262-17

The Japan Interior Architects / Designer's Association
Monthly Report
No.262　Oct, Nov, Dec, 2013

イギリスの人気カーペットメーカー、個性的なオリジナルカーペットを扱っている。

　今回は現在の英国インテリアマーケットをご紹介したいと思います。

英国ではインテリアデザイナーは職業ランキングで言えばかなり上で、セレブの位置付けです。イギリスではアートにふれる機会が大変多く、ほとんどの美術館や博物館は無料ですし、アート関係のイベントも多いです。そう言う環境の中で自然と感性が磨かれて育つので、人々のインテリアに掛ける情熱が日本と格段に違います。ロンドン留学中にTVを付けると、ゴールデンの時間帯にセレブリティと呼ばれるインテリアデザイナーがお家改造なる番組をひっぱり、DIYやガーデニングの番組が沢山やっているのに驚きました。またインテリア関係の月刊雑誌の数がとても多く、その発行部数も日本と格段に違います。

ピムリコ通りにある、セレブリティのインテリアデザイナーショップ

外観も美しく、手入れされた年代物のアパートメント

キングスロード沿いある、日本でも人気のあるデザイナーギルド本店

地震や湿度による腐食が少ないイギリスでは、更地に住宅を建てる事はまれです。ほとんどの人達が中古住宅を買い、外の古く美しい街並みを壊す事無く、その建物が持つ歴史を大切にしてリフォーム繰り返し、家の価値を上げて行きます。当然プロのデザイナーの良さ、お金をかけて頼む価値を人々は理解しているので、デザイナーは自分達の確立したスタイルを全面に出した個性あるショップを構える事が出来るのです。

　ロンドンではピムリコ通りやキングスロードの辺りに、セレブリティのインテリアデザイナーショップが集中しています。ここにショップを構える事がステイタスで、一流のデザイナーの証のようです。また、そのプロ向けのインテリアの専門のショップも大変充実しています。チェルシーハーバーにあるデザインセンターには、100軒を超えるショップが入っており、その周辺にもインテリアのショールーム、ショップが軒を並べています。

プロ御用達のチェルシーハーバーデザインセンター、吹き抜け回りにショールームがあり、これが3棟続いている。

チェルシーデザインセンターにあるイギリスのハイセンスな照明メーカー「PORTA ROMANA」。世界で唯一のショールーム。

「FOCUS」会期中、テキスタイルメーカーで熱心に生地を探すセレブリティなデザイナー

４月と９月のロンドンデザインウィーク「Focus」には、各ショップ新作を発表し大変賑わいます。http://www.londondesignfestival.com/events/focus13

　英国では、家は城だと表現されると聞きました。古い家ほど価値があり、好んで人々はそこに住み、自分らしいインテリアを追求しています。

インテリアデザイナー達は、そのインテリア意識の高い人々の夢の実現を、プロとしてしっかり支えているのです。過去から現在まで、イギリスのインテリアマーケットは常にエキサイティングで世界中のインテリアを牽引してきました。今回の留学で、そのダイナミズムなイギリスのインテリアを目の当りにし、またこれからも世界を魅了し続けていくであろうプロの素晴らしさに、改めて感動を覚えました。

イギリスの一流のテキスタイル・メーカー「アンドリュー・マーチン」は、他に類をみないユニークな壁紙のシリーズで日本では有名です。

エクレクティックインテリアがお得意の「アンドリューマーチン」の本店内部

キングスロードから続くストーン・アベニュー沿いにある、由緒ある建物をリニューアルしている「コンラン」ショップ本店（左右共）

　次回はイギリスのプロのデザイナー達の活動と、ロンドンデザインウィーク、元郵便局の建物をそのまま利用した会場の「designjunction」http://thedesignjunction.co.uk/と「テント・ロンドン」http://www.tentlondon.co.uk/ のエキサイティングな展示会をご紹介します。