JIDnews304号(1月・2月・3月)

(発行日:2025.04.28)

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

編集

発  行  人:丹羽浩之
担 当 理 事:冨田恵子
編  集  長:八十常充
委  員  長:櫻井良樹
北・東日本エリア:小林秀徳
中日本エリア:兼子春彦
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:杉 佳亮

JID 2025 春の交流会&JID AWARD FORUM報告

本部総務委員会担当 副理事長 小野上勝志 

2025年2月7日(金)、東京・六本木のミッドタウン リエゾンセンターにて、「JID 2025春の交流会&JID AWARD FORUM」が開催されました。当日は、多くのご来賓や会員をはじめ、関係各団体の方々にご参加いただき、心温まる交流のひとときをお過ごしいただきました。穏やかな雰囲気の中で談笑が広がり、参加者の皆様には、新しい出会いや懐かしい顔ぶれとの再会を楽しむなど、交流を深める機会となったことと思います。 

第1部の「JID AWARD FORUM」では、2024年度の受賞者を称えるセッションが行われました。大賞を受賞した眞鍋展仁氏から、受賞作品の敷地の特性を活かした『学生寮』の設計・デザインワークのプロセスやコンセプトについて解説がありました。L字型建物と中庭の空間を融合した設計が特徴で多くの注目を集めました。また、選考委員を務める近藤康夫氏との対談では、創作活動やデザインへの姿勢について深い洞察が語られ、参加者の皆さんが熱心に耳を傾ける姿が印象的でした。受賞作品は「JID AWARD 2024」受賞作品パンフレットに掲載されています。 

第2部の新春交流会では、引き続き、司会・進行役を務めた池田和修副理事長と富田恵子理事の丁寧で円滑な進行のもと、丹羽理事長の2025年度の展望と開会の挨拶でスタートしました。経済産業省 商務・サービスグループ文化創造産業課デザイン政策室室長補佐の中村純典氏のご挨拶を賜り、さらに株式会社アダルの中村聖也氏による乾杯の挨拶が続き、会場の熱気と温かな雰囲気が高まりました。 交流会では、恒例になっている参加者全員の紹介が行われ、普段は直接話す機会の少ない方が親しく対話を交わし、新たなつながりを築く場でもありました。 

最後には参加者全員の幸せと未来への共生の願いを込めて、中締めの挨拶が行われました。

皆さんの笑顔と感謝の気持ちが溢れる中、イベントはつつがなく終了し、JID会員同士の結びつきを一層強める、意味深い時間となりました。 

デザイン職人「四方山話」


 北・東日本エリア デザイン職人四方山話委員会 道明三千代

  2025年3月22日(土)季節外れの暖かい午後、快晴の京都は22℃を記録しました。京都市営地下鉄烏丸線四条駅から徒歩5分の距離で京都市中心部に位置する杉本家住宅は重要文化財で間口が14間という京町家にしてはとても大きなお屋敷でした。
12:30分から受付が店の間 表戸口横で始まり、現地集合でしたが、開始時刻より少し早めに参加者全員が集まり、予定の13:00には明るい庭を奥に望む中の間と六畳の間で、京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系教授の清水重敦先生のセミナーが始まりました。

四エリア合同で参加者は会員、賛助会員、一般を含め30名です。

杉本家外観

 JID丹羽理事長の挨拶のあと現在も当家にお住まいのご亭主 杉本節子様のお話がありました。

その後セミナーに移り、清水先生がら写真や図面をスライドで見せて頂きながら、杉本家の歴史や店の間や内玄関などまっすぐに行けないつくりや大屋根の葺き替えの難しさや柱を多用せずに広い空間を実現している棟梁の技量などを丁寧に説明して頂きました。

 セミナー後は一度外に出て建物のファサードや屋根の重なりなどの見方の説明をうけました。室内に戻り各部屋を清水先生と杉本様がアテンドして詳細な説明をしていただきながら見学しました。

お蔵に囲まれた庭や蔵跡、濡れ縁、大間口の持ち出し庇、戸袋など説明を受けなければ分からないことや細かい仕様や棟梁の丁寧な仕事など実際に見て歩きました。

各部屋にはお花が活けてあり、和紅茶のおもてなしもあり、ゆっくりと見学できました。

 次の見学会・懇親会会場への移動は地下鉄駅1つ分の距離で1方通行の道を関西エリア会員の猪木陽子さんのご案内で徒歩移動しました。道すがら説明して頂き、京都芸術センター、新しいホテルや町家などの街並みを見ながら移動しました。NHK京都支局前の「HOSOO FLAGSHIP STORE」はファサードの壁が圧巻で美しく建物もリノベーションされた趣あるビルでした。外観だけではなく、猪木さんがお店に交渉してくださり、インテリアも見ることが出来ました。
私は京都に7年弱在籍した川島織物セルコンの工場や織物文化館がありましたので、何度か仕事で訪問していましたが、勉強不足で「HOSOO FLAGSHIP STORE」が西陣織の老舗 株式会社 細尾のショールームとは知りませんでした。積層左官の壁や凝ったインテリアを見学できて、西陣織と家具のみごとな空間を堪能できました。
こちらのお店を出て、烏丸御池の交差点を抜けて、次の見学先の京町家「高倉邸 彩紙(SAISHI)ショールーム」に到着しました。

西日本理事 安藤眞代

3月末、全国のJID(日本インテリアデザイナー協会)メンバーの交流兼ねた、四方山イベントが京都で行われました。
京の町家、杉本家住宅見学後、JID関西メンバーでもある、京町家高倉邸・彩紙ショールーム(和紙来歩)の見学、その後ケータリングでの懇親会をさせていただきました。

この高倉は、元々、和紙来歩社長のご主人、加徳(ふすまの卸し業)の100年近いご実家です。
京町屋を大きくは触らず、伝統的な襖紙や壁紙としても使える和紙など、伝統の技が生み出す商品を、現代のライフスタイルに合わせた楽しみ方を提案するため、ショールームとして2021年にオープンされました。

今回30人以上の参加でしたので、3つのグループに分け、とても丁寧に説明して頂きました。3月初旬開催だった「町家の日の参加展示を、J I Dメンバーに見て頂けるようにそのままにして頂き、イベントアーティストとのコラボレーションのカーペットや、皮商材など展示は、とても迫力があり、見応えたっぷりでした。

インテリデザイナー、建築を携わる人が多いJIDメンバーは、和紙商材や、作品に興味津々で、時間が足らないくらいの盛り上がりになりました。

4エリアでの共催イベントは、各エリアの会員の交流が深まる大変有意義な四方山ツアーになりました。

大人のデザインワークショップ/インテリデザイナーと一緒に「私のインテリアスタイル」を見つけよう 

西日本エリア ACTIVE 委員会 委員長 金沢ちかこ

 2012 年から大阪市立住まいの情報センター様とのタイアップ事業として主に夏休み期間中にキッズデザインワークショップを行い、参加者も多く好評に推移してきました。

 大人向けのワークショップの要望もあり、この度初めて大人向けのインテリアデザ インワークショップを行いましたのでご報告いたします。

・日 時:2025 年 1 月 11日(土) 14:00~16:00

・会 場:大阪市住まいの情報センター3階 ホール
・参加者:16 名

・参加費:500円

 今回のワークショップの趣旨は、インテリアを楽しんで頂く事でいろいろな商材に触れて好きなテイスト、素材、パターンなどを知って頂く、感じてもらう事でインテリアに興味を持ちインテリアを通じて豊かな暮らしに繋がれば幸いとの思いです。

 アンケートの中でもインテリアで悩まれていた方やインテリアが好きな方が参加されていたためにきっかけの一歩を感じました。

 参加者の皆さんにはご自身のインテリアスタイルをしっかり掴んで帰って頂きました。

 制作手順は、予め賛助会員企業のご協力や私達会員の仕事関係先より集めた壁紙、カーテン地、椅子の張り地、タイルのサンプルなどを準備致しました。

 これらの素材の中から自分の好きなものをセレクトして、ボード上に切ったり寸法を合わせてレイアウトをしながらインテリアスタイルのボードを制作していただきました。

 最初はみなさんが集めるより先に見たことのないサンプルに魅せられていましたが、それぞれ個性に合った好きな素材、パーツを集めて制作されました。

途中に会員からインテリアスタイルとカラーのプチレクチャーセミナーを行い、その内容からご自身のインテリアスタイルボードを手直しするなどしながら進められました。

 完成後のボードは、皆さんそれぞれ個性的で壁紙やカーテン生地、タイルのサンプルから自分の思うイメージに手を加えて「私のインテリアスタイル」に仕上げられました。

参加者さんには今までとは違う視点で、よりインテリア楽しんでいただけた事と思います。

インテリアがもっと多くの人に身近に感じてもらえれば豊かな暮らしにつながると実感いたしました。

JID AWARD 2024受賞作品展&受賞者セミナー

中日本エリア 杉崎晃久

受賞作品展 2025年1月21日(火)―1月26日(日)

受賞者セミナー2025年1月24日(金)

中日本エリアでは今話題の名古屋造形大学名城キャンパスのメインギャラリ―で

JID AWARD 2024受賞作品展が6日間おこなわれました。

芸大ということもあり多くの学生の目に触れることになりJIÐ賞を広める大変よい展示会となりました。

そして1月24日(金)には受賞者セミナーギャラリートークを17時から開催しました。

参加者は50名以上が集まり

NEXTAGE部門・銀賞 杉浦泰偲氏(名古屋芸術大学大学院生) 

スペース部門・銀賞の黒柳 亮氏(竹中工務店)

スペース部門・金賞の川本達也氏(川本達也建築設計事務所)の順に登壇していただきました。

受賞者の皆さんは学生向けにわかり易く作品のプロセスを説明していただき、建築・インテリアに興味の沸く内容となりました。

その後、懇親会が開かれ30名の参加者と受賞者でデザイン談義が随所で繰り広げられ大変充実した一日となりました。

全国の皆さんも造形大学の場所は地下鉄名城線「名城公園駅」下車すると目の前にある好立地にありますので一度皆さんもインベントの機会に来ていただけるといいと思います。

日本の空間デザイン展 in 大阪 報告

西日本エリア 小宮 容一

 3月18日から29日までビジネス街の堺筋本町にある大阪デザインセンター(ODC)に於いて 、関西の空間デザイン4団体(JID、DSA、JIC、JCS)による「日本の空間デザイン展」を開催いたしました。

日本の空間デザイン展は上記4団体による、2025年度AWARDの入賞作品の発表・展示です。

 JIDからは「JID AWARD 2024」パネルを展示致しました。各団体では各地を巡回しています。

 好評につき会期を4月28日まで延長致しました。多くの人に観ていただける機会が増えたことは嬉しいことです。 

第20回 学生インテリアデザインコンテスト

南日本エリア  杉 佳亮

公益社団法人日本インテリアデザイナー協会(JID)が主催する「第20回学生インテリアデザインコンテスト」の審査会及び同時開催の特別講演会やワークショップが2025年2月下旬に福岡市東区のなみきスクエアで開催されました。

3日間の来場合計は200名を超え、多くの市民や学生の方々に見ていただく機会となりました。JIDの丹羽理事長や理事そして特別講演会の建築家が見守る中、4大学32名の学生が参加しその中で自分の作品の前でプレゼンする学生は熱い想いをぶつけるというスタイルが数年ぶりに復活しました。

作品やポスターを見るだけでは伝わらない作者本人の想いを聞け、その場で質疑応答が出来るというのは聞く審査側にとっても良かったですし、応募者にとってもこれから社会にでる上で貴重な経験となったようでした。

JID理事や南日本メンバーからも質問が飛び交い、実機に触れて使い心地を体感したり使う場面や想定が異なったりと質疑の多角さが印象的でした。

審査会場では学生の作品展示の他にJID AWARD2024のパネル展示も行われました。

午後からはJID AWARD2024 金賞受賞の株式会社twha 主宰の中園美博氏による特別講演会。

その後JID丹羽理事長のJID紹介と審査会総評を挟んだ後、学生インテリアデザインコンテストの審査結果発表。

最優秀賞を受賞された九州大学芸術工学部の中島諒子さん(中央)と優秀賞を受賞された呉さん(右)と池尻さん(左)

プレゼンに参加した学生の皆さんと丹羽理事長(最左)、特別講演会講演者の中園美博氏(最右)で記念撮影

JID南日本エリアのメンバーも混じって記念撮影

審査会及び特別講演会の翌日から開催されたワークショップではイスづくりにチャレンジ!

大人も子供も夢中で制作する様子が印象的で、制作サポートで入っていた九州産業大学の学生と参加された親子との交流もバッチリ。

日頃触れることのない道具や材料を手で触って自分の力で組み立てる真剣な表情の子供達。

檜と杉、ピッグレザーを使った立派なスツールが皆さん出来上がって盛況のワークショップとなりました!

ワークショップ、特別講演会を含め第20回学生インテリアデザインコンテストを無事に終えることができました。次回以降も参加学生や参加大学の輪を広げながら南日本エリアの活動を盛り上げて行きたいと思います。

WIW KOBEイベントのご案内

西日本エリア 魚田 純

西日本エリアではインテリアイベントを5月8日から11日に開催いたします。

インテリアの国際組織であるIFI(国際インテリアアーキテクチ/デザイナー団体連合)は、毎年5月の末日の土曜日をインテリアについて考える日「IFI World Interiors Day(IFI WID)」と定め、世界共通のテーマでイベントの開催を推奨し、世界各地でデザインイベントが行われれています。

WIW KOBEでは、この動きに連動し、「USD-O・モノ・空間デザイン学生・クリエーターズ・エキシビジョン & フォーラム」と「デインカンファレンストーク(デザイン新常態16th)& 学生プレゼンテーション」を開催します。

インテリアやデザインに興味のある皆様、このユニークなイベントに参加しこれからの暮らしについて考えてみませんか?皆様のご来場をお待ちしております。


イベントⅠ、IFI WID &  World Interiors Week Pre EVENT

「USD-Oモノ・空間デザイン学生・クリエーターエキシビジョン2025」

【日時】5月8日(火)〜11日(日)11:00~18:00 (※6/2 : 11:00~16:00)

【場所】HDC神戸 ・ステーション広場

【内容】学生作品や空間デザインアワード関連の受賞作品を紹介します。

【費用】 入場無料


イベントⅡ、WIW KOBEデザインカンファレンストーク2025

「USD-Oデザインカンファレンストーク&学生プレンゼンテーション」

【テーマ】「感情表現豊かなデザイン、体験、AI」

【日時】5月10日(土)11:00~18:00

【場所】HDC神戸 ・ステーション広場特設会場

【費用】 入場無料

IDM デザインを多焦点で捉えて未来へつなぐ企画展 『み_る』 in JAPAN SHOP 2025

副理事長 池田和修

我々 JIDは1958年11月に創立し日本のインテリアデザイナーとその分野に関連する企業・組織を結集する集団として、その交流と研鑽、啓蒙、デザイナーの地位向上を目指し幅広い事業活動を実施しています。現在インテリアデザイン対象領域が多様化し、関連団体も多く発足しました。これらの団体がIDMとなり協力しながら、より良い暮らし・より良い社会の実現の為に活動しています。

JAPAN SHOP 2025 特別展示「NIPPONプレミアムデザイン」は、様々な技術・素材・工夫・素晴らしいデザインが紹介され、より多くの方々に、日本の暮らしの向上 地域経済社会の健全な発展の為に、これらが重要な役割を担っていることを知らせました。住空間・商空間・働く場・医療の場・など様々な場面を、デザインの力でより一層 豊かで持続可能な暮らしとなるよう JIDは、IDMのこのような活動を引き続き応援してまいります。

IDM interior design meeting とは

インテリア関連団体(現在27団体)が連携し、団体間の相互理解、協力、交流を図る中で、インテリア領域の重要性を社会に発信し、社会資産を創るプロとしての立場を確立するために発足した新しい動きです。   

JAPAN SHOP 2025 特別展示「NIPPONプレミアムデザイン」

2025年3月4日から3月7日まで、東京ビッグサイト東展示棟で開催

IDM展の詳しい情報は こちらから 

https://idm-official.org/cgi/topics/topics.cgi

喜多俊之氏が「文化庁長官特別表彰」を受賞されました

西日本エリア 八十常充

元理事長の喜多俊之氏が、このたび本年度より新たに創設された、令和六年度「文化庁長官特別表彰」を受賞されました。

 表彰式は2025年1月23日、京都ブライトンホテルにて執り行われ、都倉俊一文化庁長官より表彰状を授与されました。

 文化庁長官特別表彰は、文化活動に優れた成果を発揮し、我が国の文化の振興に貢献された方、又は日本文化の海外発信、国際文化交流に貢献した方々のうち発信力の高い方に対し文化庁長官が表彰するものです。

〇功績の概要

 環境及びプロダクトデザイナーとして国際的に活動し、多くのヒット製品をデザインする傍ら、長年に亘り日本の伝統工芸や地場産業の活性化や発信に関り続けている。 特に近年は欧州で、日本の伝統的な匠の技と新しいテクノロジーを組み合わせ、現代のライフスタイルに適応した、オリジナリティの高い独自の作品を制作・発信する等、日本の伝統工芸の海外発信や新たな展開に尽力している。


〇喜多さんからの受賞コメントです。

 長年にわたり、デザインを通じてクリエイティブを中心とした仕事と同時に、日本の伝統的なものづくりに関心を抱き、その活性化にも携わって来ました。

1960年代後半、一人の紙漉き職人との出会いから始まり、当時の市場存続の危機を知りました。先人が自然と向き合い、築き上げてきたものづくりのマインドや創造の力に触れ、歴史的な背景と未来のビジョンをつなぎ、新たなクリエイティブの可能性を探求したいと思いました。

 この度の受賞は、これまで出会った職人を始め、多くの関係者の皆様と共にいただいたものと感じています。

喜多俊之

2025.04.28

SNS SHARE

jidnews TOP