JID news302号(7月・8月・9月)

(発行日:2024.10.11)

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

編集

発  行  人:丹羽浩之
担 当 理 事:冨田恵子
編  集  長:八十常充
委  員  長:櫻井良樹
北・東日本エリア:小林秀徳
中日本エリア:兼子春彦
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:杉 佳亮

デザイン職人四方山話委員会よりお知らせ

デザイン職人四方山話委員会 委員長 藤本文明

京町屋杉本家住宅外観

京の町家 杉本家(築154年)の見学会とセミナー

2025年3月22日(土)に開催します

四エリアに呼び掛けをしています

京町屋杉本家住宅は京都の中心部にありながら、江戸以来の大店の構えをよく伝え、表屋造りによる大規模な町屋構成の典型を示しています。建造物全体にわったって江戸時代に熟成された京大工の技量が遺憾なく発揮されています。

平成22年(2010年)に国の重要文化に指定されました。現在も住宅として使用されていて京の町家の生活文化を感じることが出来ます。

今回は、杉本家と公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会の御好意により見学会とセミナーの開催が実現しました。

皆様の参加をお待ちします。

開催日時  2025年3月22日(土)午後1時

見学先  京の町家 杉本家住宅 京都市下京区綾小路通新町西入ル

セミナー (仮題) 京の町家杉本家住宅 見学に先だち現地にて開催

講師  清水 重敦 氏 京都工芸繊維大学教授
    公益財団法人 奈良屋記念杉本家保存会 評議員

募集人数 30名

参加費  5000円

募集開始 2025年1月以降 募集要項を配布

キッズデザインワークショップで共に学ぶ」北・東日本エリア事業

キッズデザインプロジェクト担当 副理事長 小野上勝志

まずはじめに、2024年7月27日と28日に開催されましたキッズデザインワークショップの作品をご覧ください。 

あつまれキッズデザイナー「みんなでつくる夢のまち・インテリア」作品ギャラリー – 公益社団法人日本インテリアデザイナー協会|JID から、ご覧いただけます。

キッズデザインワークショップは、2008年にJID創立50周年を記念して始まり、今年で16年目を迎えるJIDの独自性の高いイベントです。今年は「夢のまちやインテリアを、テーマ」に、子どもたちは個性を大切にしながら創造力を発揮して世界にひとつだけの作品を作り上げました。その輝く瞳と無限の可能性に、私たちはいつも感動しています。

キッズデザインワークショップ3つのポイント

まず、デザインの楽しさを体験することです。子どもたちは本物の材料や道具を使ってデザインし、創造力を育てます。この体験を通じて、子どもたちは自分のアイデアを形にする喜びを知り、自己表現の大切さを学びます。現代社会では創造力がますます重要視されており、未来のデザイナーを育てるための基礎になります。

また、コミュニケーションを深めることにより、ワークショップでは親や友達と協力して作業することで、意見を尊重する力や社会性を育みます。そして、異なる背景や考えを持つ人々と協力する経験は、共感や協調性を養う上で非常に重要になります。これらのスキルは、グローバル化が進む現代社会において、海外や異文化の理解やチームワークの向上に寄与するものと思います。

そして、自然、社会、生活について考えることで、子どもたちは自然環境や社会の仕組みについて考え、持続可能な社会(SDGs)への意識を高めます。また、環境問題や社会課題に対する理解を深めることで、子どもたちは未来のリーダーとしての責任感を育みます。持続可能な社会を実現するためには、意識と行動が不可欠であり、このワークショップがその第一歩となりますと幸いです。

キッズデザインワークショップの構造的な考え方としては、

自ら学ぶ力を育成するため、学ぶ力を大切にし、その力を最大限に発揮できる環境を整える必要があります。具体的には、子どもたちが興味を持つテーマや課題を選び、自分で調べたり、試行錯誤しながら学ぶプロセスの組立から始まります。そして、体験の場の提供として、子どもたちが自ら考え、実践できるように、情報、教材、道具を提供。例えば、デザインの基本的な知識や技術を学べる教材や、実際に手を動かして作るための道具を用意し、自由に使えるようにします。

指導者の役割としては、子どもたちが好きなことを見つけ、その力を伸ばすためのアドバイスとサポートを行います。具体的には、彼らの興味や関心を引き出し、それに応じた適切な指導やフィードバックを行う。また、アイデアに行き詰った時には助言を通じてサポートします。

これからも、子どもたちと共に成長し、共に楽しむワークショップをステークホルダーの皆様と共に推進していきたいと思います。ご支援いただいた企業をはじめ、多くの方々のご支援とご協力に心より感謝申し上げます。次の時代を担う子どもたちの成長を、これからも見守っていきましょう。ワークショップで出会った子どもたちと、将来どこかでお会いできることを願っております。

今後の課題としては、少子高齢化社会の進行や生成AIなどをはじめ、技術革新・環境問題・国際情勢などを踏まえ、持続可能な社会を見据えた新たなワークショップの在り方についても検討が必要になってまいりました。キッズデザインワークショップに限らず、JIDとしても以下の課題などに取り組むことが求められます。

1. 高齢化社会に向けた取り組み

2. 生成AIなどの技術革新に対応したデザイン・スキルの向上

3. 国際情勢や持続可能な社会に向けた取り組み

これらの取り組みを通じて、引き続きキッズデザインワークショップは子どもたちに未来の社会で必要なスキルと意識を育む場となることを目指します。ぜひ、皆さまお一人お一人が次の担い手である子どもたちに、デザインの楽しさと力を伝えていただければと思います。

キッズデザインプロジェクトのメンバーにご参加ください!

私たちのワークショップでは、子どもたちが創造力を発揮し、デザインの魅力を体験することができます。デザインを通じて、問題解決能力やコミュニケーションスキルを育み、「共に、教え・教わる」貴重な機会です。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。子どもたちと未来をデザインする楽しさを一緒に体験しましょう。

🔳キッズデザインワークショップ 2024年開催概要

日 程: 2024年7月27日(土) 28日(日) 時間: 各日10:30〜16:00

会 場: リビングデザインセンターOZONE 7階 特設会場

展示会:7月29日(日)から8月24日(土) 7階 特設会場 

最終日JIDキッズデザイナー認定証授与。

参加者:49名(保護者合わせて120名)

ワークショップメンバー

JID: 浅野盛治 有泉智彦 池田和修 小川和彦 尾崎めぐみ 小野上勝志 亀田一幸  小林秀徳 櫻井良樹 藤堂雅江 冨田恵子 鳥井貴正 藤谷由紀 田中道子

icon: 小玉靖子 北谷明日香 杉本弥和子 杉本恵 仙波慶子 田中みつ子 濱中恵理 森山恵

■協賛・協力企業:

  • 学校法人環境造形学園専門学校ICSカレッジオブアーツ 
  • 株式会社イリア 
  • オンウエー株式会社 
  • 株式会社カンディハウス 
  • トーソー株式会社 
  • 株式会社ワーロン 
  • 株式会社エーディコア・デバイズ 
  • リビングデザインセンターOZONE 

■資材協力企業:

  • ARUNAI東京ショールーム
  • 浜本工芸東京ショールーム
  • モビーレ・モビーリ
  • BABAKAGU GALLERY

CCDO(中部デザイン団体協議会)親子デザインワークショップ<変身キューブを作ろう!>

                                   中日本エリア 中島健視

 JID中日本エリアの参加している関連団体にCCDO(中部デザイン団体協議会)があります、中部のデザイン10団体が参加して1988年に発足しました。5つの委員会があり、中日本エリア会員もそれぞれの委員会に参加しています、その一つ啓発委員会の事業「親子デザインワークショップ<変身キューブを作ろう>」が「ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業実行委員会」の主催で8月24日(土)ナディアパークデザインギャラリー(名古屋)で開催されましたので紹介致します。

 このワークショップはCCDOの企画により毎年夏に開催されています、今回のテーマは8個の立方体を繋げて「変身キューブ」を作成しました。抽選により午前20組、午後20組の親子の皆さんに参加していただき、CCDO委員会メンバー10団体のデザイナーが制作をフォローしてオリジナリティあふれる素敵な「変身キューブ」が完成しました。

キッズデザインワークショップ

夏休みにつくろう「わたしのへや」ご報告

西日本エリア ACTIVE委員長 金沢ちかこ

 2001年、関西事業支部(当時)教育研究委員会では「子供のためのインテリア教育の可能性」をテーマに、子供たちにインテリアを身近な環境とすることを目的としてキッズデザインワークショップに取り組んできました。

 以来、大阪市を中心に東大阪市、京都市、堺市の小学校など約10校での出前授業を行い子供のためのインテリア教育の基盤をつりました。

 2012年からは、大阪市立住まいの情報センターとのタイアップ事業として主に夏休み期間中にキッズデザインワークショップを行い参加者も多く好評に推移してきました。

 今回は、8月17日(土)の1回目10:30~12:30。2回目14:30~16:30の2回に分け、それぞれ25名と22名の子供たちが参加して行いました。

今から始まります🎶

 作業は、あらかじめ準備した平面の型紙から立体の部屋をつくり。

まず、お部屋の形を作ります。
お部屋のインテリアを作ります。

 床や壁には、思いおもいに窓やドアなど部屋のイメージをクレパスで描いたり、準備された壁紙やカーテン生地のサンプルから自分の思うイメージに手を加えてわたしのへやに仕上げて、その後テーブルや椅子、ベッド、人物、植物などを配置して「わたしのへや」を完成させました。

カラーコーディネートをしています。みんな夢中です。

 高学年の子供は、サンプル帖を上手く使って手際よく、低学年は伸びのびとした・・・わたしの好きな楽しい部屋が多く見られました。階段を配して2階にテラスをつくったり、回転扉や天井をつくるなど、空間を捉えるセンスを感じ発想が素晴らしい作品が出来ました。

 子どもたちが楽しく真剣に取り組む姿には将来のデザイナーが期待できました。

「三鷹天命反転住宅」

                西日本エリア担当理事 安藤眞代

 長い間詳細を知ることなく、そのインパクトある奇妙な外観と鮮やかすぎるカラーリングで、ずっと気になっていた「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller 」。まだ暑さが残る9月に、今回貸し切り説明付き、建築見学会を自ら企画しました。東京西郊外の三鷹市のランドマーク的存在でもあるが、意外と東京在住の人も気になっていて、行ってみたかったというインテリア関係のメンバー10名と訪れました。

三鷹天命反転住宅外観
三鷹天命反転住宅外観

 一般的な住宅という概念から突き抜けているこの建物は、芸術家であり建築家でもある荒川修作+マドリン・ギンズにより完成された、世界で最初に完成した『死なないための住宅』です。世界十数カ国のメディアで取り上げられています。

 この住宅は「身体を中心に設計された家」。我々が持っているこの身体を中心に環境をつくってみようというのが、大きなコンセプトで、名前の通りヘレン・ケラーに捧げられて、彼女が住むとしたらどんな部屋だろうというのもテーマのひとつになっています。この建物には部屋ごとに内外装ともにカラーリングが全く違う9戸があり、中には10年以上お住まいの方もいるそうです。

 見学会の1室に入ると、いきなりバランスを崩しそうになります。そう、床が凸凹ポコポコして波打っているのです。床が平行では無いことで、人間は自然バランスをとって歩くことによって、健康になる〜なるほど!

 更に部屋の中のカラーリングも凄い!原色ハデハデで、14色も使っているとの事ですが、人間は6色以上が同時に視界に入ると、突出した色の個性を認識できなくなるので、バランスが保てるようになるらしいです〜またまた、なるほど!

 一見わからないのですが、部屋の左右の高さもずいぶん違います!

 日常のなかで私たちが当たり前だと思っている知覚や感覚が、実は身体と環境の関係性でたやすく変わっていくということを、ここに入ることで教えてくれるのです。

 この住宅をつくった建築家、荒川修作さんの考えは、安直に「映え」を狙った奇抜な設計などでは無く、本能や五感を研ぎ澄まして、天から授かった命(天命)、すなわち人間が死ぬという天命をひっくり返す(反転)のが目的の「死なないための家」として作られたのが、この天命反転住宅という事です。

 本当に奥深い〜「三鷹天命反転住宅」での体験は、様々なインテリア、建築に携わる私たちに、新しい価値観を教えてくれました。

*「三鷹天命反転住宅」は2005年10月に完成した、現代美術家の荒川修作+マドリン・ギンズ作品であると同時に、3棟3階建で構成された集合住宅である。

“JIDデザイン供養”を振り返る

北・東日本エリア 浅野盛治・松居明夫

ライター 西日本エリア 八十常充

 今から33年前、日々のデザイン業務で提案したデザイン案も種々の事情で採用とならず、やむなくボツとなった作品などを持ちより“デザイン供養”が企画・実施されていました。

        ―JID News300号記念デザインアーカイブとして、貴重なJID活動

           “デザイン供養”にスポットを当てました―

 当時、関東事業支部交流委員会に於いて、中川帛子会員の発案を受けて、斎藤武行委員長を中心に企画立案されました。中川帛子会員の出身地である鳥取県淀江町を会場とし、現地との調整など準備を進め、1991年に第1回目を開催し、その後は2年毎に3回まで開催されました。

 淀江町(現米子市淀江町)は弥生時代後期、日本最大の国指定史跡「妻木晩田遺跡」、本州で唯一古墳時代の重要文化財「石馬」、我が国最古級の彩色仏教壁画片の出土と東アジアにも例を見ない金堂の南北に3塔を配した寺院「上淀廃寺跡」などを代表とする遺跡や遺物を有する由緒のある地域です。

 “第1回デザイン供養“は淀江町教育長の特別のお計らいで、淀江町のほぼ中央に位置する壺瓶山(つぼかめやま:古墳))山頂で執り行われました。JID会員と共に淀江町長、淀江教育長、淀江町職員(供養担当)、地元在住のデザイナー、地元小学校の児童が合唱で参加しました。(地元小学校児童の合唱は第2回、第3回にも披露されました)

 当日、古墳上に特別にデザインされた炉を設け、燃える炉の中へ会員が持参した「没デザイン・プラン・企画書」を投じて煙と共に天空へ送り供養し、新たな活力を頂きました。

 没デザインを炉に投じる際には、それぞれの思い、無念さ、捨てがたい思いなどを地元放送局のアナウンサーの方に読み上げて頂きました。

 デザイン供養の中で、地元小学校の児童が地元デザイナーによりデザイン制作された衣装を着て合唱を披露、供養に花を添えてくれました。

 供養行事を無事に終えた後、夜の交流会では、地元の漁協組合より松葉ガニのご提供を頂きました。

 第2回、第3回のデザイン供養では、供養の行事の他、地元特産の和傘をテーマに会員がデザインした和傘による華やかな展示会、岩倉会員によるセミナー、弥生時代の古代食を再現した赤米、蓮の実や栃餅の試食体験、淀江町観光等が行われました。

2025年大阪・関西万博概要及びパナソニックグループパビリオン「ノモの国」ご紹介

西日本エリア 広報 八十常充

「万博」には、人・モノを呼び寄せる
求心力と発信力があります。

開催期間:2025年4月13日(日) – 10月13日(月)184日間

テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン

Designing Future Society for Our Lives

パナソニックグループパビリオン「ノモの国」の情報をご案内いたします。

資料提供:パナソニックホールディングス株式会社 2025年大阪・関西万博推進委員会

EXPO2025

2025 大阪・関西万博オフィシャルサイトはこちらのURLをクリック https://www.expo2025.or.jp

2024.10.11

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