264-06

The Japan Interior Architects / Designer's Association
Monthly Report
No.264　Apr, May, Jun, 2014

　新潟県村上市にある『扇屋旅館　扇屋カフェ』は、かつて日本庭園だった中庭を多目的スペースに改装して地域住民に開放。地域との関わり・つながりというコンセプトが、新しいデザインの方法で具体化されていることが高く評価され「大賞」に輝きました。

　そこで「JID賞デザインフォーラム2014 in TOKYO」開催後に『扇屋旅館扇屋カフェ』を訪ねる見学会を企画、JID会員9名の参加にて6月7日（土）13：30〜15：30に実施終了いたしました。

お天気にも恵まれ、オーナー平間氏による旅館、カフェ、ご自宅内のご案内と改修の説明を頂き、その後扇屋カフェにて平間氏を囲み村上市の活性化、地域住民のつながりなどを伺う座談会もいたしました。見学者1人1人が受け止め方は違うにしても、大賞受賞の要因を感じ取る事が出来た有意義な見学会だったのではないでしょうか。

扇屋旅館見学会（オーナー平間氏説明）

扇屋旅館中庭より正面はオーナー自宅

扇屋カフェ店内

扇屋旅館見学会

　座談会後は、村上市観光ガイド会員の山貝さんに、市民が自ら立ち上げた町づくり「黒塀プロジェクト（黒塀1枚1000円運動）」で黒塀の町並みが復活した町屋の城下町・村上町の散策案内を頂き、築130年〜250年の町屋造り商家など10件ほど見学をしました。『城下町村上は「鮭」「酒」「情け」でおもてなしを致します』のとおりに商家のご主人が私達をあたたかく出迎え、そして代々受け継がれた歴史を語ってくれました。村上は「人が町を守り創る」素晴らしい事例と実感をいたしました。

ガイドさんと村上町散策

扇屋旅館での夕食会後に瀬波温泉へ繰り出し、JID高橋会員のデザインした素敵なラウンジ店での会員交流会も楽しく盛り上がりました。翌日、加茂商工会議所・太田会頭との昼食座談会、加茂市桐箪笥工場見学会へと続き、1泊2日の日程が終了しました。皆様ご参加ありがとうございました。

参加者の感想をご紹介します。

町屋見学（山上染物店　築160年位）

町屋見学
（益田邸　江戸時代から塩・酒を販売）

町屋見学
（九重園　築250年位／安政6年(1859年)茶の製法を確立する）

新潟県のJR村上駅に降り立つと、目の前に広がるのはどこにでもあるロータリーだった。
ただ、その中央に黒く塗られた櫓があったり、周囲に黒く塗られた木造の建物が幾つかあって環境演出の気配がある。
見学先の大賞受賞作品「扇屋旅館扇屋カフェ」はそこからすぐ。古くからの駅前旅館を彷彿とさせる玄関とカフェのシンプルなファサードの間を抜けると中庭に出る。
客室、宴会場、カフェ、厨房、住宅などを繋いでいる空間だが、それ自体が変化に富んだ寛ぎの場となっており、自然光のうつろいや夜間の照明演出などを楽しむことができる。
若主人による丁寧な案内、説明を受けながら施設内を回ってみると、古くからの建具を活かし天井や構造体を黒く塗ってシンプルな壁面と対比させているあたり、うまいデザインだなと思わせられた。
その後市内を歩いてみると、黒く塗られた板塀や店舗内の構造体などにも一貫した雰囲気が感じられた。これらは現地を訪れる見学会ならではの成果だろう。
新潟県を中心に活躍しておられるJID会員との交流もあり、得るところの多い二日間だった。
JID賞審査委員長　清水忠男

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「扇屋」見学会では大変お世話になり有難うございました。
当社の元所員が新発田市出身なので、村上市は何と無く親しみを持って訪ねたら、民芸館の様な店舗や住宅が数多くあり、歴史を感じる街でした。
「扇屋旅館扇屋カフェ」は、村上駅から近い利点を活かした基本計画がとても良く、歴史ある町並にうまくとけ込んで街の活性化に寄与し、地元の人に支持されている様に感じました。
北･東日本エリア長　長堀映司

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この度は、村上でのJID賞大賞受賞作「扇屋旅館扇屋カフェ」見学会＆座談会に参加させていただき、大変刺激的な楽しい時間をご一緒させていただき、ありがとうございました。
井出さんの素晴らしいツアーコンダクター＆ネゴシエーターに感謝です。
「扇屋旅館扇屋カフェ」の見学会＆座談会はとても濃い内容でした。東京でのプレゼンの様子も皆さんに伺いながらだったのでとてもよくわかりました。
また、村上のまちなかの散策も何度も行っている村上なのに、ひと味違って有意義でした。
食事、そしてカラオケ大会！？スゴすぎました。とても楽しく、あっという間でした。
今度、私もJID賞に応募して「田舎で頑張ってますde賞」とか頂いて、皆様に新発田（しばた）へお誘い出来たら良いですね。
高橋智志（新潟県新発田市在住）