JIDnews295号令和4年7月・8月・9月・10月・11月号

(発行日:2022.12.26)

JIDnews_295

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

編集

担当理事:冨田恵子
編  集  長:八十常充
北・東日本エリア:小林秀徳
中日本エリア:中島健視
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:小野和徳

JID AWARD 2022 選考経過と表彰式のご報告

選考委員会委員長 米谷 ひろし
委員 清水 忠男

 JID AWARD 2022は、2022年3月〜6月に、ウェブサイトで公募を行い、応募条件をクリアした164件を審査対象としました。
 今回の有効エントリー数は、スペース部門116件、プロダクト部門14件、ネクストエイジ部門34件でエントリー総数は、164件。いずれの部門も昨年の応募数を上回っています。

 第1次審査は、7月6日〜7月20日に各審査委員がウェブ上で審査を行い、7月23日の第2次審査会にて結果を確認。スペース部門については、上位12件に絞って、9月24日までに現地審査を分担して行い、報告書を作成。

 10月11日の最終審査会では、スペース部門では、現地審査報告を基にあらためて採点。部門賞4件、入選8件を選出。プロダクト部門とネクストエイジ部門では、パネルと現物を基に採点し、プロダクト部門賞5件、ネクストエイジ部門賞12件を選出しました。

 特筆すべきは、今回の大賞が、スペース部門からではなく、ネクストエイジ部門から選出され、併せて特別審査委員賞「中村拓史賞」も授与されることになったことです。

 ウェブ上での結果発表を11月初めに行い、受賞作品展は11月24日〜12月6日にOZON6階で開催。表彰式を11月26日に、5階のセミナールームで行いました。式では、各受賞作品の画像が投影された後、当該作品の応募者が紹介され表彰盾を授与され、まとめとして、大賞と中村拓史賞をダブル受賞された西 毅徳 氏が受賞の感想を述べられ、作品同様のユニークな話しぶりに会場は大いに盛り上がりました。

大賞作品審査講評

JID AWARD 審査委員長 米谷 ひろし

自然界にあふれる、光や風の現象を取り入れた建築空間作品である。垂木と薄い合板で構成された仮設空間は、自然に蛇行したかのような緩やかなカーブを描いている。それらが連続する構造には、計算された隙間が設けられ、内部に光と空気が染み込んでいくようだ。薄暗い空間の上部からはパイプを通し、光の輪が雫のように差し込み、風の動きによって揺れながら変化する様がまさに波紋(Ripple)のようで美しい。
この作品は仮設の建築エレメントを用いて光の操作を行い、そこに現れた空間を通して、根源的な場所性を示している。自然界から強固に仕切るのではなく、この閉ざされた内部のようで外部のような空間は、その場所に身を置いた瞬間、もしくは蛇行しながら進んでいく中で、外界のざわめきを静かに印象付ける。ある特定の用途や目的のためではなく、無目的であることが、唯一無二の空間として強烈に印象に残った。
最終審査において、NEXTAGE部門での「中村拓志賞」と、大賞受賞のダブル受賞は初となる快挙であった。

全体講評

JID理事長 丹羽浩之

「JID AWARD」の大きな特徴として 、「インテリアスペース部門」は2次審査通過作品は審査員が「現地」を直接訪れ、その空間を体感するという他のAWARDにはない特別な審査方法を採用しており、本年も26作品を審査員が現地へ伺い、写真や図面では分からない空気感やディテール、作品のストーリーを感じ厳正な審査を行いました。また「インテリアプロダクト部門」では「現物」作品を送っていただき、審査員が触れて、使って、審査を行いました。応募された作品の多くはコロナ渦の状況を乗り越えた後「空間の持つ機能の多様性」や「空間と空間の緩やかな重なり」を表現しようとした作品が多く、既成の領域概念に変化を促すような意欲的なデザインを感じ取れました。今まで閉ざされていた「人と人の繋がり」や「人の営みと自然との繋がり」を再定義し空間が行動を規定するのではなく、緩やかに変化する価値観に寄り添えるような余地のあるデザインは、これからのインテリアデザインの可能性と重要性を再確認することができたAWARDとなった。

JID AWARD 2022 表彰式

 11月26日14時からリビングデザインセンターOZONE 5階セミナールームにて行われた表彰式では、受賞者30組のうち24組が出席されました。
 表彰式では受賞作品の画像が映し出され、丹羽理事長より受賞者へ賞楯が手渡されました。
表彰式後会場内で集合写真の撮影や他の受賞者との交流や、受賞作品展会場でそれぞれの作品パネルをご覧いただきました。

会場風景
左から 丹羽理事長、大賞受賞 西 毅徳さん、米谷委員長
丹羽理事長による全体講評
米谷委員長による審査講評
大賞受賞者 西 毅徳さんと選考委員の皆様
インテリアスペース部門賞の皆様
インテリアプロダクト部門賞の皆様
ネクストエイジ部門賞の皆様
インテリアスペース部門入選の皆様
集合写真
受賞作品展会場風景
受賞作品展会場風景

JID「次世代を担うデザイン展」2021ご報告

担当理事 海老沢 宏

原山 英弥

2021年10月28日(木)〜11月6日(土)まで、新宿パークタワー アトリウム・オープンデッキギャラリーにて、JID「次世代を担うデザイン展」2021が開催されました。

この作品展は、将来のデザイナー育成に寄与するとともに、インテリア産業の活性化を目指し、また、優れたデザインを求める業界と、デザイン系学生の交流の機会とすることを目的として、2018年にスタートしたもので、コロナ禍での中止を余儀なくされ、2021年に再開したものです。

今回の参加校は、工学院大学、芝浦工業大学、多摩美術大学、東京造形大学の4校でした。

2021年の作品テーマは【 連 : TSURANARU 】

「Art と Design の境界線からの提案」生活装置として、【 連 : TSURANARU 】というキーワードを解釈し、そのかたちを創り、連なることによりコミュニケーションを生む物・事などを表現する。 という課題に応じて、各校様々に工夫を凝らした展示を行いました。

10月30日(土)には審査会が開催され、海外(APSDA)からのリモート審査も加え、「次世代デザイン大賞」をはじめとした様々な賞が授与されました。

 また、10月31日(日)には「トークセッション」が開催され、当協会理事長の丹羽 浩之がコーディネーターを務め、鈴木 敏彦 氏(工学院大学教授)、地主 廣明 氏(東京造形大学教授)、

橋田 規子 氏(芝浦工業大学教授)、米谷 ひろし 氏(多摩美術大学教授)らにより、「感性と論理を繋ぐ“ビジョンドリブン”」をテーマに活発な意見交換がなされました。

 このデザイン展はビエンナーレとして継続開催を計画しています。次回は、2023年秋を予定していますので、次回開催にご期待ください。

会場全景
トークセッションの様子

「親子でチャレンジ! みんなでつくる夢のまち」ご報告

北・東日本エリア キッズデザインプロジェクト

サブリーダー 小川 和彦

JIDキッズデザインワークショップ「親子でチャレンジ!みんなでつくる夢のまち」を7月23日(土)24日(日)の2日間 リビングデザインセンターOZONE 7階特設会場で開催いたしました。

本年度は、持続可能な”夢のまち” や ”住まいのインテリア” を親子で考えデザインし制作しました。

作品には、未来のまちや恐竜やペットのいるインテリアやまちなど、子どもらしい夢のあるテーマで作られているものがある一方で太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを入れている子ども、森や棚田など自然の要素を入れている子どもも多くいました。このように学校でのSDGsに関する教育を反映した作品も多く見られました。

開催初日の23 日は9 組( 11名)、翌日24日は12組 (12名)の参加がありました。

また、子どもたちの作品は7月25日より31日までの7日間OZONE6階特設会場で展示され、最終日には「キッズデザイナー認定証」の授与式を開催しました。

子どもたちに未来のデザイナーへの夢を託し、一連のキッズデザインワークショップのイベントが無事終了しました。

現在、報告書作成に向けて準備を行っております。

子どもたちの作品は下記URLからご覧ください。

https://jid.or.jp/news/2703.htm

中日本エリア「ミラノサローネ・デザインウィーク2022」 
Milan design week 2022 Special Video in Nagoya
ミラノサローネ2022 試写会[名古屋] 報告

中日本エリア長 中島健視

2022年の第60回のミラノサローネは6月7日~12日の6日間で入場者数173ヶ国262,608名とコロナ以前と同じ規模で開催されました。

今回、成ヶ澤伸幸氏が企画・プロデュースされ、TBS系列「The世界遺産」などの番組撮影ドキュメンタリーカメラマン矢口信男氏が撮影した2022年6月開催の、ミラノサローネスペシャル映像試写会を東京に続き10月28日名古屋で開催致しました。

試写会は名古屋市中区にある2022年1月オープンしたプラス株式会社の創造空間ショールーム「クリアトーレウイズプラス」をお借りして、3タイプのユニークな空間に92名(学生17名)の参加いただきました。

会場では流れるような臨場感のあるムービー画像と、成ヶ澤氏と矢口氏の解説のもと皆さん熱心に視聴いただきました。

*Milan design week 2022 Special Video in Nagoya案内リーフレット

*丹羽理事長あいさつ(メイン会場)
*プラス株式会社高山営業部長あいさつ
*試写会第2会場
*ミラノサローネ2022映像を解説中の成ヶ澤氏、丹羽理事長、カメラマン矢口氏

好評のうち試写会終了し、その後交流会を隠れ家的なイタリア料理店で一般参加の方、協賛企業の方、JID会員参加により開催しました。インテリアの話題でたいへん楽しいひと時を過ごしました。

「デザイン学生シンポジュウム2022」&「デザイン新常態12th」
ご報告

西日本エリア 八十常充 魚田 純

西日本エリアでは、11月12日(土)12:00~18:30に大阪堺筋本町の大阪デザインセンターにて「デザイン学生シンポジュウム2022」&「デザイン新常態12th」をテーマに「輝く未来に繋がるデザイン」をテーマに行いました。対面とリモートのハイブリット形式です。

デザイン学生シンポジウムはJCD 支部長の中村祐輔氏による「デザインプロセス」についてレクチャーがありました。デザイン現場で行われているクライアントとのやりとりなど大変勉強になるお話を聞かせていただきました。

○デザインカンファレンスレクチャー【D・lecture】中村祐輔 JCD 支部長 乃村工藝社

 デザイン学生シンポジュームには、参加8校の学生達とコメンテーターとして、各デザイン団体から代表7名とファシリテーターには、JID会員5名が参加しました。

 武庫川女子大学は、課題「生命感のある空間」として、野菜や果物にもハッとする様な生き生きとした魅力「生命感」がある。この生命感を立体空間として、人を包み込む立体空間をつくる。

 摂南大学は「持続可能な環境配慮型住宅の設計」を課題に、敷地環境の緑・水・光・熱・風を配慮して高野山奥の院で暮らした体験を再現した住宅を提案。

 広島文化学園は、大阪関西万博とSDGsをテーマにしたコミュニティスペースの提案。

ロゴマークのコンセプト、弾・跳・踊の細胞の元気とSDGsをキーワードに、パブリックスペース、インテリアショップ、カフェ&フードコートや共用施設に増殖をイメージしたデザインし、万博PRの場としてコミュニティスペースを提案をリモートで参加。

九州産業大学は、タイトルを「彩りにあふれたアートの街“ぺたぺたまーち”」として、街を歩き出したくなる、見て楽しいデザインの立体を提案。

何れも最近の社会背景を反映したコロナ禍、SDGs,大阪関西万博や生命感など学生らしい切口で課題を捉えた力作が模型の持ち込みやリモートによって熱心に発表されました。

〇学生パネリスト 参加8校及び参加者名(発表順)

・武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 池内彩奈、大田成美、村上可奈、米谷萌花

・大手前短期大学 ライフデザイン総合学科 前波亜衣紗、山本望

・摂南大学 理工学部 住環境デザイン学科 有志

・広島文化学園短期大学 コミュニティ生活学科

千田理生、岩崎日和、植野愛梨沙、山田由梨花、西村優里、住田彩音、細田菜摘、ロドリゲスナオミ

・大阪モード学園 インテリア学科 菊地あすか

・国士舘大学 理工学部建築学系 位田ゼミナール

秋元毬那、橋本遥、中村春香、本間悠暉子 、赤津愛美、杉本彩華、津中陽有、曽根伊織

・九州産業大学 芸術学部 生活環境デザイン学科 

神宮萌香、伊禮遥、浦川結衣、比江島穂香、加藤郁真

・中央工学校 OSAKA 住宅デザイン科   山口力空

〇コメンテーター

【USD-O】 岩尾美穂 (USD-O会長、パースティック協会理事、オフィスいろどり代表)

【JASIS K】中村孝之 (JASIS関西支部長、生活空間研究室代表、JIPAK理事)

【JID】    金沢ちかこ (JID西日本副エリア長、lachic design代表)

【JIPAK】 小梶吉隆  (JIPAK会長、京都美術工芸大学 建築学部建築学科 特任教授)

【JCD】   斎藤俊二  (JCD関西支部、(株)スペース クリエイティブ事業部長)

【JIDA】  北條 崇  (JIDA関西、京都芸術大学プロダクトデザイン学科教授)

〇ファシリテーター

・井ノ阪智恵(JID西日本エリア長、eclat Design代表、中央工学校OSAKA非常勤講師)

・木村香里 (JID西日本エリア 総務委員長、tocotoi代表)

・魚田 純 (JID西日本エリア 広報委員長、Crea+plus代表、中央工学校OSAKA非常勤講師)

〇モデレーター

・酒井浩司 (JID理事、国士舘大学 理工学研究所 特別研究員)

・安藤眞代 (JID理事、StudioMa代表、中央工学校osaka非常勤講師) 

アーカイブをYoutubeで配信しています。 

■デザインカンファレンストーク 16:30~18:30「デザイン新常態12th」

テーマ:「輝く未来に繋がるデザイン」

未来を想定しこれからの暮らしやデザインについて考え手掛かりとして、3人のゲストから、持続可能な未来社会、ニューノーマル(新常態)時代の暮らしを見据えたトーク。

・黒田智子 (武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 教授)

テーマ:【甲子園ホテル(遠藤新)のサスティナブルな設計思想を探る】

有機的建築のライト思想を反映し、敷地の池と建物との調和や水の表情からシェル型照明器具。仏教とキリスト教の融和、世界平和への祈りが読める。

・沖野俊則 (ILYA Coporation執行役員、プロジェクトディレクター、英国デザイナー協会城跡会員、英国インテリアデザイン協会会員)

テーマ:【東京五輪、大阪関西万博が引き金になり、さらに円安で滑車がかかった、現代版黒船がやってくる】

五輪、万博と外資系ホテルの増加、一方日本テースト残した、古き良きのを活用する事も必要。

・村田智明 (大阪公立大学 研究推進機構21世紀科学研究センターイノベーション教育研究所 客員教授、㈱ハーズ実験デザイン研究所代表取締役)

テーマ:【スマートシティ認定で動き出す大阪公立大学イノベーションアカデミー~デザイン思考×大学発ベンチャー×企業=社会実装】

スマートシティOSAKA 2025はデザイン思考が創る。

空飛ぶクルマやレベル4の次世代モビリティ(自動運転)の社会実装。

産・学・官・民協力アカデミー。デザイナーの職域の変化が訪れる。

「キッズデザインワークショップ」木育スポーツ、
木の工作体験を開催

南日本エリア担当理事 江島 太士

2月20日13時からと15時からの2回、福岡市東区の「なみきスクエア」に於いて、 「学生インテリアデザインコンテスト」開催に合わせて、子供たちの自由な工作意欲の発揮と、また木など自然素材に親しんでもらうことを目的として企画した「キッズデザインワークショップ」を行いました。

参加者は約20名です。

期間中の日曜日を利用して開催していますが今年度で5回目を迎えます。

主に工作と木育スポーツの二種で実施しています。工作は材料として、木材の端材や小枝・木の実等々の素材を準備し、それを子供たちが独自に使ってものを作り出す。年齢は保育園児から小学校低学年くらいの親子で来られる方達が主となっています。

使用する材料は毎回同じものではなく、手に入る素材を多種集め準備しています。技術面でノコギリでの切断や接着の手伝いは親や我々スタッフの加勢が必要ですが、思いがけない材料の選択や使用方法に驚かされることも多々あり、それが楽しみですが親子で楽しく木に親しんでいるようです。

またケヤキ広場では、気分を一新する木育スポーツを親子で楽しみました。

〇木育スポーツ「ナンバークッブ」

(写真は発祥の地、スウェーデンの光景) 
ナンバークッブ(現在の用具)

スウェーデンの暮らしの中で生まれた(Kubb)クッブとは、昔スウェーデンのゴッドランド島で、どの家の軒先にもあった薪を使った遊びが起源ではないかと言われています。

日本でも、レクレーションの愛好家たちによって、2009年に日本クッブ協会が設立されています。

〇木の工作体験

毎年違った素材によるキッズ作品で、 
これは「楠木の表皮側」を土台に、樫の小枝や、松ぼっくりなどでアートにチャレンジ。
素材:楓かえで丸太の輪切り、竹・等々。楓は虫の穴が多く、組立のほぞ穴として利用された。
園児作「自分の家」
斜めカットのクヌギの丸太に、竹・ドングリと椿の実の顔や髪の毛。 小枝のひげや目鼻口は、とってもシンプルでかわいい。

これまでは子供たちの参加者が5~6組と少なく、次回からはもう少し多くの参加で作品テーマ・作品名・写真の記録など、ワークショップ内容も少し考えてみたい。ちょっとチャレンジして素材の説明パネルなどで材料を学べる場にも出来たらいいなあとも考えています。

尚 子供たちの作品は完成後自分達で持ち帰りです。

インテリアトレンドショー JAPANTEX2022ご報告

広報担当理事 冨田 恵子

2022年10月26~28日の3日間、東京ビッグサイト東3ホールにて3年振りにインテリアトレンドショー JAPANTEX2022がリアル開催されました。

出展者数173社・417ブース、来場者数は建築+インテリアWEEKで20,014名(主催者発表)。

今年のテーマは「暮らしが変わる、インテリアの力」。例年に比べ多少コンパクトな会場でしたが、最新のファブリックストレンドのみならず、デジタル技術や企業による環境に配慮したさまざまな製品も多く展示され連日来場者の注目を集めていました。

最終日のメインステージでは、JIDが参加するIDM(インテリア・デザイン・ミーティング)の部会である「エシカルなインテリア研究会」代表でJID理事の冨田恵子が登壇し、インテリアファブリックスのリサイクル調査からみた業界のサステイナブルへの取り組みとこれからの課題について発表し、企業と生活者を繋ぐ立場から「エシカル」の概念を用いてインテリア製品の持続可能性を探る活動に、多くの参加者から共感を得ることができました。

今回はJAPANTEX2022オンライン展(メタバース型バーチャル展示会)が11月9日~2023年1月31日まで開催されています。これもニューノーマル時代への対応ということで来場者がアバターとなり会場内をリアル展示会のように歩き回ることが可能とのこと。セミナーの視聴も予定されており、見逃した方はぜひこちらでご覧下さい。
(オンライン展示会の入場は事前登録が必要。詳しくはコチラ→ https://japantex.jp )

最終日の午後の東京ビッグサイト東3ホール入口。
冨田代表によるエシカルなインテリアの解説
研究会メンバーでJAFICA会長の江口氏とトークセッション。

「最新のロンドン・インテリアデザイン」レポート

西日本エリア担当理事 安藤 眞代

10月上旬に2週間程、3年振りにロンドンインテリアデザイン視察に行って来ました。

コロナ禍の影響で、毎年23回はヨーロッパ展示会視察に行っていたのが、ピタリと行けなくなりました。新しいデザインを生み出すためのエネルギーが、今の私には必要と判断し、秋のDecorex(デコレックス)、PAD London(パッドロンドン)を中心に街中、そしてロンドン郊外の歴史的な建物を様々視察してきました。

珍しく青空が続く秋のロンドンでの日々は、マスクをしている人を見ることはほぼなく、街中が様々な国の人たちで活気に溢れていました。

青空が続く秋のロンドン、花が美しいパブ

今回行った「Decorex」は40年以上の歴史ある展示会で、ラグジュアリー系インテリアの展示会としてはイギリスでもっとも権威のあるイベントです。イギリスのダイナミックなインテリアマーケット需要で十分やっていけるので、海外にあえて出ない、ここでしか見ることが出来ないメーカー等が多く出展する、プロの為の展示会です。

美しいオリンピアの会場
実際に会場でデザイナーは商談します
展示会の仮説カフェも大変お洒落です

デコレックス会場400を超える高級ブランドやメーカー展示があり、アクセサリーから絨毯、テキスタイル、家具、装飾の凝ったクラシカルなインテリアからモダンまで、様々なクオリティの高いインテリアが並びます

更に同時期に開催される「PAD」は、ロンドン中心地のチェルシーの公園仮設とは思えないラグジュアリーな展示会場で行われ、ギャラリーを中心としたDesign +ARTのイギリス最高峰の展示会です。なかなか日本では敷居の高いアートですが、こちらでは実用性とアートを兼ねた「ファンクショナルアート(機能を持ったアート)」と言われる美しいインテリアが存在し、芸術と共に暮らす事が通常で、インテリアとアートがとても近いと感じます。

ここに足を踏み入れると、圧巻過ぎて毎回ため息が出ます。

両展示会、街中もアースカラーを中心としたカラーパレットが多く、デザイン表現も地球規模から考えたデザインが多く見られました。

ロンドン中心地チェルシーの公園仮設会場
ギャラリーを中心としたDesign +ARTのイギリス最高峰の展示会
実用性とアートを兼ねた「ファンクショナルアート(機能を持ったアート)」
と言われる美しいインテリア
3日限定の仮説のカフェもインテリアが美しい

更に今回、なかなか遠くて行く事が出来なかった、ロンドンから車で南東へ約2時間程のウエストサセックス(West Sussex) に建つ、スタンデンハウス Standen House & Garden」に、友人の車で連れて行ってもらう事が出来ました。

ここはモリス・マーシャル・フォークナー商会が、ファブリックや壁紙、家具のデザインし、それが美しく内装も含め120年間現存している数少ない建物で、モリスの世界観を存分に味わうことができる場所です。

現在はレッドハウス(世界で最も美しい家)同様に、ナショナルトラストが管理しています。

丁度Gardenも紅葉の頃で、建物と合わせて大変美しく、大きく深呼吸をしたくなる程の素晴らしい自然の中に建っていました。モリスのアイテム達でコーディネートされた沢山の部屋は、どの部屋も世界観たっぷりで、120年という時を感じさせません。

「Standen House & Garden」
ファブリックや壁紙、家具が120年間美しく存在しています

もう一つ、ロンドンから、チューブ(地下鉄)ピカデリーラインで行く事が出来る、「Osterley Park and House(オスタリーパーク アンド ハウス」。16世紀に建てられた「オスタリーハウス」は、18世紀になってから銀行家でロンドン市長も務めたというフランシス・チャイルドの手に渡り、アダムの美学によって改修されました。“アダムグリーン”のやわらかい壁面と新古典様式の装飾が特徴で、アダムの芸術的で、素晴らしいデザインに感動しました。

「オスタリーハウス」
アダムの美学によって改修された“アダムグリーン”の部屋

今回3年ぶりの渡英、ロンドンを中心に過ごした日々は充実しており、様々心が踊り、インテリア&デザインの多くの刺激、そして何より心の充電が出来たことが一番でした。

2022.12.26

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