JIDnews 278

JIDnews は、公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会が発行する機関誌です。

interior TREND


heimtextil とimm cologne 2018 情報

北・東広報委員長 紗杜有紀子

 

1月に開催されたheimtextilとimmcologneより、これからのインテリアを考えるうえで重要なインスピレーションが得られました。heimtextilのテーマパークで発表された今後のインテリアの傾向、及びトレンドの提案をわかりやすくご報告したいと思います。

 今年のheimtextilのテーマは『THE FUTURE IS URBAN』
これは日本だけでなく、世界的に人口が都市へ集中しつつあるため、キーポイントとなる「メガ都市」に焦点を当て、空間やデザインを考えよう、というテーマです。


まず『THE LIFESTYLE TRENDS』で都市生活の提案。
 [The Flexible Space]では、都市の限られた空間ではアイデアを駆使した家具やノマド的な工夫が必要になるという「Micro Home」を展示。ソファに収納が組みこまれたり、ベッドに変わったり…すでに日本では一歩進んでいるように思います。

 [The Healthy Space]では、光の色や色が健康に影響を及ぼす可能性があることを示唆。それも今までの常識を覆す『赤』は夕焼けの温かい光の色で眠気を誘発し、リラックスと回復を促し、『青』はメラトニンの生成に悪影響を及ぼし覚醒状態を引きおこす、という今までの逆の青と赤の効果を活用した「Colour Experience」は衝撃でした。

 また自然が少なくなる中で多くの緑で囲まれた職場の提案「Green Workspace」。この緑の多用はカーテン、壁紙のここ数年のデザインにも多用され、グリーンによる癒しは、現代の大きなテーマの一つといえます。

 [The Re-Made Space]では、サスティナビリティでは賄いきれないゴミを再生。「Remade Materials」で、すでに試みが始まっている様々な再生が展示されていました。展示ブースも廃材が使用されています。インテリア業界はある意味、資材の再生は好機ともいえます。

 [The Maker Space]ではすべての人が都市にいるわけではなく、メーカーやデザイナーはどこにいても、好きなことを発信することができることを示唆。「Fab Lab」ではたとえばレーザーカットされた生地を縫うことなく組み合わせるだけでできる服などを、人々は個性に合わせた発注ができるという発想です。

 「Atelier」では最も古い染料の1つであるインディゴ(藍)が取り上げられ、一例として日本の藍染のしぼりが、わび・さびとともに紹介されました。


 次に『DESIGN+COLOUR TRENDS』。
上記のLIFESTYLE TRENDSと重なる所がありますが、デザインとカラーのトレンドを示しています。
 [Relax/Recharge]では、都市化したライフスタイルは過度に刺激があるため、気分や感情に影響する色をデザインに

利用することを提唱。今までの常識を覆す実験で証明された、青色の光は活力を与え、赤色(ピンクも同じ効果)の光は落ち着くことを活用し、様々な赤や青を使用することで、生活をRechargeしようとしています。

 [Perfect Imperfection]では職人技や工芸技術への復活の重要性が説かれています。たとえば現代のブランドやメーカーは、昔のインディゴの染色技術を学び、濃い同じ色の青を卒業。完全ではないけれど量産品にない一点物の良さが現代に生きるとされていました。

 [Soft Minimal] 狭い空間では、シンプルで洗練されたデザインをインテリアや製品を、とソフトカラーとミニマルデザインの復活。季節ごとに廃棄するのではなく、生涯にわたって大事にしていくという機能性と耐久性が示されました。

 [Adapt+Assemble] では、既にあるものをうまく組み合わせたり、適応させることにより、新しいものが生まれる、ということを提案。

 [Urban Oasis] 都市生活ではますます自然から遠ざかりますが、空間や製品に自然を感じると癒され、心が落ち着きます。グリーンのトーン・オン・トーン等その効果を最大限に生かすことを提唱。
 これらから、もうすでに始まっている都市化をどう建築やインテリアに生かすか、重要な課題と考えさせられました。

 

 次に、heimtextilとimm cologneの実際の展示から今年のトレンドを探ると…
 カラーではピンク、オレンジ、様々なグリーン、ブルー、グレー。

 昨年より目立って増加した色はパステルピンクやグレイッシュなピンク。様々なグレーが昨年に引き続き人気の中、各社ポイントでピンクを使ったりソフトなトーンでまとめたソフトミニマルなインテリアが。
 深いフォレストグリーンやカリブブルーなど深い色が昨年使われた中、今年も引き続き人気ですが、色のバリエーションが増えてきました。以前はブルーとグリーンを一緒に使うことが少なかったのですが、その2色使いも新鮮です。

 このカラーの傾向はパターンにも表れ、昨年からのトロピカルもみられますが、モチーフはパイナップルなどからモンスーンなどの葉やフローラル、鳥などに変わり、民族調はアフリカの手仕事が見られました。
 またミニマル傾向もあるので日本のモチーフも人気で、青海波、七宝などの伝統模様、花鳥風月も使われていました。幾何学模様も引き続き数多く見られます。

   
   
  
 

 素材及び技術は新しい分野へと進み、ゴールドなどの異素材を組み合わせる傾向があります。また、インクジェットは壁紙だけでなく様々な素材に施されるようになり、インクジェットでなければできないようなソフトの提案がされるようになりました。

 ソフトミニマルは形にも影響があり、NENDOのOKOME SOFAをはじめとし、テーブルも角が取れ、全体に丸みを帯びていました。ミニマルの影響は和風のデザインも多く使われる、というところにも現れています。
 素材としては昨年のベルベッドが進化し、カットベルベットなども見られました 。

  

 よく「なぜトレンドを追うのか?」という質問を受けますが、私はトレンドは単なる流行ではなく、時代から起こる傾向だと思っています。時代の流れから予測することも、意図的に流行させることもできますが、必ずそうしなければならないわけではありません。その時代を心地よく過ごしてもらうために、情報を発信し続けたいと思っています。