JID中日本エリア学生賞2022

Japan Interior Designers' Association - information

JID中日本エリア学生賞2022 名古屋造形大学

名古屋造形大学 建築・インテリアデザインコース
鈴木結衣( Yui Suzuki )さん
「Puls Green」
かつては「日本三大アパレル地」と言われるほど栄えていた岐阜繊維問屋街。 今は、かつての賑わいを無くし、年月により朽ちたビルだけが周辺のビルの影にのまれながら残っています。

私は、この場所をアパレルの地として賑わう場所の面影を残しながら、人々が集う空間となるよう、新しい街を計画しました。

近年、働き方改革によって様々なオフィス空間があります。 その中でも"コワーキングスペース"に着目し、ノマドワーカーに向けての新たなワーキングスペースを提案しました。
評価のポイント:
長く廃れていた岐阜繊維問屋街の再生計画。 服飾に視点を置いた活動拠点の「場」を作り、地元の伝統産業とともに再生する取り組みは岐阜市における地域再生の回答のひとつといえる。

またRC既設建築を減築しながら、緑化によってその存在を活かす手法はSDGsとして評価でき、彼女自身のデザインテーマとして今後も大切にしてほしいと考える。

JID中日本エリア学生賞2022 トライデントデザイン専門学校

トライデントデザイン専門学校
総合デザイン学科 インテリアデザインコース
ハガイ イサ アギアント( Hagai Isa Agianto )さん
「一二三八九十リゾートホテル」
敷地は犬山城からほど近く、木曾川を眺められる高低差20m程度の場所に計画した。 建物形状を敷地に添わせることで、地面を削る土量を減らし、それぞれの棟から景観を楽しめるように工夫した。 建物の外観は日本の伝統的な文化を感じてもらうため、敷地の傾斜地を活かした京都の清水寺の懸造り(がけつくり)を参考にした。

ターゲットは日本の方だけでなく、海外の方にも利用してもらうことを目指している。 伝統的な観光地である為、国籍問わず多くの方に利用してもらいたいと考えている。

特徴的な屋根形状はインドネシアジャワ島での構造を参考にすることで、日本の伝統的な構造と混ぜて計画した。 このリゾートホテルを通じて日本の自然と文化の美しさを感じられることを願っている。
評価のポイント:
構造デザインからインテリアのデザインまで細部に渡り手を抜くことなく考えられており、熱量が感じられる作品でした。 地元であるインドネシアと日本を繋ぐデザインだった点も大変評価できました。

JID中日本エリア学生賞2020 椙山女学園大学

椙山女学園大学
生活科学部学部 生活環境デザイン学科
松碕紬( Tsumugi Matsuzaki )さん
下野真依( Mai Shimono )さん
「組み立てる半個室空間」
~Porter’s Chairの現代的アレンジ~
18世紀英国で門番が防寒や徹宵のために使用したフード付きの椅子"Porter's Chair"のデザインに着想を得て、椅子の上においてポータブルな半個室空間をつくる、現代的アレンジを行った。
評価のポイント:
前年度の卒業研究で、Porters's Chairの起源や現代の家具市場への展開について知見を深めた。今年は、この椅子のデザインに着眼し、災害避難時や感染予防といった現代的な課題に応えるアレンジを具現化した。身近にある材料でつくれることも考慮され、歴史的な家具から実用性の高いものを生み出したオリジナリティを評価している。

JJID中日本エリア学生賞2022 愛知淑徳大学

愛知淑徳大学
創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻
荒川七瑚( Nanako Arakawa )さん
海川日南( Hina Umikawa )さん
「terminal」
~ハコから始まる~
まちと分断され、衰退しつつある大浜漁港周辺に大浜地区に古くから親しまれてきた「寺」の役割を現代ににおいて再定義し、漁港における新たな寺を設計する。対象敷地を異なるエリアの3ヶ所とすることでより豊かな「歩行回遊空間」の形成を目指した。大浜地区特有である寺の大屋根と住宅のスケールを骨組みとコンテナに置き換え、スケールの違うものを共存していくことで今昔の大浜の街並みを再現している。また、大浜地区の路地を手がかりにコンテナを配置することで、漁港という大きな空間の中に路地が巡り、大小異なる余白が人と人との接点を生み出す。コンテナを介してより多くの人々に大浜地区の魅力を伝えていくことで地場産業の魅力の発信、人と人とのつながり、伝統の継承がこのハコから始まることを期待している。
評価のポイント:
当該学生らは「物流コンテナ」と「歴史的な集落」という対照的な事象に着目し、分断でも直接的な接続でもない、これからの時代に求められる交流空間の提案をしている。大きなテーマに対して様々な面から真摯に回答を出している優れた作品であると評価し、ここに推薦する。

JID中日本エリア学生賞2022 金城学院大学

金城学院大学
生活環境学部 環境デザイン学科
吉川杏奈( Anna Yoshikawa )さん
木下更( Sara Kinoshita )さん
「バンブーフェンス」
~新しい竹垣のデザイン~
SDGsが掲げる循環型社会におけるサスティナブルな素材として天然竹を資源とした現代住宅に合うフェンスのデザインを行った。今後、地球環境を保全できる竹の利用で、より豊かな住環境を作ることができると考える。
評価のポイント:
プラスチック問題と竹害に着目し、現代住宅に使用できるフェンスのデザインに取り組んだ。机上のデザインではなく、原寸サイズで制作を試み、フェンス以外にも竹の新たな使い道を示唆する作品となった。

JID中日本エリア学生賞2022 愛知産業大学大学

愛知産業大学大学
造形学部 建築学科
平賀美希( Miki Hiraga )さん
「常時と一時を享受する海の産生塔」
~海岸地域に連続する津波避難計画~
海岸堤防及び津波避難のための土木構築物の建築は地域にとって、巨大壁面を想像させることからマイナスな要素として捉える傾向にある。
本提案は、海岸地形と堤防の関係を調査し、海岸堤防と建築と地区の一体化により垂直の避難方向の視覚化を計画するものである。 これまで縦方向や横方向に巨大化してきた構築物を、床下空間の活用と空間の挿入によって建築物として再構成する。 日常的に海への畏れを伝承する場として利用する。
評価のポイント:
本提案では南海トラフ巨大地震に際し、大野浜海岸沿いの安全を確保する津波避難のための、3つの要件を「防波堤」「避難経路」「避難待機所」を地理的な環境条件を分析しながら計画し、災害時と日常の狭間から生じる新たな機能が、さらなる機能へと変化し重層させた提案が、海と共に暮らす住民への施設としてよく考えられている。

JID中日本エリア学生賞2022 名古屋学芸大学

名古屋学芸大学
メディア造形学部 デザイン学科 SPDコース SD領域
𠮷野真理子( Mariko Yoshino )さん
「work on」 
ICT や AI 技術の進歩に伴い、働き方が変化する中で今まで通りが通用しない時代を迎えました。働 くこと。学ぶこと。趣味に打ちこむこと。新しいワーク•ライフ•バランスが求められています。 現代に適応した “自分だけの” 新しいスタイルで取り組む場所として、空き家を利用したワークスペー スを提案します。近年増加傾向にある「空き家」を有効に利用し、新しいワークスペースとして再生 することで、空き家問題と働き方の提案に対応します。「集中できる空間とは」「作業しやすい環境と は」にこだわった作品です。

評価のポイント:
空き家になっている祖父の家をリノベーションして、これからのワークスペースを計画。 増え続ける空き家の利用方法、時間と場所にしばられない働き方ができるからこそ大切なワーク・ライフ・バランス、アイデアを生み出すための空間のあり方、を提案している。

JID中日本エリア学生賞2022  中部大学 

中部大学
工学部 建築学科
陣出慎太郎( Shintaro Jinde )さん
「内と外を繋ぐ新たな街」
図書館は、全国どこにでもある施設の1つである。
しかし中には「本は読まないが雑誌は読む」という人もいるのではないかと考えた。雑誌を専門的に扱い、娯楽として利用できる施設の事例がないため、雑誌という分野に特化した施設を計画したいと考えた。
コンセプトは「リラックス空間」。 雑誌は基本リラックスした状態で読むことが多い。 本計画では、落ち着いた空間づくりが必須となり、この施設の魅力の一部である。 空間の計画だけでなく、人の動線、インテリア、雑誌の展示方法、家具の選択、配置などを計画することで、マガジンライブラリにしかない魅力として提案したいと考えた。
評価のポイント:
現代の人々と書籍を結びつける手段として雑誌に目を付けてそれをいかに見せるかに集中した作品である。2階に上がる階段の横にある大きな壁を雑誌の表紙で飾るなど学生本人のテーマが空間いっぱい表現されている。

JID中日本エリア学生賞2022  名古屋工業大学

名古屋工業大学
工学部 社会工学科 
建築・デザイン分野
中山朋紀( Tomoki Nakayama )さん
「足跡から見直す暮らし」
現代社会は所有する時代から共有する時代へと変化し、住宅もライフスタイルに合わせて選択する社会にシフトしている。 そこで、自由気ままに転々と住まいを変える多拠点生活者のための集住体を提案する。

多拠点生活者が地域に介入することで多拠点生活者と地域住民との新たな地域ネットワークが構築される。 斜面地というコンテクストを読み込み、大地と地続きにつながったスラブにより、人々の生活空間が立体的に交差し、従来の住宅では生まれなかった交流や価値観の混ざり合いがおこることを目指した。
評価のポイント:
コロナ禍において、ライフスタイルと価値観は大きく変化している。その上で、住空間のデザインも変容するだろう可能性に、郷里である名古屋市郊外の敷地を設定して提案した意欲作である。地球環境や地域のあり方などSDGsに関連する幾つかの課題に応える一つの回答なるデザインであると期待し推薦する。

2022.03.24

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