1968年に一人の紙すき職人と出会って以来、長年にわたって日本の伝統工芸の活性化のお手伝いをしてきました。しかし、現実は40数年前の時点に比べて伝統工芸やそれをとりまく産業の様子は、当時の保存から一部消滅へと向かっているのが現状です。
一方、家具インテリア産業界に於いて地域に根ざしていた家具産地もほぼそれと平行して多くが衰退し、中には安い輸入品に頼って壊滅状態の産地も出現しているのが現状です。丁度伝統工芸の衰退に歯止めがかからないことが判明した30年ほど前にその原因について考える機会がありました。その原因の一つはマーケットの衰退、つまり人々の日常の暮らしの現場の状況が、悪化しているということを発見したのです。
終戦後の公営住宅は狭いながらも、少ないもので暮らせる日本の伝統的な暮らしが残っていました。
高度成長以来、小さく仕切られた四畳半や六畳の間に、勉強机やベッド、電化製品といったものが各部屋にあふれ、住まいはほぼ物置と化しているのが現状です。
高度成長以来、現代にいたるまで都会に建てられたマンションも、小さな部屋で仕切られてその部屋の数を呼ぶ2DKや3LDKといった呼び名が出現し、部屋に対する大きな改善は見られませんでした。
今回のLIVING&DESIGNの基本的なコンセプトを「住まいと暮らしのリノベーション」というスローガンでまとめてみました。また、この住まいと暮らしが活性化することで、家に友人や知人を招くことも可能となりコミュニケーションの活性化を図ることもできます。
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