JID中日本エリア学生賞2023

Japan Interior Designers' Association - information

JID中日本エリア学生賞2023 椙山女学園大学

椙山女学園大学
生活科学部 生活環境デザイン学科
石黒 七彩 さん

SMELL MUSEUM -香・ミュージアムー

海と森に包まれた、自然環境を計画敷地と設定した。この場所に車でたどり着く間に、都会で疲れた心身が浄化されてこの「香り・ミュージアム」の建築にたどり着きます。ここから、周囲の四季の花、樹木等の植物、正面の3方向の海岸からの波の内寄せる音や潮の匂いに誘われ、ミュージアムのアプローチに達し、スロープを上ると人工水面と出会い、潮の香と海面の動きと太陽の光線によって、エントランス・ゲートの壁と天井にその光の波紋による映像と匂いの総和によって、心が洗われる。ここから室内の展示会場である中央の総合的・匂いの展示空間、奥の室内と屋外、人工水面と海が一体となった各匂いの展示ゾーンを体感し、人間本来の感覚的原点に帰化することができる。またカフェ、展示資料SHOPが併設され、一日のんびりと過ごすことができる総合体感型の「香り・ミュージアム」となっている。

評価のポイント:

この計画プロジェクトは、自然に包まれた計画敷地に設定され、この計画場所にたどり着くまでの「匂いと視覚と音」、また計画敷地内・周囲の植物、海岸からの「匂いと視覚と音」の環境創成、また展示会場内の総合展示空間、奥の室内と屋外、人工水面と海が一体となった各展示ゾーンから「匂いと視覚と音」の創成とこれらの屋外から室内までの一貫した連続的な体感によって、人間に失われたなわれた感覚的原点である「匂い」に「視覚と音」を総合させた展示空間の環境創成は高く評価できる。

椙山女学園大学・生活環境デザイン学科・教授(加藤和雄

JID中日本エリア学生賞2023 トライデントデザイン専門学校

トライデントデザイン専門学校
総合デザイン学科 インテリアデザインコース
伊藤 瞳香 さん

Grand Lazuli

愛知県は三大都市に入るほど栄えているが、広い敷地を使ったリゾート施設のような癒しの空間が少ない印象があり、愛知県にはどんな癒しの空間が適しているのかを考えた。計画地は愛知県田原市伊良湖町恋路ヶ浜。伊良湖岬の海辺は視界を遮るものがなく、開放的な場所で荒波の音が心地よく、夜には星が綺麗に見えるエリアである。伊良湖岬は、日出ノ石門(ひいのせきもん)という大きな岩が集合している観光名所がある。岩のインパクトが強いエリアで、あえて山を削り、岩肌や地層を利用したデザインとした。伊良湖の神秘的な荒波の音を聴きながら、各客室からは星を眺め、ここでしか味わえないような壮大な自然を堪能してもらうリゾート施設を提案した。

評価のポイント:

非現実的な部分はあれど世界観が統一されており好印象。岩に囲まれたゲストルームからは、海が一面に広がっており、遮るものがない配置となっている。ラグジュアリーな空間を徹底している点が評価でき、ここに推薦する。

JID中日本エリア学生賞2023 愛知淑徳大学

愛知淑徳大学
創造表現学部 創造表現学科
建築・インテリアデザイン専攻
福田 華奈 さん

千現庵 ~利休好みの現代茶室~

茶室は極小空間でありながら、もてなしの心や「わびさび」などの精神的な思想が表現されている。しかし、茶会など限られた目的で利用されることが多く、一般の人が利用する機会は少ない。そこで、現代に合った茶室を設計し、茶室を身近な空間として利用できるようにしたいと考えた。
現代の茶室は、伝統的なものからアート作品のようなものまで様々な形態があるが、茶室に多様性を与えるきっかけとなったのは、自由な発想で茶室のあり方を創出した千利休にあったと考えられる。今回の設計では、この点に鑑みて利休の思想を取り入れ、身近なもの、小さな工夫で現代生活に見合った茶室を設計した。

評価のポイント:

当該学生は、学年最上位の成績を誇り、学業に極めて真撃に取り組んできました。「利休好み」を現代風に解釈し、変幻自在なインテリア装置として再構成した卒業プロジェクトは、JID中日本学生賞に相応しいものと考え、ここに推薦いたします。
(指導教授:河辺泰宏)

JID中日本エリア学生賞2023 金城学院大学

金城学院大学
生活環境学部 環境デザイン学科
五十嵐 美帆 さん
岩田 留奈 さん

流木を活用したインテリアの研究

流木の環境問題解決に向けた新しい価値の創造を目的とするインテリアの研究を行った。インテリアとして利用されている事例調査を行い、流木が演出するインテリアの効果について考察した。流木の持つ自然の力を感じる曲線の美しい個性的な流木を生かしたシャビーシックなインテリアグッズとしてアップサイクルを行った。

評価のポイント:

日本が抱える環境問題である「流木の処理」に着眼し、海岸に放置されている流木の個性的で美しい造形美によるインテリアグッズの制作を行った。実地調査だけでなく、商店建築、実店舗での流木使用事例を調査し、流木がもたらすイメージについて研究を行った。自然の力を感じる流木の形状を生かした作品11点の制作を行い、流木の新しい価値を生み出すことができた。

(推薦文:金城学院大学 生活環境学部 環境デザイン学科 空間デザインコース 弓立順子)

JID中日本エリア学生賞2023 名古屋造形大学

名古屋造形大学
造形学部 造形学科
建築・インテリアデザインコース
山下 巧真 さん

U・L・T Unit・Laminated・Timb

引越しや子供の成長など、人間のライフスタイルに追随することができない家具は本来の寿命よりもずっと短期間で処分されてしまうことが多い。家具の中には、生活に追随させようと展開性を持つ家具も存在するが、サイズの可変や、収納量の拡張など、同じ用途の範囲で展開されるものが多い。この問題に対し、単純化されたパーツを組み合わせて家具を構成するモジュール家具というシステムを用いて解決する。

評価のポイント:

モジュールによる可変性を試行錯誤しながら追及し、わずか4本のパーツで椅子類、机類、棚類へ可変できる什器デザインへ完成させた。デザインの完成度も高く、商品化へ発展できる可能性を感じる。パーツ制作は全て本人が取り組み、今後に期待しその努力を高く評価したい。

JID中日本エリア学生賞2023 名古屋学芸大学

名古屋学芸大学
メディア造形学部 デザイン学科
SPDコース SD領域

下村 優羽 さん

“いどばた”で繋がるまち

まちの人たちがちょっと集まって世間話をする様子を表す言葉、井戸端会議。
そんな”いどばた”をあらゆるところに組み込むことで、新たな繋がりを生み出すまちをデザインしました。

評価のポイント:

一宮の中心商店街を再開発する提案である。商店街の住民のコミュニケーションのための場所づくりが、外からくる人たちに街の魅力を伝える仕掛けになる。アーケード・コワーキングスペース・屋台・駐輪場などの場所づくりに織物をイメージさせるデザインを展開させたヒューマンスケールの提案である。

JID中日本エリア学生賞2023 愛知工業大学

愛知工業大学
工学部 建築学科

丹羽 菜々美 さん
服部 楓子 さん

Glocal art&craft village Tokoname

~国際芸術祭をきっかけとした連鎖的空き家再生~

地域活性化の手段として芸術祭が注目されている。美術館単体ではなく、全国各地で空き家を活用してまちなかにも会場を設け、広域に展開されている。しかし、イベントが終了すると会場は再び空き家に戻る。本提案では、国際芸術祭あいち2022の常滑会場を対象とし、芸術祭で利用された2つの土管工場をアートとクラフトの活動拠点とすることで、エリア一帯の再生を図る。留学生と地域住民が交流しながら日常的に活用することで地域と連携した継続的な活用を目指す。

評価のポイント:

国際芸術祭あいち2022の常滑会場の舞台となった大規模な歴史的建造物の跡地利用としての提案である。常滑ではものづくりの文化を活かして、世界の芸術家をホームステイで受け入れ交流を行ってきた。その交流に関わった芸術家が国際芸術祭では常滑会場を舞台に多くの芸術作品を展示している。本提案は、その様な国際的なアートとクラフトの舞台としての建築やまちづくりの提案であり、常滑の地域再生に資する意義ある提案として推薦する。

(愛知工業大学 建築学科 准教授 益尾孝祐)

JID中日本エリア学生賞2023 中部大学

中部大学
工学部 建築学科
松葉 剛和 さん

まちを織る

旧道に面したかつての発展を象徴する屋敷群を互いに繋げつつ、新たな空間を組み込み地域の人々の新しい居場所へ転換する計画を立てた。また良質な景観を持ちながら景観規制地ではないこの場所だからできる新たな景観を目指した。

評価のポイント:

かつて木綿業で栄えた知多岡田の旧道沿いに、既存の高齢者サロンから繋げる形で、子育て支援施設とそれらを繋ぐコミュニティ施設を計画した。既存の4軒の屋敷の母屋や蔵などの空間も活かしながら、隙間や空き地に異なる屋根を挿入することで流れのある多様な場所が生まれており、単なる保存・観光の為ではなく、地域の核となり多世代を繋げる場所としての提案が高く評価された。

JID中日本エリア学生賞2023 名古屋工業大学

名古屋工業大学
工学部 社会工学科
建築デザイン分野

山城 清香 さん

学酵 -酒蔵のまちで学ぶ発酵

江戸から続く酒蔵は近年大きく変わりつつある。酒蔵の中心である「発酵」への注目が集まり、新たな市場開拓が進められている。また、酒蔵が中心となって栄えたまちの小学校は統廃合され、多くの子どもたちはまちとの関わりを持たずして成長していく。そこで、酒蔵に通学路となる道を通し、「発酵」を日常的に体験する拠点を提案する。酒蔵と小学校が発酵でつながり、共存することで新たな付加価値を創出し、酒と子どもが共に発酵して育つ場となるのではないだろうか。

評価のポイント:

本作品は、地域資源を活かしながら、教育課題や地域交流、観光振興など社会問題と実直かつ誠実に向き合った提案である。目に触れる機会が少ない酒蔵の工程プロセスに着目し、通学路を配置することで体験価値を生む、独創性ある空間デザインの手法を提示している。
(名古屋工業大学 建築・デザイン分野 准教授 伊藤孝紀)

2023.03.13

SNS SHARE

information TOP