、出展参加メンバーやデザイナー仲間が回りにたくさんいたこともあり、たいへん内容の濃い充実したものになりました。次のミラノ訪問の機会を心待ちにしながら、私たちが暮らす現代の日本にふさわしい建築、インテリア、家具、デザインについて改めて見つめなおしていきたいと思います。

2013.ミラノサローネ（フォーリサローネ）報告

安藤 眞代

　今年のフォーリサローネは、何時も楽しみにしているスーパースタジオがあるTORTONA（トルトーナ）地区でのイベントが元気がなかった事に驚きました。

何年か前までは道ばたまでパフォーマンスや、イベントが溢れていて、見るのも大変だったスーパースタジオの地下にはかなりの空きスペースがあり、いつもこの地区の話題にのぼるキャノンの出展もありませんでした。それでも大御所の東芝、カネカ、サムソンはこの地区に出展しており、有機ELの幻想的な空間”Infuse”のカネカ、東芝のLED展示「SOFFIO」、サムソンはスマホを使ったインスタレーション、どれも見ごたえがありました。

　

　

　

　トルトーナやブレラ地区に並び、今やフォオリサローネの一大エリアに育ってきたLAMBRATE（ランブラーテ）は、今年はかなりの活気でした。会場はほとんどが倉庫で、広々とした中に、わくわくする若手クリエーターの展示がひしめき合い、見る人達もごった返し以前のトルトーナのようで、ランブラーテ地区への出展がトレンドとなっている状況がうかがえました。

　

　

　また常に新しいデザインの在り方を発掘、提案している市内のギャラリー＆デザインショップRossana Orlandi（ロッサンナ・オルランディ）での展示、カリモクニュースタンダード。カリモクカラーと言われる微妙なニュアンスカラーは今年あちこちで見る事が出来、今年のテーマカラーと言えると思います。

　

　ヨーロッパ全体が景気が悪い中、やはりミラノサローネは相変わらず世界から人が押し寄せる魅力的なイテリアのデザインイベントである事は変わりなく、この展示会にかけるインテリア業界の意気込が、今年も十分に感じられるミラノでした。