JID中日本エリア学生賞2021

Japan Interior Designers' Association - information

JID中日本エリア学生賞2021 名古屋学芸大学

学校法人中西学園 名古屋学芸大学
メディア造形学部デザイン学科
SPDコース SD領域

恒川 彩夏( Ayaka Tsunekawa )さん

「オトマチ」
私たちは音を発したり、聞いたり、想像することによって音を楽しみ、常に音と共存しています。 音楽は誰もが楽しめるものであり、人の心を豊かにする力があります。
住宅街を歩いていると誰かが練習しているピアノの音がふと聞こえてきたり…。 私はそんな何気ない音楽にも人の心を揺さぶる力があると感じています。
作曲家エリック・サティの『家具の音楽』の思想に沿って、意識的に聞かれることがなく、普段通りの生活の中で音楽が“当たり前にあるもの”にすることを設計の目標にしました。 音楽で地域と暮らしに彩りをもたらし、人々がまた“オト”ずれたくなるような音楽で溢れ賑わうマチの計画です。

評価のポイント:
若手の音楽家や音楽が好きな人たちが暮らす地域として、昭和区の丘陵地を再開発する提案である。 住宅商業施設が共存するエリアと、住宅専用のエリアが通りに沿って街路を形成し、半地下部分に音楽の練習室や小ホールを配置することで、街路を歩いていると音が聞こえてくるという、感性豊かな生活空間を計画した。

JID中日本エリア学生賞2021 金城学院大学

金城学院大学
生活環境学部 環境デザイン学科
空間デザインコース

森 有美香( Yumika Mori )さん

「Connect from the station」~駅からの繋がり~
名古屋市営地下鉄名城公園駅は2022年に造形大学、2025年に新愛知県体育館などが建設予定となっている。 名古屋城や名城公園に近接しており、利用増加が想定される。 新たな建物を建設するだけでなく、その周りの環境や公共機関も同様に改善し、過疎化しない空間が必要となる。 本設計では単に利便性の良い地下鉄への通路としてだけでなく、多くの人が滞在・利用できる快適な空間づくりを目的とした。

評価のポイント:
地下鉄コンコースという公共性の高い地下空間のインテリアデザイン設計に取り組んだ作品である。 名古屋城、名城公園、愛知県体育館でのイベント時の利用客と合わせ、大学生の通学・帰宅ラッシュが想定できる今、新しい建物の建築と同時に公共交通機関のための設計が必要であるとして名城公園駅の改修の提案がなされた。 地下鉄までの通路としてだけでなく、地下コンコースが新たな滞在時間を過ごす場として設計された。

JID中日本エリア学生賞2021 トライデントデザイン専門学校

トライデントデザイン専門学校 総合デザイン学科
インテリアデザインコース

伊藤 弘晃( Hiroaki Ito )さん

「狭間建築」
一般的な駅はプラットホームとその上屋、線路、駅舎で構成されており、普遍的であり駅という概念が決まってしまっていることに疑問を呈し、提案しています。商店街と駅が都市計画道路の整備事業により駅からの人の流れが分断された為、人の流れを取り戻し新たな流れを取り入れるように工夫しました。

3階建ての建物で1階は半屋外となっています。交流スペースは傾斜地や高低差を活かすと同時に自然を取り込み人のたまり場と心地良さを重視しています。2階はコンコースで電車の乗り継ぎ場と第二の交流空間です。商店スペースを設け、食べ歩きや電車を間近で眺める事が出来ます。3階は連絡通路とし、主に電車の乗り換え時に利用します。コアワーキングスペースを設けています。

ただ乗り換える為の利用としてだけではなく、交流スペースや休憩スペースを設置することで電車が来るまでの時間を快適に過ごせるように計画しました。また、勉強スペースを計画し、空き時間を有効に利用できるようにしました。

コアワーキングスペースでは、異なる職業や仕事を持った人たちが同じ場所をシェアすることで情報交換や協働などの相乗効果を期待しています。

インパクトのある外観デザインは、視線を遮りながら光と風を通す格子を用い、屋根を曲線とすることで時間によって表情が変わるように設計しています。

評価のポイント:
線路と線路の間の手入れがされていない敷地に着目し、建物の建設によって失われた緑を復元しています。電車利用の動線はもとより様々なスペース空間を取り入れようと提案している点は高く評価できます。

JID中日本エリア学生賞2021 中部大学

中部大学大学 工学部 建築学科

中村 衣里( Eri Nakamura )さん

「地元の人々と観光客の共存できる場をめざして」
~ワークショップとワーケーションによる湯の山温泉の再生~
減少傾向にある旅行客を呼び戻すと共に、地域住民にとっても拠り所となるような建築を目指した。 旅行客と地域住民が建築を共有することで、思いがけない出会いを生み出し、地域に賑わいと活気を取り戻す。

評価のポイント:
かつての活気を失ってしまった湯の山温泉に、ワーケーション、体験型の観光、そして地元の人々と観光客との交流をキーワードにして活性化を図る施設を提案した。 緩やかな斜面と対峙するかのような、3つの軸を持つ幾何学的造形が高く評価された。

JID中日本エリア学生賞2021 名古屋造形大学

名古屋造形大学
建築・インテリアデザインコース

出田 開( Mirai Ideta )さん

「防災の新しい形」
近年、大型の台風やゲリラ豪雨などの短時間での局所的な豪雨が多発しており、それに伴って川の増水による堤防の決壊や川の氾濫などの水害が増加しています。こういった水害はこの先も増加していくとみられています。
 しかし、水害に対する意識や対策はなかなかこういった現状に追いつけておらず、遅れています。 地域住民の中でもハザードマップを把握していたり、避難所の場所を把握している人は少なく、水害が想定されている地域の住民の意識もそこまで高くはありません。 このままでは急な豪雨や増水によって水害が発生した時に、避難が遅れてしまい、甚大な被害になってしまうことが想定されます。

こういった現状を踏まえて、私は水害が起きた時に地域住民がわかりやすく、安全に避難できるような「避難路」を設計します。

しかし、ただ安全に避難できるものを作るだけでは住民たちの避難路のルートを把握することはできないのではないかと考え、日常的に避難路を活用できる設計にしました。 「避難路」は市場やビニールハウス、あるいは作物の収穫のための作業のスペースなど、「避難路」が通る場所によって用途を変えます。

このように日常的に「避難路」を使うことで、住民は生活の一部にこの「避難路」を体感し、防災意識を生活の中で育むことができます。

評価のポイント:
昨今の集中豪雨による洪水に対し、河川流域の住民を安全に避難させるための避難路計画。 田園風景の中に馴染む木造陸橋によって、普段の生活の中で活用できる避難路をデザインしている。 彼の地道な敷地ルート探索と構造検討、デザイン表現を高く評価します。

JID中日本エリア学生賞2021 大同大学

大同大学 情報学部 情報デザイン学科
プロダクトデザイン専攻

鏡 健一( Kenichi Kagami )さん

「和机と書道具の研究」
書道に特化し、現代家屋に調和するデザインを持つ和机。 大きな変化がなかった和机に、書道に適したサイズや美しい佇まいを与えるだけではなく、書道具をディスプレイできる演出性を追求した。 更に「お手本」を表示させたタブレットをガラス天板越しに確認できる新構造も考案。 文鎮、硯、筆も美しい造形や使い勝手の観点から研究を重ね、新たな価値観を持つ書道具を創造した。

評価のポイント:
意匠や構造など家具としての完成度だけでなく、習字道具個々のデザインや、新機能を可能にするガラス天板のアイデアを評価。 ローカルな文化とグローバルなデザインが高次元で融合した家具が完成したと言える。

JID中日本エリア学生賞2021 椙山女学園大学

椙山女学園大学
生活環境デザイン学科

伊東 杏菜( Anna Ito )さん / 井波 春菜( Haruna Inami )さん

「Spread of mind」
~星が丘から森、自然を望む~
椙山女学園大学生活科学部棟の現最上階の6階の上部に7階を増設する。
7Fエレベータホール、水庭に隣接した半屋外のアプロ―チ空間やエントランス空間にて西の都会と南部の広大な東山の樹木を見下ろし、精神的な浄化、うつろいとの出会いにより気持ちに大きな変化が生じる。 その奥に大学全体として使用できる多目的大ホール(講演会、学会の発表会、レセプション、イベント等に多用する空間)、作品展示空間やレセプション・BARが開放的に繋がっている。 これらの空間は、屋外空間との360度の繋がりが創成されている。
南面は数キロ先まで樹木で覆われた東山公園が展望でき、西は星丘の文教地域、星が丘テラス、遠景には栄のビル、名古屋駅のビルと繋がりその先に周囲の山々のエッジが展望できる。 北は周辺の住宅市域、その先に御嶽等の山々がそびえ、名古屋の東部の自然文化が堪能できる。

提案された空間創成により、この地域、椙山女学園大学の文化的文脈が再認識され、この地域、日本を代表する場として再生されることを望んでやまない。

JID中日本エリア学生賞2021 愛知淑徳大学

愛知淑徳大学 創造表現学部 創造表現学科
建築・インテリアデザイン専攻

梶田 麻衣( Mai Kajita )さん

「Literature ⇄ Architecture」
~小説「セーヌ川の書店主」のイメージ空間~
小説「セーヌ川の書店主」の中に登場する空間、建物を自分なりにイメージし、建築化していく。 文学の中では言語だけを使用し実在しないイメージの世界観をあらわしている。 言語だけで表された空間や形は読み手によって自由度のある空間や形を思い起こさせるため、イメージする空間は人それぞれである。 小説内で空間について書かれた記述、キーワードを私なりに解釈し組み立て形にする。 また登場人物の性格分析をし内面を表すようなインテリア設計をしていく。

評価のポイント:
物語と空間の関係性に深く興味を持ち、インテリアデザインを嗜好品のコラージュとしてではなく、人生のストーリーから演繹される物語であることを丁寧に表現し、優れた作品としてまとめあげたことを評価し、ここに推薦する。

JID中日本エリア学生賞2021 愛知工業大学

愛知工業大学 建築学科

杉本 真輝( Masaki Sugimoto )さん
倉野 雅基( Masaki Kurano )さん
長瀬 仁志( Satoshi Nagase )さん

「みんなで作ろう野営村」
~山好き DIY好きは 宿泊小屋を作りなさい~
会員が建設に参加できるグランピング施設を企画する。 宿泊小屋、焚き火場、遊具施設、家具などを製作する。 ゲストを迎え入れ、会員が製作物を使ってもらう体験の場を提供する。 日本の林業は利益が少ないことなどから、手入れが行き届かず、放置される森や山が多く存在する。 製材工場で処分される廃材をグランピング施設で有効利用することで、木材の生産者の収益増加や地域内で完結する木材の循環を生み出すことなどを目指す。

評価のポイント:
利用者が建設/運営に参加する山間自然体験型の観光産業企画。 野外活動と建設工作を楽しむグランピング施設と事業計画/林業連携を提案。 敷地近隣の地元製材所での試作を通じて得た実体験が多数の審査員の共感を得た。

2021.03.20

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