JIDnews 292号 令和3年7〜12月・令和4年1月・2月号

(発行日:2022.02.03)

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

編集

担当理事:小林秀徳
編  集  長:八十常充

編   集  :エリア担当
北・東日本エリア:櫻井良樹
中日本エリア:中島健視
西日本エリア:魚田 純
南日本エリア:小野和徳

JID AWARD 2021 審査結果及び表彰式の報告

選考委員会 委員長 米谷ひろし

JID AWARD 2021は、2021年3月〜6月に、ウェブサイトで公募を行い、応募条件をクリアした206点を審査対象として、ウェブ上に登録された資料を基に、第1次審査を実施。通過した作品について、インテリアスペース部門は現地審査を、インテリアプロダクト部門は現物審査を行う第2次審査を実施しました。

ゲスト審査委員の参加を得た最終審査会で、大賞1点、インテリアスペース部門賞3点、インテリアプロダクト部門賞4点、NEXTAGE部門賞10点の入賞作品及びインテリアスペース部門入選作品7点を選出しました。

受賞作品については、公式ウエブサイトで発表するとともに、リビンングデザインセンターOZONE 6階 ロードサイドスクエアにて受賞作品展を開催しました。

 また、11月27日にはOZONE 5階のセミナールームで表彰式を行いました。コロナ禍とあって、参加者も関係者に限定し、着席間隔を開けるなど、細かな配慮を行うとともに、進行状況をオンラインで配信、会場中央奥壁面の大きなスクリーンに受賞作品を投影致しました。

受賞者や審査委員の中でやむを得ず来場できない方々は、オンラインで言葉を述べるなどの方式がとられました。受賞作品に関する情報が得やすかった、コミュニケーションがとりやすかった、雰囲気がよかったなど、参加者からは好感の声が多く聞かれました。

最も印象に残った大賞受賞者の中村拓史氏の受賞コメントでは「建築、インテリア、プロダクトの領域を超えたデザインとして評価されたことが嬉しかった」とあったように、JID AWARDにとって大変意義深い作品が受賞したことを確信しました。

展示会場風景

2022 JIDはSDGs活動に取り組みます

                              総務委員会 副理事長 小野上勝志

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連総会で、国連加盟193ヵ国が採択した国際目標です。

 世界の社会・経済・環境のあらゆる課題に取り組み、先進国・新興国・途上国がともに取り組み「誰一人取り残さない」という共通の理念のもと、17の目標、169のターゲットを設定し、人類が地球に住み続け、繁栄していく為の世界共通のテーマ。

JIDはSDGsへの取り組みとして、

・ デザイン団体として初めてSDGs官民連携プラットフォームの会員に登録されました。

(内閣府に申請)
・ 公益社団法人として本部及び各エリアでの活動や、会員各自への意識向上を図ります。

・ 賛助会員様との連携をはかり、SDGsを意識した活動を通して社会貢献に取り組むデザイナー協会を目指します。

・ SDGsへの会員の活動をバックアップしてまいります。

■JID Pocket Box(提案・提言/目安箱)を設けて、会員の日常活動から得た経験・体験・知見などSDGsに関する情報をお互いに共有して、その活動の幅を広げましょう。

■SDGsに関わる活動やエッセイなど皆様の原稿を、お寄せ下さい。

                   原稿提出先 総務委員会 広報委員会    

北・東日本エリア年次会議とエリアサロン開催のご報告

                            北・東日本エリア担当理事  冨田 恵子

例年は6月の定時総会と同日に北・東日本エリアの年次会議を行っていましたが、今年度は正会員と賛助会員相互の交流を深める事を目的とした、北・東日本エリア初の「エリアサロン」を11月に企画し、年次会議とエリアサロンを同時に開催いたしました。

2021年11月18日(木)15時より始まった「令和3年度JID北・東日本エリア年次会議およびエリアサロン」は定時総会と同様、コロナウィルス感染拡大防止のためZoomを利用したオンラインでの開催となりましたが、新入会員やこれまでエリアにおけるプロジェクトの活動等あまり知らなかった方にも、画像や動画を用いた活動の様子を落ち着いた環境でじっくり見てもらいエリア活動への関心が高まる事を期待して準備を進めました。

目論見通りとなったかどうかはさておき、各プロジェクトリーダーによる活動紹介の後、広報担当小林理事からJIDホームページのリニューアルに関するお知らせを以て年次会議は無事終了。

15時30分からいよいよ北・東日本エリア第1回目のエリアサロンが始まりました。

初めてのサロンということで、事前に全賛助会員様宛てにはメールで企画説明をし、賛同して下さった4社6名の方にプレゼンテーションをお願いしました。

共通テーマである各社各様のサステイナブルな取り組みについて、オフィスやショールームから実に興味深い話しやわかりやすい資料を交えた発表をしていただき、改めて賛助会員様企業のものづくりへの真摯な思いと、社会的な課題に対する柔軟な発想力・技術力を知ることが出来ました。

ご登壇いただいた(株)サンゲツ 美口様、井上様。 ノーマンジャパン(株) 板垣様、山崎様。 (株)コンバートコミュニケーションズ 前田様。 (株)カンディハウス 山﨑様に心から感謝申上げます。

続いての「アピールタイム」では、令和2,3年度に入会された会員の紹介及び亀田一幸さんと(株)川島織物セルコン 田澤様、清水様に、新入会員を代表して自己紹介を述べていただいたところでサロンは終了致しました。

休憩を挟み、17時15分からは参加者全員がカメラをONで「オンライン交流会」が始まりました。JID本部事業の活動報告と、櫻井エリア長が編集した「四方山話プロジェクト」の貴重な記録をまとめた動画を流しながら、各自飲み物を片手にフリートーク。予定通り18時でお開きとなりましたが、なかなかの情報量が詰め込まれたあっという間の3時間でした。何処かの会場で、グラスを傾けながら交流を深める事が叶わななくなって随分経ちますが、場所を問わずに参加可能であるオンラインイベントは、特に静岡から関東甲信越~北海道まで、広大なエリアを一括りとしている北・東日本エリアにとって有効に活用すべき手法だと改めて感じ、さらに画像や動画を共有することで発言や発表が参加者に届きやすい等のメリットも生かして、今後は発信側のスキルアップと環境を整えながら対面も含めた新しい交流のかたちを検討していきたいと考えています。そして、ご参加くださった皆さまに心より御礼申上げます。

デザインカンファレンス「デザイン新常態」

西日本エリア 魚田 純/八十 常充

デザインカンファレンス「デザイン新常態」を11月13日(土)大阪南港アジアトレードセンター(ATC)輸入住宅促進センター(JHPC)に於いて、11時から17時まで「未来の暮らし・未来のデザイン」を共通テーマに「USD-Oメンバーが語る」、「JID SDGs研究委員会報告」「関西デザイン学生シンポジウム」の三部構成でオンラインにより行いました。

 当日の参加者、第一、二部「デザイン新常態」会場、ウエビナー、ライブ配信134名。

 第三部「学生シンポジウム」会場、ZOOM、ライブ配信224名

■第一部 USD-Oメンバーが語る「未来の暮らし・未来のデザイン」 11:00~12:20

 大阪デザイン団体連合(USD-O)は、関西の6デザイン団体(DSA/JCD/JIDA/JID/JPA/SDA)

 が加盟する連合組織で、デザインの高度化と地域社会の産業と文化に貢献することを目的として活動しています。

□Speaker

  • (一社)日本商環境デザイン協会(JCD) 関西支部長 中村裕輔氏
  • (公社)日本サインデザイン協会(SDA) 平野湟太郎 USD-O大阪・関西万博委員長
  • (一社)日本パースペック協会  (JPA) 理事 安井秀一氏
  • (一社)日本空間デザイン協会 (DSA) 理事 福田和男氏

□Moderator

 ○(一社)日本パーステック協会  (JPA) 理事 岩尾美穂氏

 Speaker4氏により、各協会の活動内容や方針。今後の活動について語られました。

 とりわけSDGsについては、ハードルが高い取り組みと考えずにデザイナーとして日常の仕事にリデュース、リュース、リサイクルへの一つ一つの配慮をする事の大切さ・・・

 日本は古来よりSDGsに取り組んでいる国であり、このDNAを受け継いでいきたい。

(一社)日本商環境デザイン協会(JCD) 関西支部長 中村裕輔氏
(公社)日本サインデザイン協会(SDA) 平野湟太郎 USD-O大阪・関西万博委
(一社)日本パースペック協会  (JPA) 理事 安井秀一氏
(一社)日本空間デザイン協会 (DSA) 理事 福田和男氏

■第二部  JID SDGs研究委員会アンケート報告 12:30~13:50

新型コロナウイルス感染症を契機に、急速に社会の意識や関心がSDGsへと向かいました。

SDGsの取り組みにより持続可能な展開を図る事で、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出、イノベーションにも繋がると注目を集めています。

SDGs研究委員会によりアンケートを実施し、今回は5人の会員より報告をして頂きました。

□Speaker

 ○ 安藤眞代 理事

  • ペットボトルを再生しリサイクル繊維から衣服やカーペットなどを生産。
  • 日本の企業がタイの工場でペットボトル100本から6畳用カーペット1枚つくる事例を紹介。
    課題としては、デザイン力により商品価値を高める必要性を感じると話されました。

 ○ 井ノ阪智恵 西日本エリア長

  • 仕事を通じて昨今は、暮らしに緑を取り入れる要望が多くなり、住宅への観葉植物や樹木を取り込み豊かな生活空間を求めている。
  • マンション敷地内での<森の広場>や街全体で緑化への関心が高まっていることを紹介。

 ○ 金沢ちかこ 西日本副エリア長

  • 子供たちへのデザインに特化した教育に関わった経験から、音楽や絵画教室、少年野球やサッカーなどの塾やクラブがある反面デザイン教育の不足を実感している。
  • 生活への感性は幼児期からの関りが重要で、イタリアでの幼児教育の事例を紹介。

 ○ 山下麻子 Active委員会 (Moderator 小宮監事代読)

  • 岡山県真庭市の木育プロジェクトを紹介。
  • 3種類の木製椅子やブロックを使い、高さや組み合わせを変えて異なる用途に変身する家具の事例を紹介。
  • 自治体が地産・地消の観点から具体的な活動への取り組みに関心が高まりました。

 ○ 木村香里 特別委員会

  • 職住の場の地方分散を提案。
  • 新型コロナウイルス以降都心一極集中の弊害が取り上げられる事が多くなった。

自らが都会から地方(三重県)へ移住した経験から地方だから見える事、地方だから出来る事・・・地方からの発信、地方からの発想、地方の力や文化を活かすなどを発表。

□Moderator

 ・小宮容一 監事

 ・魚田 純 広報委員長

■第三部 関西デザイン学生シンポジウム2021 13:50〜17:00

□ 参加校・チーム/テーマ

○ 個人作品部門

・京都芸術大学プロダクトデザイン学科チーム

 塚本安紀、都路裕亮、吉岡英、宇野淑乃

 テーマ:大創産業との産学プロジェクト×未来のデザイン、未来の暮らし

・摂南大学理工学部住環境デザイン学科

 橘一颯、森結希乃、 山田幸輝

 テーマ:大阪万博未来デザイン

・中央工学校OSAKAインテリアデザイン科チーム

 朱山陸斗、横田汐理、稲本笑実、小川紗世、堀内翔太(※3分/人)

 テーマ:未来のデザインの家具について

・大手前短期大学ライフデザイン総合学科

 吉田琴音、村井楓

 テーマ:マンションリノベーション

○ グループ作品部門

カミカグ  代表代理/発表者 京都芸術大学 宇野淑乃

 テーマ:カミカグ

・九州女子大学 チームS.I.LAB

 ドメスティステック スマイル ヴィレッジ

 秋本さくら、安部田千愛、岡本麻夢、桑野晴香、成重和花、橋本ひかり、

   濱崎真帆、藤本菜沙、松尾星華愛、松尾南々海、岩井美羽、藤野菜穂

 テーマ:これからの道の駅の提案

・国士舘大学理工学部建築学系 位田ゼミナール

 内藤早希、萩原亜由菜、森さくら、上野由斐、小山希里香

 テーマ:インテリア教育のための“ものつくり”精神 〜未来の暮らしを創るための学びのあり方〜

 ・神戸女子大学家政学部家政学科 きまち研究室

  天野茜、笠木美佐、櫛野萌、渋谷瑞希、中村唯花、林佑佳、早瀬有優、箕手亜寿美、米澤あかね

 テーマ:未来の暮らし・未来のデザイン

■受賞者・チーム

今回の学生シンポジウムでも学生さんらしい柔軟な発想力、実行力で沢山の未来の暮らし・未来のデザインをテーマに沢山の作品を発表して頂きました。

□最優秀賞

 京都芸術大学プロダクトデザイン学科チーム

□優秀賞(今回はチームのカラーがでているためチームで選出)

・個人部門:大手前短期大学ライフデザイン総合学科 

・グループ作品部門:九州女子大学 チームS.I.LAB 

□特別賞

・カミカグ  代表代理/発表者 京都芸術大学 宇野淑乃

・国士舘大学理工学部建築学系 位田ゼミナール

未来につながるデザインをテーマに取り組んだ事で今の課題を解決し、未来を良くする事を考える事ができたのは無いでしょうか。年齢、性別問わずあらゆる人が使いやすいデザインを考えることはこれから必須になっていきます。

制作に関わるチームでテーマやプロセスを共有し、チームワークよく進めることの大切さやデザインをつくるだけで無く、デザインができるまでの過程を伝えて行くことも大切です。

今後の活躍が楽しみです。

西日本エリアSDGs研究会報告

西日本エリア  監事  座長 小宮容一

近年SDGsの言葉がジャーナリズム、デザイナー間でよく聞かれるようになりました。

しかし、本当の内容を把握出来ているのか疑問に思われました。そこで私自身の研鑽も含め、西日本エリアの会員と共にSDGs の勉強会・研究会を行っています。

研究会は西日本エリア会議(リアルとZOOM併用)の後半に行っています。

第1回は、(2021・01・19)SDGsの概要と目標1,2を解説し、以降残る15の目標を3回に渡って取り上げました。その後は会員に、実事例や取り組み意識のアンケートを実施(7/14〆切り)結果は6名から真摯な回答がありました。

内容は11月13日に行うイベント、デザインカンファレンス「デザイン新常態」第2部で6名がパネラーとして登壇し発表いたします。

JID News292号での報告の他にZOOM配信を致しますので、是非ご覧く下さい。

喜多俊之展 ―デザインに関り半世紀の集大成―

西日本エリア  八十 常充

10月9日(土)~12月5日(日)美しい庭園でも有名な西宮市大谷記念美術館に於いて「喜多俊之展」が行われました。

デザインを始めて半世紀以上、イタリアと日本を拠点に様々な仕事をされた数々の椅子、液晶テレビなどの工業デザイン、日本の伝統工芸存続への思いから、和紙や漆、陶器、錫などの素材を用いたデザインを同館全室に展示されていました。

紅葉が美しい日本庭園に溶け込む様にロビーには赤い<SARUYAMA>が迎えてくれる。

「座る、寝転ぶという人間にとって基本的な動作は、生活環境が変わっても不変ではないか」と考え、様々なシチュエーションに対応できる形態を生み出したという代表作。左に向かう展示室扉の奥には二畳結界が展示されKITAワールドが始まり、多くの椅子たちが語りかける。更に、スペイン・セビリア万博日本館でのスピーカー内蔵のパーソナルチェアや人型ロボット<WAKAMARU>、液晶テレビ時代に登場した<AQUOSシリーズ>、日本の伝統工芸の可能性を追求した照明器具<TAKO><KYO>や<PAO>、漆器<WAJIMA><TSUGARU>、有田焼をリ・デザインし世界の料理に使える器として国内外に発信された数々の作品を一堂に観る事が出来ました。

●関連イベント

  • 10月10日(日)講演会「喜多俊之 作品を語る」。
  • 11月7日(日)第179回オータニミュージアム・コンサート。
  • 10月31日(日)ワークショップA「私の椅子をデザインしよう」。
  • ワークショップB「おりがみしょうめいをつくろう」が開催しました。

● 西宮市大谷記念美術館 学芸員 下村朝香さん 本展図録より

「デザインとは一言で表すと何か?」の問いに喜多さんは「デザインはすべての調和」と答えた。近代デザイン発生の背景に産業革命があり、デザインは産業や経済と密接に関わっている。大量生産、大量消費により人々は豊かな生活をもたらしたが、反面化石燃料の大量使用による膨大な二酸化炭素の排出が地球温暖化や環境汚染などに起因する様々な問題が発生している。これは地球と人との「調和」が壊されてしまった結果である。

その調和を取り戻すための方法の一つとして喜多さんは、日本の伝統を現代の生活の中に取り入れるためのデザインを行っている。伝統工芸で使われる素材の多くは自然由来のものであり、最終的には土に還ることが出来るもの、日本固有に杉材の特性を活かしたテーブルやスツール、パーテーション。筒状の竹を板状にする新技術から椅子やテーブルをデザインするなど新しい事への挑戦など・・・未来への調和のとれた「素敵な暮らし」を示唆していると結んでおられます。

会期の中頃、中央工学校OSAKA戸澤学科長、安藤理事と学生45名が同展に訪れた際、居合わせた喜多さんから特別にお話を伺う事になり学生たちは真剣に聞き入りました。学生の感想から喜多先生から、自分の目で見て、座って触れることなど体験の大切さ、そこからの想像力、発想から様々な作品が生まれる。衰退する日本の伝統工芸をデザイン力で世界に発信されるなど、デザインの力に改めて大変魅力のある仕事と思い感動いたしました。

2022.02.03

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