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担当理事:冨田恵子
編 集 長:八十常充
北・東日本エリア:小林秀徳
中日本エリア:中島健視
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:小野和徳
目次
第11回 定時総会 理事長挨拶
理事長 丹羽浩之
JIDは本年設立65周年を迎えます。
この間、新型コロナウイルスでの3年間は、イベントなど活動自粛の中に於いてもオンラインツールの活用により、本部と各エリア間の意思疎通や効率の良い業務が出来るようになった一方で、会員同士や他団体とのリアルな交流が失われました。
しかし、今年から自粛制限も緩和され多くのイベントが活発に行われる様になり、皆様の活動に期待するところです。
本年の総会は、初めての試みとしてD-8日本デザイン団体協議会にて、デザイン団体が横の繋がりを感じてもらおうと言うアイデアを基に4団体が総会を同時に行い、その後D-8合同でのセミナーや交流会を開催致しました。
多くのデザイン団体が存在する日本に於いて、本年はWDO世界デザイン会議が34年振りに東京で開催されます。
この様な海外との繋がりも日本のデザイン団体と連携をしながら、日本のデザイン価値を海外にも多く発信していきたいと考えています。
JIDの主たる事業として、「JID AWARD」や平成28年度からJDPとの共催事業「WIWワールド インテリア ウイーク 」の開催。特別事業「次世代を担うデザイン展」を行います。
国際委員会では、IFI(国際インテリアアーキテクト/デザイナー団体)理事会、総会出席及びAPSDA(アジア・パシフィック スペースデザイナー団体)の理事会を日本で開催及び総会出席。VDAS(ベトナム デザイン アソシエーション)とのアワード協力など
日本に於ける様々なインテリア関連団体の集まりとしてのJAPAN SHOPに於ける「IDM」企画参加など、他団体や所属国際団体との積極的な交流を行い、JIDの存在感の向上に努めて参ります。
しかしながら少子高齢化の日本社会に於いて、当協会でも新入会員はあるものの、正会員の減少もあり、会費収入の減少が続いています。
JID会員であるベネフィットを明確にし、また法人会員さまにも積極的な活動を自発的に行って頂ける様な環境整備を至急行いたいと思います。
「JID AWARD」「次世代を担うデザイン展」「WIW」などの公共事業イベントの広報に力を入れ、国際団体との交流や築き上げたJIDの地位を会員並びに入会希望者にも広く知って頂く必要があると考えます。
本年度もこの様な活動を通じながら、財政改革を行い正会員及び法人会員へのサービス向上や新たな収益事業の構築の企画で、スピード感を持った協会運営改革を行う必要があると考えています。
皆さま何卒ご協力をよろしくお願い致します。
令和5年度定時総会ご報告
副理事長 小野上勝志
総会
令和5年度定時総会(通算第11回)は、6月16日(金)15時より 東京ミッドタウン・カンファレンスRoom6に於いて開催されました。
新型コロナウイルス感染症等の社会的状況から、昨年度に引き続き、本年度も定時総会は規模の縮小を否めず、会員の議決権行使については書面で行う事とし、開催をリアル&オンラインで行うことにしました。
本人出席16名、書面による議決権行使63名、白紙委任委任12名、総数96名で、会員総数160名の2分の1(81名)定足数を満たし、総会は成立いたしました。
定款規定により議長に丹羽理事長が選任され、理事長所信、前年度の総括に続き、本年度の方針を議案書に沿って概要説明を行いました。
〇第1号議案:令和4年度事業報告(案)並びに令和4年度収支決算報告(案)の承認の件。
〇第2号議案:令和5年度事業計画 (案)並びに令和5年度収支予算・資金調達及び設備投資の見込み(報告)の件、について各担当理事から定時総会の資料に沿って補足説明を行いました。
◆本部事業
- 選考事業プロジェクト 担当理事 川上玲子
- 特別事業プロジェクト 担当理事 海老沢宏
- 共催事業プロジェクト 担当理事 井出昭子
- 総務委員会 担当理事 小野上勝志
- 国際委員会 担当理事 酒井浩司
- 広報委員会 担当理事 冨田恵子
- 財務委員会 担当理事 池田和修
◆エリア事業
- 北・東日本エリア 担当理事 鳥井貴正
- 中日本エリア 担当理事 丹羽浩之
- 西日本エリア 担当理事 安藤眞代
- 南日本エリア 担当理事 江島太士
◆事務局管理
- 事務局管理 担当理事 池田和修
*詳細は総会資料をご覧ください。
議事は順調に進み、定刻に終了しました。
総会&交流会について
■今回の総会は、JIDも所属するD‐8日本デザイン団体協議会の初の試みで、総会を同時期に同会場で開催し、その機会にデザイン各団体の横のつながりをと、合同でのトークイベント&交流会を行う企画で開催しました。
今回、総会を4団体が同時に開催し「D8トークイベント&交流会」と銘を打ち、各団体で行っているアワードのへ取り組みと受賞作品が紹介され、それぞれ取り組みへの独自性が伺われました。
これまでになかった合同イベントは、デザインとデザイナーのカテゴリ―を跨ぐ新規性が見受けられ、これからのD-8 交流に方向性を示す企画と思われました。セッションの後、場所を移してひと時の懇親会で終了しました。
皆様、2023年度総会資料を読み込んでいただき、本部事業及び各エリアの事業の推進に積極的に参加していただきまして、皆様の知恵と実行力で、次のJIDを作ってまいりましょう。
JID AWARD 2023 選考経過中間報告
選考委員会委員長 米谷 ひろし
報告作成 清水 忠男
JID AWARD 2023は、本年3月3日に募集要項を発表し、6月30日に応募を締め切りました。
今回の有効エントリー数は、スペース部門112件、プロダクト部門24件、ネクストエイジ部門47件。エントリー総数は、183件で、昨年度を上回りました。
今後のスケジュールは、7月20日までに各審査委員がウェブ上で審査を行い、7月22日に第1回審査会を開催します。結果が確認された後、スペース部門の現地審査の担当者を決定。審査日時の調整を経て、9月23日までに現地審査と報告書作成を行い、10月7日の最終審査会に臨みます。
受賞作品展及び表彰式は、11月末に開催の予定です。
「ワールドインテリアウィーク2023」&「IFI創立60周年」について
共催事業担当理事 井出昭子
ワールドインテリアウィーク&ワールドインテリアデー2023は、5月19日(金)〜28日(土)期間中に東京、名古屋、神戸、日田の各会場にてデザインイベントを実施を致しました。皆様ご参加を頂き誠にありがとうございました。
日本代表として、日本デザイン振興会/JDPと日本インテリアデザイナー協会/JIDが加盟をしております、インテリアデザインの国際団体でIFI、国際インテリアアーキテクト/デザイナー団体連合は、今年創立60周年を迎えました。
IFIが、毎年5月の最終土曜日、この日を「ワールドインテリアデー」(WID)と定め、IFIに加盟している世界中のメンバーが共通のテーマでインテリアデザインの意義について考えるためのイベントを行う日、としています。
日本ではこの「ワールドインテリアデー」を含む1週間を「ワールドインテリアウィーク in Japan」として、加盟団体であるJIDとJDPは、2016年より各地で様々なイベントを実施致しました。
今年のWID世界共通テーマは、「Sustainability Design & Beauty」でした。
東京ミッドタウンのインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターに於いて、5月24日(水)には、ウィークイベントの1つとして、洪恒夫さん(株式会社会社丹青社エクゼクティブディレクター/東京大学総合研究博物館特任教授/日本デザイン団体協議会ジャパンデザインミュージアム設立研究委員会委員長)、太刀川英輔さん(NOSIGNER代表、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会理事長)をお迎えして、今年のテーマでセミナーとセッションを実施いたしました。多くの皆様にオンライン配信でご視聴を頂きました。
WID5月27日(土)は、デザインシンポジウム「持続可能な都市のためのデザイン」を開催をしました。 最初に喜多俊之WIW実行委員長の開会挨拶、内藤廣JDP会長よりIFI60周年の祝辞ビデオメッセージ、そして篠原総子さん(建築家、日本女子大学学長)、飯石藍さん(都市デザイナー、公共R不動産コーディネーター、株式会社next取締役)、近藤ヒデノリさん(UNIVERSITY OF CREATIVITY サスティナブルフィールドディレクター、株式会社博報堂)のパネリストを迎え、丹羽理事長の進行でトークセッションを行い、オンライン配信と対面参加のハイブリッドにて実施を致しました。
さて、IFI、国際インテリアアーキテクト/デザイナー団体連合は、今年で創立60周年になりました、5月27日に私よりIFIについて述べさせて頂きましたが、改めてご紹介を致します。
IFIは、1963年に北欧を中心とするインテリアデザイナー協会が非営利団体としてコペンハーゲンに創設した国際組織です。
現在は本部をニューヨークに置き、加盟メンバーは、インテリアデザイナー団体、インテリア産業界、大学を含むデザイン教育分野、デザイン振興団体など広範囲におよび、参加国110カ国、会員総数270,000人の国際団体連合となっています。インテリアデザイナー団体に関しましては、各国代表として1団体の加盟と定められています。
IFIの活動としましては、職能に関わる国際問題の把握、関連する、研究および調査の実施、世界のデザイン教育、カリキュラムや、教育レベルの、現状把握と、国際基準規定の、検討などについて広範囲な情報収集と情報交換を行い、発展的な提案のための対話の場の提供、国際的なアワードなど、いわゆるグローバルプラットフォームとして機能し、国際社会を繋ぐ役割を担っています。
これまでのIFIと日本の関わりについてですが、JIDは今から46年前の1977年、アジア地区から初めてメンバーとして加盟をいたしました。以来、隔年ごとに開催される総会に、代表を派遣し、この間、IFIの出版活動や資料提供、人的交流に寄与いたしました。
1995年の第15回総会と、国際会議を名古屋市の後援を得て招致し、IFI史上に残る国際会議となり、国際的貢献と日本に置けるインテリアデザインの社会的理解を深める好機となりました。
JIDは、また1993年から4期、8年にわたりIFI理事会に理事を送り続け、直接的な国際的、発言の場を保持し、IFIの運営に関与するなど、主力会員として関りまして、2014年度より再度、理事を送り、国際的視野と国内だけでは解決出来ない、様々な問題に対処し国際貢献を果たしてまいりました。
また、2009年に提起され2011年に批准された、世界のインテリアデザイナーの職能、インテリアデザインの存在意義と効果についての宣言書IFIの「インテリア宣言」にも強く拘ってまいり、これは、国際教育文化機関(UNESCO)も認証をしているもので、世界50カ国以上の、都市での承認を目標に活動をしています。
2013 年にはJDPと供に、IFI 創立50周年記念行事の一環として理事会を日本で開催、あわせて「IFI インテリアデザイン国際 フォーラム2013」を実施いたしました、インテリアデザインの今日的な様々な課題の検証と、関連業界および、デザイン教育などの問題を国際間で共有し問題解決へと進める機会を得ました。
また、この間に神戸市と名古屋市に於いてユネスコの同意を得た「インテリア宣言」の承認式が執り行われるなどの、成果を上げることができ、2017年には国内3都市目となる旭川市が、世界126都市目の承認と公式宣言を行いました。
世界の都市でインテリア宣言はなぜ採択されるのか? を申しますと、IFIインテリア宣言の採択は、専門家とインテリア業界にとって、また政策立案レベルにおいて、インテリア産業の影響力の大きさが認識されるという点で重要です。
建造環境における、グッドデザインを広めることを通して、そのコミュニティーの福祉についてなど、公約を宣言する貴重な機会を得ます。
法的拘束力はないものの、IFI インテリア宣言 は国民の生活を改善する、インテリアデザインを支持する行政機関に、より力強く宣言されるものです。 またそれは、行政機関にとって、 デザインの力を政策レベルで行使することを、確約する重要な機会となるからです。
神戸市、名古屋市、旭川市の3都市は、ユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市でも認定されており、このIFIインテリア宣言は、デザインの力を支持する機会として、国際交流とその活性化に寄与できたかと思います。
IFIの加盟メンバーとして、日本デザイン振興会と日本インテリアデザイナー協会は、共にワールドインテリアウィークインジャパン、およびIFIインテリア宣言の普及とより深い理解のため、また、インテリア環境の発展と問題解決に取りみ、国際貢献活動をこれからも推進してまいります。
これからもご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。
WIWインテリアマップツアー online 2023
中日本エリア 小林将人
World Interiors Weekへの参加は、デザインが私たちの社会、文化、そして将来の暮らしと環境に果たす役割を深く理解するための貴重な機会でした。
日本インテリアデザイナー協会中日本エリアの取り組みとして、関連企業やショップの協力により毎年制作・配布されるインテリアマップの活動にも参加しました。
当日午後1時から始まったインテリアマップツアーでは、20社ほどの企業がZOOMを通じてショールームや会社紹介を行いました。
参加企業は個々に工夫を凝らし、動画やライブ配信など様々な形式でコンテンツを提供してくれました。私たちはリレー形式で各企業を巡りながら、その素敵なインテリア空間を自宅から手軽に体感することができました。
ショップごとの特徴やデザインのコンセプトが分かり、商品の質の高さと独自性に感銘を受けました。その魅力を感じることができたのは、オンラインならではのメリットでした。
・奮闘中の中日本エリアスタッフ
午後3時20分を過ぎ、私たちはWIWワールドトレンドセミナーに参加しました。
先ずは、名古屋文化短期大学からのZOOM配信による「最新パリホテルから学ぶインテリアトレンド」のセミナーです。パリホテルの最新デザインを通じて、世界のトレンドを知ることができました。 洗練されたスタイルや機能性に溢れたインテリアは、私たちの日常生活にも多くのインスピレーションを与えてくれました。
・名古屋文化短期大学で開催されたワールドトレンドセミナー案内と講演中の森澄子氏
・質疑及び会場風景
その後、17時にはCondeHouseショップでのリアル体験会が開催されました。実際に店舗に足を運び、デザイナーの指導のもとで家具やインテリアアイテムを体感できる貴重な機会でした。高品質な素材や繊細なデザインに魅了され、自分の理想のインテリア空間を想像することができました。
また、スタッフの親切な対応や専門知識の共有は、私たちの購買意欲を高める一助となりました。
World Interiors Weekへの参加を通じて、デザインが私たちの暮らしに与える影響やインテリア産業の重要性について深く考える機会となりました。
インテリアマップツアーやトレンドセミナー、リアル体験会などの多様なプログラムは、参加者に幅広い視野と知識をもたらしました。今後も地域のインテリア産業の発展と、このような素敵なイベントの継続的な開催を願っています。私たちの日常を彩る魅力的なインテリア空間がますます広がることを楽しみにしています。
ミラノサローネ2023 上映会
中日本エリア 兼子春彦
昨年も好評いただいた、ミラノサローネ2023の会場における風景を切り取り動画にした映像の試写会を昨年同様名古屋プラス(CREATORE with PLUS NAGOYA)ショールームをお借りして開催致しました。
いつもながら大変美しい映像と何よりも自分目線で展開される会場風景を見られるのは唯一無二の体験であり、正しく自分で実際に見たような疑似体験に興奮を隠せません。
毎年この経験ができる幸せを感じられる催事となりました。さて今年の内容に関しては年々お金もかかって洗練されてゆくなあというのが第一印象です。
特にモダニズムを強調された展示は圧巻であります。昨年のキッチン展示は本年はなく照明器具のお披露目の会でありLEDによる更なるデザインのされる領域の拡大が目に付きました。
勿論オールドスタイルのベネチアンガラスの再構築も目に付き、ほっとするところではありました。
・映像の解説をする左より成ヶ澤氏、カメラマン矢口氏、丹羽理事長
今回は学生さんの参加を絞ったことも有り、昨年未参加のコーディネーターさんも多数お越し頂き内容に納得いただけたと感じました。
蛇足ですが、会終了後の交流会でコロナのクラスター発生を起こしてしまい反省材料になった事をご報告致します。来年は環境にも気をつけて開催に臨みます。
WIW 2023 デザインカンファレンス・フォーラムトークイベント
西日本エリア 広報委員長 魚田 純
執筆協力 小宮 容一、 金沢 ちかこ、桑山 真弓、酒井 浩司
5月27日(土)10:30~18:00 HDC神戸に於いて、「SUSTAINABILITY、DESIGN&BEAUTY」を共通テーマに第1部~第5部のロングイベントを行いましたので概略を報告致します。
第1部 10:35~12:20 USD-O(関西デザイン団体連合)デザインレクチャー
- 平野湟太郎(SDA)「デザイン界の持続性、貢献活動の紹介」
- 東京池袋での、街中全部デザインイベントの紹介。
- USD-O万博委員会で、大阪の街を子供達の絵のバナーで飾ろうの企画・展開を紹介。
- 斎藤俊二(JCD)「商空間デザインのこれからの持続性」
- WOOD SPRING:ショッピングセンター内に子供の遊び場を創り、集客と持続性をもたらした。遊ぶ事&片付けるを躾ける。(広島)
- 天王寺MIO:駅ビルの歩道・通路にカフェやフードカ―を設置、街と商業を繋げる。変化することでサスティナビリティを確保。
- 大森あき子(DSA)「日本空間デザイン賞に見るサスティナブル」
- DSAとJCDで主宰する「日本空間デザイン賞」は昨年より「サスティナブル賞」新設した。その受賞作が「上勝ゼロ・ウェイストセンター」。廃材を活用の商業施設。商品もゴミゼロをモットーにリサイクルで作られる。(徳島)
- 藤田美術館:旧藤田科傳三郎住宅の蔵や建材・部材を活用・リニューアル。(大阪・桜ノ宮)
- 小宮容一(JID)「SDGs & JID-AWARD & 美学」
- JIDではSDGsの17目標。#12:つくる責任。#4:質の高い教育をみんなに。#11:住み続けられる 街づくり。#15:陸の豊かさを守ろう。#14:海の豊かさを守ろう。の5目標をデザイナーの目標とした。
- 2021,2022年のJID-AWARDから、サスティナビリティの高い7作品を紹介した。
- インテリアの美学に、享受の美学と創作の美学ある事を解説。
- 中村孝之(JASISK・JIPAK)「インテリアにおけるサスティナブルな思考」
- わが国では古来から住宅は、身近な里山から取れる、木材、土などから作られた、サスティナブルな思考・・・使った分を植林する。
- 住宅は、耐久性・メンテナンス性に加え、恒久性・柔軟性が必要で、且つ心地良いサスティナビリティを生む。
- インテリアにおける、木比率には、心地良いバランスが必要。
詳しくは、Youtubeをご覧下さい。 https://youtu.be/ik1HdV7mqHw
第2部 「VR体験Work Shop」12:20~12:40
・田辺和子 メガソフト株式会社 広報室
「次世代のインテリアプランニング手法」
このソフトは建築現場でおこる、仕上がりとプランのイメージの違いを解消するために考えられたソフトである。これまでの3DCGは空間の高さや広さのイメージが伝わりにくく、またコストも時間もかかっていたがVRを活用することにより、自分で考えたインテリアプランがイメージ通りにできているかを自分で確認出来ることができるようになった。またイメージがことなればその場で修正もできるこれから活用出来るソフトである。VRのデモも取入れながらの説明。
第3部 「モノ・空間デザイン学生展&プレゼンテーション」12:45~14:35
3年振りの対面による学生のプレゼンテーション。
学生達もリアル体験ができ直接先生やプロのデザイナーからのコメントが聞けて良かったと思います。聞き手側にもプレゼンテーションの熱意が伝わって来ました。
例年以上に作品のクオリティも上がっている様に感じます。
学校ごとに同じテーマでも視点が違い個性を感じました。
また、プレゼンテーションの手法も学校のカラーが出ていて、一同に見れるのは学生達にもとても良い影響を受けた事と思います。
〇参加校及びテーマ
・国士舘大学:「持続可能な都市のためのデザイン。都市型共同住宅と店舗からなる複合施設」
・中央工学校OSAKA:「インテリアとは 〜人物への深い理解を形へ〜」
・神戸女子大学「住宅と飲食店舗のインテリア:2・3年生の課題を中心に」
・神戸芸術工科大学:「ソフトな重厚感をデザインテーマに、リラックスを重視した軽フィーリングオープンカーのデザイン」
・神戸松蔭女子学院大学:「KOBEポートタワーFANTASY」
・九州産業大学:「卒業研究 素材と造形の探求」
以下プレゼンテーション参加校の記録写真を添付
*コメンテーター:大西哉子(JCA関西、JAFICA)、大森あき子(DSA)、安藤眞代(JID、BIID)、斎藤俊二(JCD)、平野湟太郎(SDA)
*同時開催の「モノ・空間デザイン学生展」作品は別ページに掲載しました。
第4部 「教員・研究者・クリエーター デザインレクチャー」14:40~16:25
*6名の方よりリアルとオンラインでの発表となりました。
・田中 栄治 神戸女子大学 家政学部家政学科 教授
「住宅における建築・庭園・工芸の連繋」
緑を取入れたレストランや住宅の事例の紹介、大正、昭和初期に行われていた生活改善運動(住宅の改良と庭園の改造)、田中先生が活動されている茅葺き民家の保全・活用についてなどSDGsに繋がるお話しをされました。
・安齋 哲 九州産業大学 芸術学部生活環境デザイン学科 空間演出デザイン専攻 教授
「発想から制作、展示まで 空間演出デザイン専攻での学生の学び」
デザイナーやクリエイター育成のために行っている数多くの企画やイベントの事例を紹介。
・冨田 恵子 (公社)日本インテリアデザイナー協会理事、IDMエシカルなインテリア研究会代表
「エシカルなインテリアの実践」
エシカルなインテリアを実現するためには「どこで」「だれが」「なにから」「どのように」つくられたものなのかを知ること、知って、考えて、行動するという考えが浸透することが目的で、川上と呼ばれるインテリアメーカー、川下である消費者の間に立ち活動している。
綿花栽培による汚染、働く人の健康被害、児童労働の実態がないことを証明する国際認証マーク、ダウンやウールの原料の調達に際し非人道的な行為を行っていないことを証明するマークの紹介などエシカルな視点に立ったインテリアについてわかりやすくお話いただきました。
・矢倉 誠人 大阪大学共創機構 イノベーション戦略部門 人材育成室 特任学術政策研究員
「端材ハッカソンから生まれるサスティナブルな思考」
端材とは工場から出る不良品、不要品、ハッカソンとは商品開発アイディアという意味で
モノづくりの大阪で新しい価値のある商品開発をする教育プログラムの取り組みについてお話いただきました。
2022年の活動やその時に生まれた商品やブランドの話、ハッカソンブランドハザイソンが社会に提供する3つの価値についてなど。
・位田 達哉 国士舘大学 理工学部建築学系 准教授
「生理的指標からみた学生制作」
学生の製作活動の取り組みにおいて実空間における製作とVRでの学びについて脳波や心拍変動から学生が製作活動にどのように取り組んでいるのかを客観的に評価した事例について。
・酒井 浩司 国士舘大学理工学研究所特別研究員、大手前短期、神戸芸術工科大学非常勤講師(公社)日本インテリアデザイナー協会理事
「WIW KOBEについて&ソーシャルデザインとしての端材と放置竹林の竹活用」
身近な社会問題を創造的にデザインで解決の糸口、提案を試んでみると色々つながる。
そして続けているとさらに広がる。と、これまでの取り組みや今後のデザインの可能性について。
未来に向けてデザインで何ができる?アップサイクルのデザインの追求とは?
学生と取り組んでいる放置竹林の竹の活用やアップサイクルを考えたファッション提案や日本が抱える問題に対してサスティナブルな考え方をもとにデザインで解決できることがあるのでは無いか、など未来につながるデザインの可能性についてなどイタリアで海外デザインを学び 社会問題を解決するデザイナーと関わりアップサイクルな活動をはじめ、端材や放置竹林に新たな価値を加え、移動式茶室空間「どうらく庵」のデザインをご紹介。
第5部 「デザイン カンファレンス トーク」16:30~18:00
3名のデザイナーより、それぞれのテーマに合わせたデザインについてお話していただきました。
・賀来 寿史 木工家/中央工学校OSAKA、京都芸術大学、京都工芸大、非常勤講師
「つくれる家具からプロトタイピングしてみる地域材のサスティナビリティ」 奈良吉野からオンラ イン参加。
地域材の活用の可能性など、林業の現状である切り捨て伐採された材木から、木材本来の良さと特徴を見極め、プロトタイピングをすることによって新しい価値観に繋げている。
・桑山 真弓 現代アート作家/空間デザイナー 感響創造クーハウス代表、阪南大学、中央工学校OSAKA 非常勤講師
阪南大学、中央工学校OSAKA 非常勤講師
「自分軸、自己対話から広がるクリエイティブな世界」
学生時代から現在までの歩んできた過程で、なぜ現代アート作家が空間デザインやインテリアデザインの仕事が出来ているのかと言う内容。アートとデザインの共通意識として、自分との対話から生まれるしっかりとした軸が大切であると、過去の現代アート作家の紹介を含めて行った。
・安藤 眞代 「studio Ma」代表 英国インテリア協会 BIID正会員
中央工学校OSAKA非常勤講師 (公社)日本インテリアデザイナー協会理事
「Milano Salone Design Week 2023と北欧の魅力」
最新のミラノサローネ2023と北欧をめぐり、ホットな情報を写真を交えて解説しました。
詳しくは、次項掲載の同氏「ミラノサローネ・レポート」をお読みください。
第5部終了後には、コメンテーターと参加によってトークセッションが行われ、トレンドはこれからの持続可能なデザインに必要な事であるのか。本当にデザインしたいもの、事を理解して、自分の中から出てきた「真」のあるデザインが大事なのではないかという内容で盛り上がりました。
総括
1、サスティナビリティをテーマに、各団体のアワード作品による持続可能な空間の紹介や商業施設での事例の紹介、これからの持続可能な商業施設の方向性、研究成果から見えてきた持続可能インテリア空間におけるエビデンスの話などが、議論された。
2、VR空間によるインテリアプランニングが、より良い空間を創造するツールであることを改めて実感できた。
3、卒業研究中間発表から、課題をブラッシュアップし想いのこもった発表が多くみられ、熱心さ伝わる聞き応えのある学生プレゼンテーションでした。
4、杉を家具に利用し続けることで素材そのものの新しい可能性が見出せ、地域の活性化にもつながるのではという木工家&プロトタイピングデザイナーさんの現場など、なかなか聞くことができないお話からアーティストとして日々取り組む活動、そして、作品がはなつメッセージが持続可能性な特性をもち、身近にアートを鑑賞したり体験することで心を豊かにしてくれることを確認できるお話をおききしました。また、最新のミラノサローネレポートからは、ワクワクするデザインの重要性や可能性を確認できました。
3年ぶりのリアル開催には、学生さんから教員、研究者、クリエーターが集まり総勢21組集まり発表やプレゼンテーションが行われました。尽きることのないデザイン可能性を感じ取れるとても貴重な機会となりました。
「インテリアの明りとウィンザーチェアー」
南日本エリア 荒川政勝
WIWの取り組みとして、南日本エリアでは5月26日に「インテリアの明りとウィンザーチェアー」と題したデザインセミナーを大分県の日田市民文化会館パトリア日田で開催しました。
講師には、JID永年会員中川千年氏と山永耕平氏にご登壇いただいて、来場者とWEBを組み合わせたハイブリッド形式で行いました。
中川氏は自然素材を取り入れた照明器具を多く手掛けており、過去の製作事例を交えながらインテリアとしての明かりについてお話しいただきました。
山永氏からは、17世紀よりイギリスで製作されてきたウィンザーチェアーについて、その歴史や長年の研究や製作の秘話など興味深いお話を聞くことができました。
当日は、会場にお二人の作品が展示され、来場者は直接お二人から作品の説明を受けたり、実際に作品に触れたりすることができ、とても有意義な時間となりました。
様子などをたっぷりお聞かせ頂きました
ミラノサローネ2023から北欧ノルウェーを訪ねて
西日本エリア担当理事 安藤眞代
4年振りにミラノサローネに訪ねました。世界がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に見舞われて4年振り、4月開催ということもあり、街中、会場、どこへ行っても人が多く、2019年に訪れた時よりも賑わいを感じました。
東京ドーム11個分の広さを持つ巨大な本会場(フィエラ会場)は、2019年までは2階部分も使用していましたが、回遊し易さを考えたためか、今年は1階部分のみのでした。
2年毎に照明とキッチンが入れ替わっての展示は、今年はエウロルーチェ(サローネ国際照明見本市)の開催で、その一番奥にある会場はいっそう人の多さを感じました。また、会場や街中に今年のテーマ「Do you speak Design?」と書かれたポスターが、ミラノ市にとってこのデザインウィークに力を入れている事が感じられて、とても印象的でした。
イギリスのトップデザイナー『Tom Dixon』が今年はエウロルーチェ会場に出展。ロボット技術を活用した画期的な照明や、ポータブルなテーブルランプも多数発表していました。
今年はラグジュアリーブランドを含め、アウトドア家具を多く発表しており、その場所に置くポータブル照明は、エウロルーチェ会場で様々なメーカーより見ることができました。
照明はLEDに変わってからは、毎年本当にびっくりするような商品が出てきています。イタリアの大手照明メーカー「Artemide/アルテミデ」は、レールの様な曲がったダクトレールに様々なタイプの照明を展示して、位置などをフレキシブルに楽しめる展示や、更にけん玉のような頭部分が動かせて外せるポータブル照明も新作でした。
写真5 フレキシブルなけん玉風 ポータブル照明
日本のAmbientec(アンビエンテック)がエウロルーチェに初出展。ここは水中撮影機材の開発・製造という技術的バックグラウンドを持つ、異色のポータブル照明ブランドです。コラボするデザイナーはミラノを拠点に活動されている、今大注目の大城健作さんをデザイナーに起用し(本人がたまたま会場に登場)、アルミニウム成形材を削り出して作っているポータブルランプが発表されました。
カラーの傾向では、数年前に多かった濃グリーン系のピーコックグリーンなどは、かなり少なく優しいカラー展開のベージュからローズピンク、コーラルピンク(テラコッタ)、さらにホワイト系ソファなども多く見られました。
やはり長いCOVID-19時期の間、人間の本来の求める安らぎ感を感じる、地球・大地から来るナチュラルなアースカラーに戻ったと感じました。
写真7 カラーの傾向
また家具のフォルムは、ほぼ丸みを帯びたラウンド系のものが多く、生地素材としては4年前に出てきたブークレ(モコモコした生地)のカラーバリエーションが多く見られました。
写真9 ラウンド系のソファや家具
ミラノ市内展示のフォーリサローネとでは、高級生地で有名な「ロロ・ピアーナ・インテリア」は、街の中心地ブレラ地区にある、ミラノ本社でインスタレーションを発表。8mに及ぶ12の塔は「ロロ・ピアーナ」の過去のコレクションの廃棄素材で覆われていると言うことです。
このように大きなメーカーは、サスティナブルな取り組みはもう当たり前で、さらにプラスαなものが今は求められています。
お客様をゆっくりと迎える為に街の中心地から少し離れた会場をあえて選ぶメーカーも多いです。
その中でカラーの魔術師とも言われる「パオラ・レンティ」は今年も圧巻の素晴らしい展示でした。ロープを使ったアウトドア家具で知られていますが、今年は室中で使用の家具にも力を入れていました。パオラは日本が大好きと言うことで、何となくJAPANの香りがするインテリアが多かったです。会場は元工場趾ですが、それがまた良い味を出していました。
本来は捨てる端の文字部分をソファに使って、廃材を無駄にしないというアピールを、誰でもわかるようにデザイン展開しています。
ギャラリーの展示もあります。その中で今回ピカイチに、アーティだと感じたのが「Nilufar Gallery」です。街なかのビルと郊外会場と2ヶ所での展示でした。
海外では、日本では別に考えられるアートとインテリアがとても近い領域にあります。アーティな家具自体が、インテリア空間に奥行きを与えて、豊にしてくれます。
このギャラリーは、一見華やかではありませんが、とても豊なインテリアだと感じました。
今年は、ミラノからまだ少し寒さが残る北欧のノルウェーに行きました。
到着が週末だったというのもありますが、前日までのミラノの人の多さとはうって変わって、街の人の少なさに逆にびっくりしました。
この国の人口は約500万人で日本の4%程です。手厚い社会保障があり、国民の生活水準は大変高い。
早くからgender free(男女平等)が浸透している同国では共働きが当たり前、そして平日でも大体午後3時過ぎには仕事を終えて、家族との時間をとても大切にします。実際に今回は友人宅に宿泊させてもらったのですが、本当に子供達が学校から帰って来て少し経った頃に、共働き夫婦も仕事を終えて戻ってきました。白夜なので、その後の時間は本たっぷりとあります。
今回はノルウェーを横断して、壮大な大自然にも触れました。
ミラノの最新インテリアから、豊な大自然と共存するノルウェー視察し、ここにいる間は友人家族と共に、本当に時間がゆっくりと流れて行きました。
街中でも自然がとても近く、共存していると感じることがとても多く、更に時間という豊かさも感じました。
本来の人間のあるべき豊さ〜とはこういう事なのではないかと、COVID-19を経て4年ぶりに訪れた北欧で、しみじみ感じることができました。
2023.07.14